February 24, 2020

日本個人心理学会第1回学術大会延期!

 来月3月7,8日に予定されていた日本個人心理学会第1回学術大会は、新型コロナウイルスの影響で「延期」と決まりました。

 第1回学術大会延期のお知らせ

 私は大会長でしたから、苦渋の決断でもありました。

 参加申し込み、演題発表申込をしてくださった皆さん、本当に申し訳ございません。

 ここのところずっと理事、事務局長と話し合いを続けてきましたが、このご時勢に抗うことはできませんでした。

 新型コロナウイルスは高齢者にはリスクはあるが、全体の致死率はそれほど高くはないという情報もあり、せいぜい100人弱の中小規模で、不特定多数「ではない」集まりである当学会は決して「不要不急」の外出には当たらないと思いますし、厚労省は「一律に自粛を要請するものではない」ということなので、開催は可能ということも成り立つと思っていました。はるかに大きいイベントやコンサートは、中止もありましたが実施されたのもありますし。

 しかしいまだウィルスの正体が十分にわからず、潜在的感染者が多数いると思われる都内を移動し、屋内会場で長時間過ごす中で、マスクも手指消毒薬も十分に確保できない現状では「感染防止対策」を会場で実施することは困難と予想されました。

 既に医療機関にお勤めの方は、「学会、研修会への参加は禁止」とされているところも出ており、キャンセルも出てきていました。

 また、心理系だけでも他の学会や団体の催しは次々に中止、延期のお知らせが私のところにも来ていました。

 ここは無理してドキドキしながらやるよりも、改めて出直すことが賢明と判断されたました。

 捲土重来を期したいと思います。

 これに懲りず、日本個人心理学会をよろしくお願いいたします。

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February 18, 2020

SL、SSW、SCシンポジウム

 2月15日(土)は、私が会長を務める山梨県臨床心理士会、その下部組織で私が委員長を務める山梨県学校臨床心理士委員会の主催による、研修会が開かれました。場所は山梨英和大学。

「安心安全な学校をつくる スクールロイヤー、スクールソーシャルワーカー、スクールカウンセラーの連携に向けて」と題して、スクールロイヤー制度の確立に関わっている弁護士さん、元SSWで今は教師、そして当会から長年スクールカウンセラーをしている先生によるシンポジウムを行いました。私は座長を務めさせていただきました。

 スクールロイヤー(SL)、スクールソーシャルワーカー(SSW)、スクールカウンセラー(SC)が対話を行うという県内では初めて、おそらく全国的にも珍しい試みではないかと思います。発案者は何を隠そう私。

 学校において子どもの人権を守る立場のスクールロイヤーは、国は設置の方向で動いており、昨年秋には報道もされました。すでに一部の県で実施しているようですが、山梨ではまだこれからシステム作りの段階です。

 弁護士さんはいじめの重大事態によって設置される第三者委員会に入ったり、県の教育委員会のいろいろな会議に参加したり、現場からは見えにくいですが、意外に教育行政に関わっています。SSWさんは、SCが手の届かない家庭状況の観察や介入をしてくれたり、困難事例に多く関わってくれています。私も当然存在は知っていましたが、活動の詳細は知らないことが多かったです。

 参加者からも、「良かった」「良い企画だった」と多く聞くことができました。

 私も、改めて学校に関わる他職種のことを学ぶ機会になり、「チーム学校」に対するイメージ作りができましたね。

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February 15, 2020

スペリー博士来日中止

 世界のアドラー心理学を牽引する一人、アメリカのジョン・スペリー博士を日本個人心理学会第1回学術大会にお迎えする予定でしたが、新型コロナウイルス流行の影響で中止になりました。その1週間前に企画されていたヒューマン・ギルドでのワークショップも中止になりました。岩井俊憲先生のブログ記事

 スペリー博士ご本人はとても来たがっていたのですが、所属する大学関係者などから懸念を表されたとのことです。「危ないから行くな」と止められたのでしょう。

 海外メディアによる日本の状況の報道はかなり厳しいと聞いています。周囲が心配するのも無理はない。

 SNSを見ると、海外から日本政府の対応に対する批判が高まっているそうです。

 確かに、水際作戦は失敗、国内の流行はこれからなのは確実。国民はみんな不安を感じているのに、オリンピックを中止にしたくない政府は、何とか大げさにしたくなくてかえって後手後手になっている印象。我々は早速そのあおりを食った感じです。ムカつく。

