February 18, 2019

『武田氏滅亡』

 武田信玄の後継者・勝頼はどのような人物だったのか、武田氏はどうして滅びたのか。これまで名門・武田氏が勝頼の代で滅びたことから、小説やドラマで暗愚の武将と描かれがちだったのですが、近年勝頼の再評価が進んでいます。

 同時代の文書を元に詳細に勝頼の生涯を辿っていく、平山優著『武田氏滅亡』(角川選書)を、時間をかけて少しずつ読み進めて、ようやく終わりました。751ページという大著で、それ自体「自立」することができるほどの厚さであり、私は仕事や心理学系の読書の合間に読んでいたので、読破するのになんと1年もかかりました。

 その分、速読ならぬ「味読」というか、じっくりと、まるで勝頼と同時代を生きているかのような気分になりました。本を閉じた時は静かな感動に襲われました。小説でも物語でもなく、歴史研究書なのに。

 信玄の四男・勝頼は心ならずも、と言っていいと思うけど、信州の伊奈の高遠城主だったのが、信玄の後を継ぐことになってからは、まさに家を保ち、盛り立てるための奮闘の人生でした。

 一般に勝頼は、長篠の戦で織田・徳川連合軍に大敗して一気に滅びたかのようなイメージですが、実際は長篠以後7年間持ちこたえ、むしろ「武田信玄時代より広大な領国を誇るに至った。とりわけ北条氏は、勝頼による北条包囲網に苦しみ、関東の領国を侵食され、悲鳴を上げていた。 p748」のです。北条は、北関東から攻める勝頼や真田昌幸らの活躍で、押しつぶされる危機にありました。

 家康も勝頼に撃破されかねない状況に置かれたこともあり(大雨で富士川が増水して武田軍が渡れず、家康は逃げきれた)、やはり信玄の子だけあって、かなりの戦上手であったことは間違いがないでしょう。

 それが最後は、まるでオセロでバタバタと白黒がひっくり返るかのように、一気に滅亡に追い込まれてしまいました。本書によれば、信長も北条氏政もまさかあんなにあっさりと武田氏が崩れていくとは予想していなかったみたいです。当の勝頼もそうだったでしょう。

 勝頼が譜代家臣たちの裏切りに遭い、織田軍に天目山に追い詰められ自害した天正10年(1582年)冬、信州・甲斐の冬は大変厳しく、「織田軍は信州の豪雪と寒気による氷結に苦しみ、さらに兵粮の欠乏も加わって困難な状況にあったらしく、陣中から脱走するものが後を絶たなかった。 p699」、「この年の甲信は厳冬で寒気が厳しく、積雪も甚だしかったといい、信長の嫡男で武田討伐軍の総大将だった信忠の中間(ちゅうげん)が28人も凍死するほどであった。 p699」というから、一見織田軍の圧勝のようなイメージですが、実態はひどいものだったようです。今でもこちらの冬は県外の人は(北海道の人でさえも)、つらいと言うからね。侍に仕える中間や足軽は、ほとんど野宿みたいなものだっただろうから、堪らなかったでしょう。

 だから、最後まで勝頼には勝機はあったといえます。ナポレオンやヒトラーを撃退したロシアのごとく、長期戦に持ち込めたら歴史は変わったかもしれません。 

 昨年、著者の平山氏は、勝頼を取り上げたNHKBSの歴史番組に出た時、「勝頼はつくづく運のない人だったとしか言いようがない」と総括していました。私もそう思わざるを得ません。本当にかわいそうな人だと思いました。

 本書には戦国武将や同時代の人たちの手紙や文書のやり取りが事細かく紹介されているのですが、それらを著者の解説付きで読むと、勝頼だけでなく、信長も家康も、北条も上杉もみんな、先が見えない中で必死に生きる道を模索していたことがうかがえます。一歩間違えば、誰もが滅びる可能性がありました。

