January 31, 2012

愛育心理研究会研修講座

 ここ数年教育心理学会でアドラー心理学自主シンポジウムを企画して私を呼んで下さったり、日本臨床・教育アドラー心理学会の設立発起人でもある会沢信彦先生(文教大学教授)の講座のお知らせです。

 愛育心理研究会はあの国分康孝先生の恩師であり、日本の精神分析学の草分けである霜田静志先生のご遺志を継ぐ方たちの団体だそうです。

 精神分析学の方たちにもアドラー心理学に関心を持っていただき、ありがたいです。

 愛育心理研究会 2012年度 前期 研修講座

日 時 平成24年3月18日(日) 14:00~ 16;00

会場 船堀タワーホール4階402会議室(東京都江戸川区)
 
講 師 会沢信彦(あいざわ・のぶひこ)氏(文教大学教授)

テーマ 「より良い人間関係を築くアドラー心理学」

会沢氏からのメツセ…ジ(講義内容欄略):

精神分析が、問題行動の背景として心の中の葛藤に焦点を当てるのに
対し、相手との対人関係に目を向けるのがアドラー心理学です。そして、
アドラー心理学は、目指すべき人間像として、自他に対する「勇気づけ」
と、他者との協力を重視します。今回の研修では周囲の人と良好な人間
関係を築くのに役立つアドラー心理学の考え方をご紹介していきます。

受講費¥2,000(会員、ー般とも)は当日の徴収となります。 [研修部 結城]

※ 申込先:電話・FAX(番号同じ) 0532-63-8605

メール myk44040ybb.ne.Jp (ともに結城まで)

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January 29, 2012

人間関係ステップアップ・セミナー

 共にアドラー心理学を学ぶ仲間で、最近は経営者、講師として活躍されている鈴木稔さんが来県、きっと素晴らしいセミナーになると思います。

「身近な人間関係をステップアップする」

日時:2月2日(木)、午後1時~3時30分

会場:木の国サイト情報館、研修室(南アルプス市上今諏訪850-1)

費用:1,000円

定員:限定30名

内容

①自分をリソースする~大人のエクササイズで自分を発見
   ファシリテーター 森崎千秋

②人生が幸せになる3つのコツとは?~悩みの95%は人間関係から起こる
   講師 鈴木稔

 鈴木稔さんは、

日本メンタルカウンセリング協会理事長
志塾塾長

にして、なんと

国際空手道連盟極真会の大山倍達総裁秘書を務めていたバリバリの空手マンでもあります。

 他に

全日本女子プロレスラー臨時コーチ、アドラー心理学カウンセラー、日本論理療法学会・論理療法士補、アイエルワイ代表取締役などをこなし、キャノン、KDDI、大鵬薬品、埼玉県警察、慶応大学など多くのところで研修講師を務めてきました。

 数年前に重症の事故を負いながら不屈の闘志でカムバックされ、それ以来さらにパワーアップされたとのもっぱらの噂です。

 空手マンはあのマス大山の思い出をうかがってもよいかもしれませんね。

問い合わせ・申し込み:株式会社セレンディック 電話0551-35-9191  090-2170-3239(森崎)  FAX0551-47-2195

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January 27, 2012

なぜ太極拳は健康にいいのか?

 書店のベストセラーのコーナーで見つけて、ふと気になって読んでみました。

小林弘幸「なぜ『これ』は健康にいいのか?-副交感神経が人生の質を決める」サンマーク出版

 著者は医師で順天堂大学医学部教授、自律神経研究の第一人者とのことです。テレビの医学番組にもよく出演される先生のようですが、多くのアスリートにもコンディショニングの指導をしていて、なんとあの奇跡の若さと動きを保っている郷ひろみのアドバイスもしているそうです。それだけで関心が上がりそうですね。

 なんでも先生がやっている「便秘外来」は予約が3年待ちとか!