 スペリー博士の来日中は、私も観光にご案内するつもりだったのにとても残念。昨年の北米アドラー心理学会で梶野真さん(日本アドラー心理学協会、日本個人心理学会理事)の紹介で初めてお会いして、その明晰さと明るさで「いい人だな」と実感し、日本の仲間にも知っていただきたかったのでとても残念。

 またいつかリベンジしたいと思います。

 写真は昨年お会いした時のもの。左端の方がスペリー博士、私はなぜか日本酒の瓶を持っています。

 

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February 12, 2020

新型コロナの影響

 新型コロナウイルスが東アジアを揺さぶっています。日本も不安に覆われてきています。

 観光地を多く抱えるここ、山梨も影響は深刻です。とにかく観光地に人がいない。

 数日前に甲府駅を利用した同僚によると、日曜日なのにいつもと違って本当に閑散としていたとのこと。

 消費税増税のマイナスのインパクトにこれがプラスされると、日本経済がどんなにひどいことになるのだろうか、心配になります。

 経済評論家の三橋貴明氏が言うように、インバウンド頼みにして日本人の給料を上げない、国内に投資しない、偽りの財政赤字論で貧しいままに日本人をさせてきたツケがこれから回ってくるような気がします。

 個人的にも影響は受けそうです。

 3月に予定されている日本個人心理学会学術大会です。

 今、理事たちと情勢を見極めながら対応を考えているところです。今のところ、世間にはイベントや集会の自粛ムードはないですが。

 政府もオリンピックに影響を与えたくないので、できるだけ問題を小さく見せるために自粛させようという動きはしていないように見えます。今のどうしようもない政府に合わせたくないけど、確かにあまり過剰に反応するのは良くないような気がします。やるべきこと、やれそうなことはやったほうが良いでしょう。

 あと、私、中国武術をやっているのですが、別に今、差別はされていませんが、これからなんか変な目で見られたりするとやだな、なんて思ったり。むしろウイルスに負けない免疫力をつけるには、中国武術はやったほうがいいよ、と言いたい。

 ところで、先日某所で医療系のパーティーに出た時、中国出身の薬学博士と話をしました。彼は日本に長く住んでいて、日本語も達者なので、「新型コロナってどうなんですか?」と聞いたら、

「あれは、あそこからああしてああなったんだと思います」とはっきりと答えてくれました。私も、

「やはり、あそこからああなったんですね」と納得しました。

 大変興味深かったです。

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February 09, 2020

TOEIC初受検

 先月1月12日に生まれて初めてTOEIC Listning & Reading なるものを受けました。場所は山梨大学。

 実は私、英検の経験もなく、英語関係の検定試験は初めてです。「武田検定」はありますが。もちろん高得点。

 47歳で脱サラ、起業して数年経ったころ、念願の英会話の勉強をしようと、近所にあるネイティブが主催する教室に通い始めたのですが、そろそろ自分の力を客観的に把握しておくのもいいかなと思ったのです。把握以前にどんどん海外に行っていましたけどね。だから、大体の実力はわかっていました。もちろん、ブロークンでちゃんとした英会話の力はないことを。

 40代半ば過ぎまでいた福祉の世界では、英会話の必要のない世界でした。甲州弁は流ちょうじゃないと、地元のおばちゃん相談者と会話できないので達者なもんですが。

 その結果は、「720点」でした。

 中級者、というところでしょうか。まあ、こんなものかな。

 とにかくReading セクションの問題数が多すぎて、多くの人が全問解けないみたいですが私もそうでした。20問ぐらいできず終了間際に慌ててランダムにマークしただけでした。もったいなかった。

 もっとテスト対策をしておけばもうちょっとスコアが上がったかも、とは負け惜しみですが。

 今度は800点台目指すぞ。

 このブログでも、英語上達をネタに加えていきますよ。

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February 06, 2020

催眠って何だろう

 前記事の日本催眠医学心理学会のシンポジウムで面白かったのは、「催眠とは何か?」というのがいまだに問われ続けていて、50年前も同じような議論があったと古参の会員からのコメントがあったこと。これを進歩がないとみなすか、普遍的な問いということなのか。