 実際勝頼の死後、わずか3か月ほどで信長は本能寺で殺されます。まさに一寸先は闇。勝頼さん、あともう少し頑張れたら…。

 本書で歴史のダイナミズムと繊細さを感じ取ることができました。

 また、私が甲州人だから感じるのかもしれないけれど、本書は学術書でありながら、苦しみの多かった勝頼の鎮魂の書でもあると思いました。

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February 13, 2019

年末年始の動き

 この冬今のところ山梨は、山沿い以外は雪がほとんど降っていません。乾燥していますね。インフルエンザにお気を付けください。

 もっぱら私事ですが、年末からいくつかのところで研修講師をさせていただきましたので、覚えにメモしておきます。今年もさらに増やしていきたいと思います。

 2018年12月6日(木)は、山梨県中央児童相談所で里親さんの更新研修会。発達心理学と勇気づけについて話しました。最近の千葉の痛ましい虐待事件で、また児童相談所がやり玉になっていますが、虐待を受けた子どもを最前線で受け止める児相や里親さんや施設の職員の実力を上げることが、現在最優先の課題のはずです。戦後一貫して、ここをしっかりさせてこなかった国が、つまり今の政権が、虐待を受けている子どもたちをネグレクトしてきたつけが今回ってきていることは、指摘しておきたいです。

 12月16(土)は、山梨いのちの電話で、相談員になる人たちに、やはり発達心理学をお話しさせていただきました。ここも自殺予防の最前線の老舗ですが、最近相談員不足に悩んでいるようです。

 12月19日(水)は、山梨県立甲府工業高校の定時制の生徒さんたちに、アルコール乱用防止教室。精神保健福祉センターのご依頼でした。

 明けて2019年1月22日(火)は笛吹市の食生活改善推進員の皆さんに、自殺予防ゲートキーパー養成研修。自殺問題は必ずしも私の専門ではないのですが、昨年来なぜかご依頼が増えています。なぜでしょう。なんか、面白いらしいです。

 1月24日(木)は山梨県甲府地方裁判所・家庭裁判所で、職員の方々に発達障害について講義をしました。裁判所も事件とか調停だけでなく、普通に一般の方たちと接することが多いので、調査官とかの専門家以外の人たちも、こういう知識が必要とのことです。熱心ですよね。

 1月28日(月)は甲府地方気象台で、職員の方にメンタルヘルス講座。いつもの話ですが、私的には天気予報をしている現場やデーターを集める機械を間近に見せてもらえて楽しかったです。気象学や地質学、災害学の専門家集団で、貴重なお話をうかがえました。

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 気象台の庭には、懐かしの百葉箱がありました。もう使われていませんが、残っている気象台は全国でも珍しいそうです。

 1月30日(水)は、神奈川県藤沢市へ行き、朝日カルチャーセンター湘南教室でアドラー心理学の講座。今回は「勇気づけ リフレイミング」と題して、いくつかのワークで楽しく過ごすことができました。朝カルは、勉強熱心な中高年の方の集う場として、多彩な講座を企画していて面白いところだといつも思います。

 2月5日(火)は山梨県精神保健福祉センターで、アセスメントの勉強会で講師。気質からクライエントを見立てる方法について紹介しました。

 2月12日(火)は、山梨県こころの発達総合支援センターで、発達障害者サポーターになる大学生の方々に、思春期・青年期の支援とアドラー心理学などについてお話。この中から将来の臨床仲間が育ってくれたらいいと思いながら、話をしました。

 いろいろやっているというか、いつも同じというか、私も心理系の講師として、少しずつブラッシュアップしていきたいと思います。

 

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February 09, 2019

ブッシュ家のネットワーク

 再び『ジェノグラム』(金剛出版)に戻ります。

 前々記事で、フロイトとその一族の極めてユニークな特徴を引きましたが(巨人たちの家族布置)、同書にはケネディ家やブッシュ家という、世界に知られた政治家を輩出した支配層の一族の家系図も紹介され、家族心理学的視点から解説されています。