 本書では自律神経の活動性とバランスが健康に対して大変大きな役割を果たしていることが優しく説明されています。

 自律神経といえば、交感神経と副交感神経ですが、一般に交感神経は興奮系、副交感神経はリラックス系を司っていて、交互に働くみたいなイメージがあります。でも少し違うそうです。

 これまでは、自律神経の働きについて、このように説明されるのが一般的でした。
 これも間違いではないのですが、この言い方だと、私たちの体は交感神経と副交感神経が、きれいにスイッチングすることで動かされているような印象を受けます。

 でも実際はそうではありません。

 体がもっともよい状態で機能するのは、実は、交感神経も副交感神経も両方高いレベルで活動している状態のときだったのです。

 もちろん、両方高レベルといっても、アクティブな状態では「交感神経がやや優位」、リラックスした状態では「副交感神経がやや優位」、というような、バランスのシーソー状態が生じています。でも、それはあくまでも「やや優位」なのであって、どちらか一方に大きく偏っては絶対にいけないものだったのです。

 交感神経や優位な状態にしても、副交感神経が優位な状態にしても、自律神経活動の高さとバランスがもっとも理想的な状態にあるとき、それが、私たちの心身がもっとも健康で、心身のパワーを最大限に発揮できる状態だったのです。p5

 このバランスが崩れて極端になると、人は病気になりやすくなるそうです。

 交感神経が異常に高い活動レベルにあると、体のあちこちに不調が現れやすくなり、副交感神経活動レベルが極端に高いとうつ病の傾向があり、両方とも活動レベルが低いと疲れやすくやる気も起きないようです。

 つまり自律神経の活動レベルとバランスを適度に保ちコントロールすることが健康への王道ということになります。

 著者は「自律神経のバランスを意識的に整えることで、あなたのすべてが変わります。それもすべて良い方向に変わります」とまで言っています。新手の健康商法か思う向きがあるかもしれませんが、読んだ私はずいぶん誠実に科学的に書いてあるし、説得的に感じました。

 ではどうやってそれを達成できるのでしょうか?

 自律神経をコントロールするポイントは、ひと言でいうと、「ゆっくり」です。
「ゆっくり」を意識し、ゆっくり呼吸し、ゆっくり動き、ゆっくり生きる。
 そうすると、下がり気味の副交感神経活動レベルが上がり、自律神経のバランスが整いはじめるのです。p7

 ゆっくりを意識し、動き、呼吸する…まさに太極拳そのものです!

 本書ではその例としてヨガを挙げていますが、太極拳や中国柔拳、気功法もまたそうであることは間違いがありません。
 私の老師がよく「医者に見放された人が最後に頼るのが太極拳」とおっしゃってますが、その理由が改めてわかりました。

 しかも私が思うに、瞑想のようにリラックス系の副交感神経だけを高めるだけでなく、太極拳は武術なので必要に応じて交感神経系も適当に高めることができるのではないかということです。両方の神経を高度に活性化させて、必要な時に「戦う」態勢をつくることで目の前の課題に集中することができるようになれるかもしれません。
 それにはただの体操のような健康太極拳だけではなく、武術的な側面を理解し、稽古することがやはり大切と思うわけです。

 本書には、郷ひろみやアスリートのエピソードや、筋トレやストレッチの間違ったやり方、腸内環境の整え方、血流を良くすることが鍵であること、自律神経コントロールの要である呼吸について等々、健康に関する重要な情報がたくさんわかりやすく解説してあって、一般の方はもちろん、例えばカウンセリング等での心理教育や健康指導をする時や、武術の稽古で心身への「効能」を説明する時にも参考にできるのではないかと思いました。

 

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January 23, 2012

訂正:第2回日本臨床・教育アドラー心理学研究会開催!

 昨年末にお知らせした日本臨床・教育アドラー心理学研究会第2回大会ですが、申し込み先のアドレスに末尾のpが一字多いという間違いがありました。
 訂正して再度お知らせします。

 申し訳ありません、ご迷惑をおかけしました。
 よろしくお願いいたします。

(再掲)

 今年7月9日に第1回大会を成功裏に終わらせた日本臨床・教育アドラー心理学研究会を再び開催します。

 私も発起人の一人で、微力ながら会の運営に携わらせていただいています。

 今年の日本は大災害や大事故が続き、また世界には大恐慌や戦争の微かな足音が聞こえ始めており、これからは共同体感覚を呼びかけるアドラー心理学に静かな注目が集まってくると思われます。