 少なくとも、現在の科学のパラダイム、発想ではとらえきれないところが催眠にはあるということだと私は思います。

 シンポジウムでは、自律訓練法、臨床動作法、NLP、EMDR、そして催眠療法をマスターしている研究者、臨床家が次々と登壇して、実践の様子やそれぞれの視点からトランスについて語っていました。聞いていて、EMDRのようにトランスと言っていなくても、実はどうやらトランスが治癒機制に関わっているらしい技法は数多くあるだろうと思いました。

 故成瀬先生は、催眠とは「催眠誘導過程による無意識的活動」とか定義したらしいですけど、それでいくと、

 自律訓練法による無意識的活動、臨床動作法による無意識的活動、NLPによる無意識的活動、EMDRによる無意識的活動など、それぞれの独自の方法から生み出される心的状態に別々の概念が当てられているけれど、実は全く独立の現象ではなく、同時に共通する状態もあることは否めない、それゆえにいつも催眠との共通性が指摘され、催眠とは何だ、ということになるのだと思います。

 催眠は心理療法の母、まだまだ尽きない宝が眠っていそうです。

 ちなみにシンポジストに太極拳を学んでいる人がいて、上記のトランスの他に、「武術系のトランス」という言葉を出していたのが個人的には光りました。この概念を切り口に武術と心理を語れるかもしれません。

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February 02, 2020

日本催眠医学心理学会に参加

 週末は日本催眠医学心理学会第65回本郷大会に参加してきました。会場は東京、JR水道橋駅から徒歩10分ほどの東洋学園大学です。

 私は日本個人心理学会の理事会でいつも使わせてもらっているところなので、馴染みがある場所です。

 この学会は1963年設立の伝統ある学会です。日本にある学会では最古参かもしれません。昨年逝去された日本の臨床心理学の重鎮、成瀬悟策先生らが創始したそうで、大会では成瀬先生を偲ぶ時間も設けられていました。

 私は初日2月1日(土)には催眠技法研修会の中級に参加。催眠は好きだけど、普段の臨床ではそれほどやらないので、改めて良い復習になりました。そして、講師の松木繁先生(鹿児島大学名誉教授)の「催眠トランス空間論」が初めて腑に落ちた感じがしました。やはり直にお話を聞くのがいいですね。

 2日(日)は発表と先の成瀬先生追悼シンポジウム、シンポジウム「トランスの発見~その臨床的応用」、知り合いの先生も登壇されてとても面白かった。次回にそれに触発されたことを書きます。

 それはそうと、私にとっては大きいことがありました。

 この学会の「常任理事」になったのです。

 自分でもビックリです。学者でも、催眠のマスターでもないのに。

 どうなることやら、伝統ある学会の名を汚さないように努めたいとは思います。

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January 27, 2020

中国武術のリアル

 中国武術の実戦性は、護身という状況、言ってしまえばあまりよくないことですが、喧嘩やストリートファイト、といった何でもありという状況でこそ現れるものなので、なかなかスポーツ的な試合では表現されにくいところがあります。それ故に誤解を受けやすいところでもあります。特に太極拳とかはそうですね。

 ネット社会になって、それを積極的に発信する人も現れてきています。沖縄在住の中国武術家で指導者、宮平保老師(天行健中国武術館)です。

 とても男前なのに、その動きと技を見ると「怖っ」と思われるでしょう。

 このリアルさがいいですね。

 空手や格闘技界の猛者たちも認める人です。

 宮平先生の言う、「武術は避難訓練」というのはまったくその通りで、強く同意します。

 先生の動画はいくつもありますが、どれも一見の価値がありますよ。

 

 

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January 22, 2020

AAとアドラー心理学

 前記事の『アドラー心理学を生きる』(川島書店)に、心理臨床家や依存症支援者にとって注目すべき情報があります。

 アルコホリック・アノニマス(AA)の成立にアドラー心理学が影響していたかもしれないのです。

 AAは1930年代、ニューヨークシティのウィリアム・R・ウィルソン(ビル・Wとして知られる)とロバート・ホルブルック医師(ボブ医師として知られる)の二人で始められました。ビル・Wはアルコール依存症の当事者でした。彼は「12のステップ」という依存症の世界ではあまりにも有名なプログラムの発想を提案しました。