 家族は単に経済関係や愛情関係だけではなく、スピリチュアリティ―や宗教・友愛組織の影響も極めて大きいことが例示されています。

 その一例が、秘密結社です。

「秘密結社」というと日本ではトンデモやオカルト視されたり、陰謀論というレッテルで嘲笑されかねないイメージがありますが、同書にはしっかりとその重要性が明記されています。家族研究の金字塔のような同書にこれがあるのは、とても重要なことだと思います。

 本書には、アメリカ初代大統領、ワシントンがフリーメーソンに入っていたことも記していますが、すごいのはブッシュ家。大統領になったあのジョージ・ブッシュから5代くらいの詳細な家系図が出ているところです。

 それを見ると、ブッシュ一族はほとんどもれなく、イエール大学に入り、中にはそこのスカル・アンド・ボーンズという秘密結社に入っていたことが一目瞭然です。数えてみると、イエール大学卒は35人、内6人がスカル・アンド・ボーンズに入っていたことがわかっています。そしてジョージ・ブッシュは大統領になると、11人のスカル・アンド・ボーンズ出身者を政府の役職に起用していました。

(引用開始)

 2004年の大統領選挙の結果の候補者がどちらも、宗教的な基盤を持つエリートの秘密結社のメンバーであったことは間違いなく重要である。この組織はイエール大学のスカル・アンド・ボーンズ結社と呼ばれ、メンバーは死ぬまで互いの友愛的(そして宗教的つながりの)秘密を守ることを誓っていた。ジョージ・ケリーはこの組織の設立者の一人の血筋である。そしてジョージ・ブッシュはイエール大学に少なくとも12人通った家族の一人で、その多くがこの秘密結社に所属していた。そこには彼の父親の世代の4人の男性が含まれていた。そして、一人娘の夫も、父方祖父、曾曾祖父、そして二人の娘のうち一人も所属していた。いくつもの世代で、ブッシュ家の近しい友人はスカル・アンド・ボーンズのメンバーであった。そして、その多くが政治や経済、産業、国家情報(CIA)の輪で関わりを持っていた。

・・・(中略)・・・

 こうした家族の臨床的アセスメントは、この秘密結社のメンバーのつながりによる影響力や特権について理解しなければ不可能であろう。  p42

(引用終わり)

 秘密結社や宗教を通じて、支配層は支配層でお互いの結束を高め、力を維持し続けてきたことがうかがえます。これは日本でもそうでしょう。

 ジェノグラムという視点から安倍晋三の一族や、麻生太郎の一族を分析するのも面白いかもしれませんね。

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February 05, 2019

マリーナ先生から本物のアドラー心理学を学ぶ

 更新が大分空きました。

 先週末からずっと上京していたためです。基本、私は旅の間はブログをしないことにしています。

 2月1日は神楽坂のヒューマン・ギルドで、「アドラー心理学の歴史的流れ」、2、3日は「アドラー心理学(困難の乗り越える心理学)のエッセンス」でした。2つの講座に続けて出たことになります。

 昨年のマリーナ先生の来日時は主催側でしたが、今回は日本臨床・教育アドラー心理学研究会は後援させていただきました。

 3日間に渡って内容的に濃く、ものすごく刺激になりました。

 最初の「歴史」は、アドラーとドライカーズの人生を中心にアドラー心理学の歴史を学ぶことができました。アドラーの人生は大分知っていますが、ドライカーズはあまり詳しくないので、彼の波乱に満ちた人生を聴けたのはよかったです。

 ドライカーズさん、当時けっこうアメリカのテレビに出演していたそうです。

 後半の「エッセンス」では、「ライフスタイル」の本質的な意味を「運動の法則」として、キチンととらえることを主張されていました。我々はつい人の性格を「~型」「~タイプ」と分類してとらえてしまう傾向があります。講義では「カテゴリカル」と言っていましたが、カテゴリカルナ理解はわかりやすいのでこれは避けられません。でも、それでは人を変化し、動き続ける、変わりうる存在であることを見えなくしてしまいます。