 また、臨床心理学の中でも、アドラー心理学は現在主流のアプローチ・認知療法や解決志向ブリーフセラピー、人間学派等の源流でありながら、100年経った今も脈々と伝わりながら発展をしており、いまだに「宝の山」といえます。

 是非、共に「発掘」していきましょう。

 アドラー心理学を臨床や教育の現場で生かす「日本臨床・教育アドラー心理学研究会」の第1回大会をおかげさまで2011年7月に開催することができました。
 次なる第2回大会は「教育のアドラー 臨床のアドラー」と題して、2012年3月4日(日)に開催いたします。午前は教育の、昼は懇親会、午後は臨床を軸に丸一日の研究会です。
互いの研鑽を深め日々の活動を豊かにすることに貢献できることを願っております。
すでにアドラー心理学を知っている方や、これからアドラーに触れてみたい方の学びの場として広くご参加をお待ちしております。

会沢信彦(文教大学教育学部教授)
鈴木義也(東洋学園大学人文学部教授)
深沢孝之(山梨県立北病院心理士)

参加条件: 心理臨床や教育関係の専門職もしくはその分野の学生

参加費: 5,000円 当日払い (ランチセッションの昼食代を含む)

申込方法: ①氏名、②所属・役職、③連絡先(自宅 or 勤務先)、④〒・住所、
⑤電話、⑥FAX、⑦メールアドレスを、(添付でなく)メール本文に
記入して、下記アドレスにお送りください。
メールがない方のみ、FAXで下記にお送りください。

学校心理士の方は、更新ポイントB研修会(承認番号 B-11-119)となります。

文教大学教育学部心理教育課程 会沢信彦
〒343-8511 埼玉県越谷市南荻島3337
TEL 048-974-8811 FAX 048-974-8877
E-mail aizawa@koshigaya.bunkyo.ac.jp

2012年3月4日(日) 10:00〜16:00
文教大学越谷校舎13号館4階13401教室
(東武伊勢崎線北越谷駅下車徒歩12分)

9:30 受付開始
10:00 開会挨拶 鈴木義也 10:05 講演&ワークショップ 「アドラー心理学と学校教育」 会沢信彦
12:00 ランチセッション(懇親会) 司会:鈴木 13:30 事例検討会 「臨床アドラー心理学の事例」 座長:深沢孝之
16:00 閉会

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January 22, 2012

アドラー心理学読書会

 月1でやっているアドラー心理学の読書会「英語でアドラー」は、今月は1月27日(金)、午後7時から、心理臨床オフィス・ルーエ(甲府市酒折2-2-7 ワールドプラザビル306)で行います。

 テキストはアドラー心理学の基づいた子どものプレイセラピーの文献、Terry Kottman の「Partners in Play」を読み進んでいます。

 前回は心理療法各派のプレイセラピーの概観でした。
 いよいよアドラー心理学的プレイセラピーの中身に入っていきます。

 英語ができなくても大丈夫!みんなできてないから。

 誤訳無視の気楽な読書会ですから、関心のある方はご参加ください。

 参加費500円

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January 16, 2012

ライフスタイル・アセスメント・ワークショップ

 アドラー心理学による支援の重要な骨格をなすものにライフスタイル・アセスメント(診断)というものがあります。

 子ども時代の記憶を尋ねる「早期回想」が割に知られていますが、そのほかに「家族布置」や「特殊診断質問」といった興味深い質問法があり、私も心理テストの他いつも実施していて、テスト結果解釈のコンテキストにしています。
 とても使いやすくて重宝しています。

 日本の臨床家にもっと知られていもいいと思います。

 アドラー心理学の実践研究をされている立教大学の浅井健史先生より、ご関係の講座「アドラー心理学実践ワークショップ ライフスタイル・アセスメントの理論と実際」の案内が来ているので、紹介させていただきます。

 よろしくお願いします。

開講期間◇      2012年2月5日(日)10001700

              *申し込みをされた方には詳しいタイムテーブルをご連絡いたします

場所◇     IP心理教育研究所 

渋谷区代々木2-23-1 ニューステイトメナー1346号室

JR新宿駅南口またはJR代々木駅より徒歩5

参加費◇       7500円(テキスト・資料代等を含む) 