 AAはその効果から、日本を含め世界中に広がりました。それまでの医療の枠を超え、当事者が参加し発言すること、仲間意識を醸成し、人々とつながり孤独を癒すことが治療の本質であることを世界に知らしめたことで、依存症の治療に多大な影響を与えました。

 AAに始まるさまざまな自助グループ、近年盛んな当事者活動、当事者研究を見ると、まさにアドラー心理学でいう共同体感覚が極めて重要であることがよくわかります。ただ、アドラー心理学を知らない臨床心理学者、心理臨床家、医療者は何とか違う言葉をひねり出そうとしているように見えます。オープンダイアローグの中で起きていることを、研究者たちはためらいながら「愛」と言ったり、当たらずとも遠からずで、共同体感覚といった方がしっくりくると私には思えます。

 本書では、AAのアプローチとアドラー心理学のアプローチがいかに類似しているかを簡潔に指摘しています。私も精神病院勤務時代と開業してからずっと、依存症治療にかかわり、AAに通っている患者さんに会っていたので(送迎したときに参加したこともあります)、ずっと同じように感じていました。

 そして近年の研究で、単に似ているだけだなく、実際にAAの創成期にアドラー心理学の影響がうかがえることがわかったのです。

 なぜなら、ビル・Wの母親、エミリー・グリフィス・ウィルソンは「ウィーンでフロイトの元同僚であったアルフレッド・アドラーに学び、サンディエゴでアドラー派のアナリストとして活動していたから」です。

 したがって本書では、ビル・Wはアドラー的知識を持っていたのではないかと述べています。

 これは驚くべきことです。

「ビル・ウィルソンは、アメリカ文化におけるもっとも傑出した指導者の一人になった後でも、常に母親による癒しを求めていた。ビルの母は彼が11歳の時に彼の元を去ったが、それでもお互い手紙を通じて緊密にやり取りをし、それはビルが成人してからもずっと続いた」(p280)

 ビル・Wは母親から勇気づけを得て、陰に陽にアドラー心理学の発想を学び、もしかしたらというかきっと、当時ベストセラーだったアドラーの本も読んだかもしれません。詳しいことはわかりませんが、ビルのお母親も、おそらく夫(ビルの父親)といろいろあって幼い息子と離れざるを得なかったのでしょう。それでも関係を切らずに連絡を取り合っていたわけで、この二人のドラマを知りたい気もします。

 まさに臨床心理学の秘史といえそうです。

 この他に、精神科デイケアを始めた一人にアドラー派の精神科医のビエラがいたことを私は知っていました。このAAの話も北米アドラー心理学会参加時に聞いていました。デイケアと自助グループという、現在の精神医療の最重要な2つの柱にアドラー心理学が影響していたことを知り、うれしく感じたと共に「やっぱり」という思いも強くしました。

 

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January 18, 2020

『アドラー心理学を生きる』

 今年最初の本の紹介は、やはりアドラー心理学本。これはけっこう重要な本だと思います。

 アドラー心理学の最重要概念である「勇気」について、理論的に考察し、かつ実践に役立つように目指された本です。

 ジュリアン・ヤン他著『アドラー心理学を生きる 勇気のハンドブック』(今野康博・日野遼香訳、川島書店)

 昨年の4月に出た本です。私は本書の原書を持っていたので内容は知っていましたが、ぜひ多くの人にも知ってもらいたいと思っていたので翻訳を出していただけたのは本当にありがたいです。なかなかアドラー本人以外のアドラー派の人による文献は翻訳されないので貴重です。

 本書はとかく曖昧になりがちな勇気について、非常に丁寧に考察しています。アドラー心理学内部だけではなく、西洋哲学、東洋哲学も網羅し、参照した上で、勇気とは一体何か、人類の知の歴史、発展においていかに重要な概念であるかを説いています。これはアドラー心理学をきちんと考える上で、大変重要なことだと思います。

 著者のヤンさんは、中国系(台湾人)のようなので、特に中国哲学(儒教、道教)とアドラー心理学を絡めて論じているところところがいいですね。

 特に本書は、仕事、愛、友情、所属、存在、スピリチュアリティといったライフタスクと勇気との関係を考えているところが出色です。これを参照することで、私たちは勇気について考えたり、書いたり、話すときに厚みを出すことができるでしょう。臨床にも役立つと思います。

 アドラー心理学の基礎を学んだ方は、是非お読みください。

 

 

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