 アドラー心理学は本来、カテゴリカルな考え方ではなく、運動としてとらえることを主張しています。

 これはとても重要なポイントです。

 しかしここで、ジレンマというか葛藤が支援者に生じます。医療や心理臨床の世界、あるいは福祉や司法でもそうですが、基本的には人をカテゴリカルな分類をしてから、支援を考えることが基本です。こういう世界で、どのようにアドレリアンらしく振舞えばよいか、みんな試行錯誤しているはずです。

 そこで私は質問させていただきました。

 マリーナ先生の詳しい答えは割愛しますが、一つの驚きは、なんとマリーナ先生はDSM5の作成に協力していたとのことで、巻末(?)にお名前が載っているそうです。

 だから簡単に言えば、カテゴリカルな見方と運動を見る見方、その両方が大事で、両立させることはできる、ということなのでしょう。もちろん私も、まったく同意しますし、そのように努めてきました。

 他にも印象的な言葉に、「人は往々にして自分の『強み』をやり過ぎてしまう」というのがありました。問題行動や症状はその結果である、ということです。強みや得意なことであるからこそ、やり過ぎてしまう。

 これは問題行動や症状を、「病理」「弱さ」と見る態度と対極をなしています。

「強み」であるのだから、その量を減らしたり、やり方を調整したり工夫する余地が生まれてきます。セラピーは楽観的になれます。

 クライエントの劣等感を補償するために、強みを使って完璧を目指す道筋が「運動」ということです。

 講座の様子は、岩井先生のブログが写真が豊富でわかりやすいです。懇親会では、僭越ながら私が乾杯の音頭を取らせていただき、写真もありますよ。

マリーナ・ブルフシュタイン博士のアドラー心理学の歴史的流れ」

マリーナ・ブルフシュタイン博士の「アドラー心理学(困難を乗り越える心理学)のエッセンス」

マリーナ・ブルフシュタイン博士の「アドラー心理学(困難を乗り越える心理学のエッセンス 2日目」

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January 29, 2019

巨人たちの家族布置

 前記事で紹介した『ジェノグラム』(金剛出版)には、フロイト、アドラー、ユングといった「深層心理学の3巨人」のジェノグラム(家系図)が詳細に掲載されています。これがとても興味深い。

 ユングはあの独特の理論が表しているように、神秘主義的傾向が濃厚です。同書にはユングの5代にわたる系図が出ていますが、ユングの仕事である医師は父方に多く(祖父と曾祖父、曾々祖父)、聖職者は父方に2人、母方になんと12人もいます。さらに「霊能者、あるいは霊との交流がある」という人がユングを含めて5人もいます。加えてユングの母親は超自然現象を信じ、精神病で入院しています。

 これは尋常じゃない。ユングの業績は、遺伝的器質による資質、才能によることは明らかです。

 ついでにその家系図には、ユングの妻エンマと並んで、患者で愛人だったトニー・ウルフもしっかり入っています。この人はユング好きには有名な人ですね。

 フロイトは、本書では実に詳細に描かれています。

 フロイトの父母世代は、何か犯罪的な後ろ暗いことをしていたと言われ、父親はフロイトの異母兄と共に「事業上の問題」「偽札偽造事件」にかかわっていたそうです。さらにフロイトの妻マルタの父親は詐欺で投獄されたことがあり、フロイトがマルタに熱烈な恋をしたのは、二人の共通の出自による共鳴、共感のようなものだったのかもしれません。

 そういう家の中で、ユダヤ人の長男フロイト坊ちゃんは、輝ける希望の星だったのでしょう。相当甘やかされたみたいです(これはエレンベルガーの本から)。

 そしてユングにもあったけど、フロイトは女性問題も抱えていたようです。妻マルタの妹ミンナと不倫関係にあったみたいです。フロイトとミンナは何回も一緒に旅行に出かけ、なんとマルタの妊娠中にも、ミンナと旅行に行っていたとか!