※講座初日に現金にてお支払いください

参加資格◇     大学3年生以上で、心理臨床及びその周辺領域に関心のある方。

または教育・福祉・医療等の実践に携わっている方。

申込方法◇     ①氏名 ②所属(学年もしくは臨床経験年数) ③連絡先(E-mail及び日中連絡が取れる電話番号) ④申込経路(どこで講座を知ったか) ⑤今後どのようにアドラー心理学を活かしたいか をご記入の上、

E-mailadler.ip1346@gmail.com】にてお申し込みください。

申込期限◇     1月29日(日) ※定員(12名)になり次第、締め切らせて頂きます。

             また、申し込み人数が3名未満の時には、開催中止となる場合がございますので、ご了承ください。

講義内容

・ライフスタイル・アセスメントの内容構成

・アドラー心理学におけるライフスタイル・アセスメントの位置づけ

・投映法としての早期回想

・ライフスタイル・アセスメントの実施方法

・ライフスタイル・アセスメントの解釈

・ライフスタイル・アセスメントを用いた事例検討

講師

五味 新 ・・・ 臨床心理士

成城墨岡クリニック・カウンセラー /渋谷区教育センター・教育相談部専門教育相談員

※本講座には上記講師のほか、各領域で活躍中の心理専門職がサブ講師として参加します。

お問い合わせ・ご連絡等は下記へお願い致します

IP心理教育研究所 アドラー心理学講座係

 E-mailadler.ip1346@gmail.com 】

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January 13, 2012

根源的感覚としての気

 前掲の春木豊著「動きが心をつくる」(講談社現代新書)は、高岡英夫先生のゆる体操を弛緩系の運動の一つとして挙げていたり、日常使う体に関係のある言葉(頭にくる、腹が立つなど)を「からだ言葉」としてその意義を紹介したり、また後半には先生考案の具体的なエクササイズを紹介したりと、高岡先生の発想とかなり共通しているところがあります。

 著者独自の見解として前記事のとおり、レスペラント反応という概念の提唱がありますが、これがいわゆる「気」と関係すると考察しています。

 レスペラント反応は体と心が重なり合うところにある反応ですが、人間全体を理解するときに必要な次元の概念(本書では精神、身体、自然、社会、行動の5次元を提唱)が収斂するところであり、それが「気」であるといいます。

 そこで本書では、気を人間のさまざまな側面を成立せしめている「統一的な根源としての概念」としておきたい。気が万物の根源として理解するのが本来であると思われるが、ここでは人間の身体、精神、行動などの根源であるとしておきたい。p161

 今まで述べてきたように、身体の次元は物質としての体と心を含む身に分けた。精神の次元は体を含む心と、体をまったく含まない純粋な精神としての例とに分けた。そして行動はレスポンデント反応とオペラント反応とに分けた。
 さらに各次元は、一つに収斂していると考えた。その収斂点が「気」であることに注目していただきたい。ここで示した人間の全体像は、換言すれば深さを含んだものである。行動の次元、身体の次元、精神の次元は人間の深みにおいて、気として一体となり、融合されていると考えるのである。p162

 一見難しいようですが、おそらく気功や武術関係者なら理解できる発想と思われます。

 では、もう少し具体的な表れとしてはどういう風なものか。

 それが起こるのは、心の根源的、原初的な状態として気分・感情と身体の感覚反応系が相互に交わるところ(相即の関係)と考えられます。

 そこで、体と心を結び付けている根源的要素は、感覚と気分であると考えられる。動きと体と心とはレスペラント反応、感覚、気分において、人間の根底で結ばれ、一体となり、融合していると考えるのである。
 さらに付け加えるならば、ここでいう感覚はいわゆる五感というよりも、さらに根源の感覚としてのレスペラント反応によって起こされる身体感覚(体性感覚)が重要であると考える。p168

 レスペラント反応は、感覚、気分は一つに融合したものであって、分けることはできない。p169

 心身一如という言葉は昔からいわれてきたが、体と心のみを観念的に捉えている限り、一如にはならないと思われる。そこに動きを挿入することによって、可能になると考える。すなわちレスペラント反応を実行して、気感を経験することによって心身一如を体感できるのである。
 すなわち心身一如は論理によって到達することではなく、実践による直接経験(体験)によってのみ知ることができることなのである。p169

