『幸せな心とからだのつくり方』
家族療法(システムズアプローチ)の達人として心理療法界で知られる東豊先生と整体指導者の長谷川浄潤先生の共著、対談本が、滅茶苦茶スピリチュアルでありながら実践的で、大変面白かったです。
東豊・長谷川浄潤著『幸せな心とからだのつくり方』(遠見書房)
家族療法って一般的にはスピリチュアル的な要素はほとんどなく、東先生も若い時から中年期にかけては全くそんなことに関心がなかったけれど、あるきっかけから人生や心理療法に対する態度が全く変わってしまいました。
その変貌ぶりは「あの東が」と、周囲の家族療法家やブリーフセラピストを驚かせたみたいです。
まさにスピリチュアル・システムズアプローチとでもいうか、新しい領野を切り開いた感があります。
それは、ユングやトランスパーソナル的なスピリチュアルさとも全く違った感じがします。
東先生は、普通の日常臨床の中で余人には及ばないほどの効果的な治療をしながら、でも実はその中身は滅茶苦茶スピリチュアルで、それでも地に足がしっかりついている、そんな感じです。
それはおそらく、システムズアプローチという手堅い心理療法と、浄土真宗という伝統宗教を自家薬籠中の物にされているからではないかと推察しました。
ヨーロッパ系神秘主義とか、カリフォルニア発のニューエイジ系などとは、違った系譜でしょう。
また野口整体など東洋医学をバックにした長谷川先生の話も、身体的アプローチも志向したい私にはとても参考になりました。
一般書の体裁ですが、公認心理師や臨床心理士などの、いわゆるスピ系ではない「お堅い」セラピストに是非お勧めしたい専門性の高い本です。
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