 ここで運動と身体感覚(体性感覚)の重要性を取り上げているのは、高岡英夫先生はじめ昨今の身体論の論者と共通しています。その辺を比較研究してみたいものです。

 実践的どうすればよいかというと、体と心と動きが気として融合、一体化しているところであるので、「この領域のワークはレスペラント反応(反射/意志的反応)を実行すること p170」といいます。
 レスペラント反応を対象にして、働きかけ、その心身への作用を体験することになります。

 特にレスペラント反応が生じるのは、「呼吸、筋反応、表情、発声、姿勢、歩行、対人距離、対人接触 p167」の領域です。ここを鍛える、操作できるようになること、またそのための感受性を磨くということになります。
 これはまさに武術・武道の扱う領域そのものではないか!

 内田樹先生は武道の意義を「能力の開発」と説いていますが、稽古とはまさにそのレスペラント領域を対象にして、操作できるようにするものといえるでしょう。

 そしてカウンセリング、心理療法でも非常に重要な「隠れた次元」ではないかと考えられます。

 大変示唆に富んだ書でした。

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January 09, 2012

レスペラント反応

 心理学のイロハに動物や人間の行動を2種類に分けるというのがあります。
 レスポンデント反応とオペラント反応です。

 レスポンデント反応とは刺激に対して生理的、反射的な反応で、いわゆる「パブロフの犬」の条件反射です。餌を見ると涎が出る、餌と一緒にブザーを鳴らすとブザーが鳴ると涎が出るようになるというやつです。内臓系の反応ともいえます。

 オペラント反応は行動する主体が環境に働きかける反応で、「意志的反応」ということができます。スキナーボックスの鳩やサルが餌を求めてレバーやスイッチを押す反応がそれです。筋骨格系の反応ということができます。

 しかし、前記事の「動きが心をつくる」(講談社現代新書)で春木豊先生は、実際はこの二つだけでは単純すぎるともう一つの概念を提案します。
 呼吸や表情のような反射的(レスポンデント)でもあり、意図的な反応(オペラント)のできるものがあることに気づく必要があるのではないかと考え、そのようは反応をレスペラント反応と名づけようというのです。
 レスペラント(resperant)とはレスポンデント(respondent)とオペラント(operant)を合わせた造語です。

 レスペラント反応(反射/意志的反応)は、もともとレスポンデント反応であるが、一方でオペラント反応もできるという、両方の性質を持った反応であるということである。この両方の反応は別々に反応することもあるが、両者が混在して反応するということもある。p72

 呼吸反応はもともと反射(レスポンデント反応)である。睡眠中は反射で対応している。一方、ラジオ体操をやって深呼吸をするときは、明らかに意図的、意志的な反応(オペラント反応)になる。このように呼吸は、明らかに異なる二つの反応ができる。ちなみに心拍反応はこのようなことはできない。p72

 レスペラント反応は、いわば体(レスポンデント反応)と心(オペラント反応)の両方にまたがった反応であるために、体と心に影響を及ぼすことができるという重要な反応群であるといえるだろう。p73

 レスポンデント反応には、呼吸のほか、筋反応、表情、発声、姿勢、歩行、対人距離、対人接触反応が挙げられています。

 これらはみな、自動的な反射でありながら、必要な時や状況によっては意識的にコントロールできるものです。逆に意識的になることによって反射を変えていくことも可能です。
 嫌なことに出会うと反射的に気分が悪化して呼吸が浅くなりますが、呼吸法をすることでリラックスして気分を楽にすることができます。

 レスペラント反応は心と体の結節点になる現象にきちんと名づけようということなのでしょう。
 この提案に対してほかの心理学者がどう評価しているのか知りませんが、私には単純な発想なようでいて、心身二元論的思考から抜け出す一つの起点になるような気がします。

 ちなみに、武術で扱う「心」とは先ず、ほとんどがこのレスペラント反応のことでしょう。攻撃を受けた時に反射的に緊張したらダメなので、意志的に筋肉の力を抜いたり動きのコントロールができるように修練するからです。

 太極拳の推手(すいしゅ)とか合気道の合気上げとかがまさにその練習法だと思いました。

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January 06, 2012

「動きが心をつくる-身体心理学への招待」

 身体心理学…まさに本ブログなどで私が追及してきた発想といってもいいかもしれません。

 基礎系・実験心理学を長年積み重ねた心理学者が、身体と心の関係に現代心理学の到達点から切り込んだ格好の入門書です。
 その点で、極めて「まとも」な心理学の本であり、現在の心理学でもここまで言えるんだと学ぶことができます。

 現代の流れは、知識中心、知に偏った心を重視する傾向がある。言葉を変えると中枢である脳が重要であり、脳のことがわかれば、心の問題はすべて解決するとの信念すら生まれつつあると感じられる。

 本書では、この潮流に抵抗を試みたい。まず人間は脳(中枢)のみで存在するとは考えない。末梢もなければならないという当たり前の考えに立ち戻るのである。言い換えれば、人間を心のみの存在とは考えない。身体があって心が成り立つと考える。しかもその身体とは、従来から無視されてきた身体の動き(行動)に焦点を当てるのである。なぜならば、心は身体の動きから生まれてきたと考えるからである。

 そのようにして生まれた心の原初的なありようは、身体の動きから生じる感覚である。そしてその感覚は同時に心の根底を支えている気分や感情となる。これらの間の関係は、本書で徐々に明らかにしていきたい。p6

 著者の春木豊先生は、早稲田大学名誉教授、行動科学系心理学の泰斗であり、実は私も同大学の心理学専修だったので、もちろんお名前は存じ上げていましたし、雲の上のような方でした。
 ただ当時(80年代半ば)、すでに私は合気道や中国武術、トランスパーソナル心理学やユング心理学、神秘学など「変なこと」に惹かれて学外で勝手に学んでいたので、春木先生みたいな本当に「まとも」な心理学者には相手にしてもらえないと思い込んでいたので、とても話が合うとは思えず、敢えてお近づきになろうとはしませんでした。

 だから先生が本書で取り上げるようなボディーワークや瞑想、呼吸法に深い関心を持っており、特に気功法や太極拳を熱心に学ばれていたことを知った時は、「えーっ、春木先生ってそういう人だったの?」と本当に驚きました。

 しかしそれもそのはず、先生は私が卒業してしばらくしてから、「方向転換」したらしいのです。
 実は春木先生は既に学生の頃に禅に関心を持ったそうですが、「ちゃんと心理学の研究をしてから」と恩師に言われた教えを守り続け、長年封印していた思いを研究者人生の晩年になってやっと解き放って、身体心理学の確立に向けた研究にまい進し始めたらしい。

 本当の学者とはそういうものかもしれないね。

 もし私があと数年若く早大にいたら、絶対に春木門下に入っていたかもしれません。

 その辺の先生の研究者人生のいきさつは、本書だけでなく、実は春木ゼミ出身者が私の職場の同僚にいたので、裏話的にうかがうことができましたが、先生から学ぶ機会がなないまま年月が経って、なんだか残念な思いがしています。

 とまあ、個人的な思いばかり書いてしまいましたが、本書の内容は次回以降に取り上げさせていただきます。

 

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January 03, 2012

酒折宮

Photo  初詣は氏子でもある近所の酒折宮に参拝。

 小さなお宮さんですが、なんと古事記にも載っている由緒あるところです。

 古事記には日本武尊命(ヤマトタケルノミコト)が東征の帰りにここに立ち寄り、その際に土地の翁と歌を詠んだとあり、それが我が国における連歌の始まり、和歌発祥の地とされています。

 そのため境内には本居宣長の酒折宮に寄せた言葉の碑もあります。

 和歌関係者は是非立ち寄られるとよいでしょう。

 近くには縄文遺跡もあり、境内全体が山裾の突端にあるので、古代、甲府盆地が湖だった時代には岬だっただろうと推定できます。

 中沢新一さんのアースダイバー的には、縄文時代には岬は聖なる土地と扱われており、後に寺社となったというので、相当に古くから聖地とされてきたのでしょう。

 幼い時からそんなパワースポットで遊んでいたということで、私的には大事なところです。

 

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