 ミンナはフロイトとの不倫をユングに話したことがあったり、妊娠、中絶の証拠もあると本書にあります。

 さすがリビドーのフロイトとでも言いたくなりますね。

 同様の女性問題はフロイトの長男、マーティンにもあって、これまたなんと、自分の妻の妹と関係があったそうです。まさに父親と同じ!家族問題の深さを感じずにはいられません。

 ちなみにフロイトの後継者、アンナも少し違いますがレズビアンで、パートナーの夫はそのためか自殺しています。フロイト一族、いろんなことがあり過ぎ。

 何かと病理思考でどこか性悪説的な精神分析学は、今でも好きな人には強烈な磁場を放っていますが、フロイトの抱えていた問題が反映されていたからこそ、リアリティーがあったのかもしれません。

 それに比べるとアドラーは、兄ジグムントとの確執、弟の死、自らの病と身体障害という問題はありながらも、総じて健康な感じがジェノグラムからします。アドラー心理学の健康志向、未来志向を感じさせるものです。

 この3者を並べると、フロイトとユングの行き過ぎたところを、アドラーが中和というか健康な領域に戻しているように、私には感じられました。

 いやあ、家族って面白いですね。

 それにしても、有名人は何もかも暴かれて大変だ、と同情もしたくなりました。

 

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January 24, 2019

『ジェノグラム』

 私が好きな心理学的ワークにジェノグラムというのがあります。家系図を作りながら、家族成員の情報を書き入れ、相関図のように家族関係を何種類かの線で結びます。完成するとクライエントさんの人生と家族の概要が一覧できるようになります。

 私はアドラー心理学の家族布置の方法として、ジェノグラム作りをクライエントさんと共同でよく作ります。とても面白い面接になります。クライエントさんからも好評を得ています。

 もともと家族療法の技法として登場したものですが、昨年のその決定版といえる本が翻訳、出版されました。

 モニカ・マクゴールドリック、ランディ・ガーソン、スエリ・ペトリー著、渋田田鶴子監訳『ジェノグラム 家族のアセスメントと介入』

 大きくて厚い本で、目にするとビビってしまいそうですが、その分内容はとても濃く、情報量は膨大です。

 ジェノグラムの基本はもちろん説明されているのですが、本書の白眉は、実にたくさんの著名人のジェノグラムが掲載されて、それを俎上に家族の力動や関係性が解説されていることです。これが実に興味深い。

 アメリカ人の著者ですから、もちろん欧米の人ばかりですが、我々の知っている人が多数います。

 芸能人ではマリア・カラス、ピーター・フォンダ、ジョディー・フォスター、ルイ・アームストロング、黒人メジャーリーガー・ジャッキー・ロビンソンなど。

 政治家がすごくてビル・クリントン、ダイアナ妃、イギリス王室、ワシントン、チェ・ゲバラ、ブッシュ家、ケネディ家、マーティン・ルーサー・キングなど。

 学者ではアインシュタインなど、そして心理系の方は必読、フロイト、アドラー、ユング、ベイトソン、エリック・エリクソンが登場します。

 彼ら偉人たちの「家族問題」が白日にさらされていて、面白いこと面白いこと。特にフロイトは彼の人生に添って何枚ものジェノグラムを使って解説されていて、「なるほど、こういう人生を送った人なんだ」と知ることができます。

 夫婦、親子、親族との困難な関係、アルコール依存症、精神病、虐待、自殺等様々な問題の中で生きてきたことがわかって、彼らも大変だったんだなあ、だからこそ偉大な仕事を成し遂げたんだなあ、という共感もわきます。

 臨床家はそのためだけでも読む価値があると思います。

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January 22, 2019

『拳児』復活していた

 30年近く前、武道少年たちを熱くさせたコミック『拳児』が、『拳児2』として復活したらしいです。今発売中の『秘伝 2019年2月号』(BABジャパン)で知りました。

 サンデーうぇぶりで先日まで読むことができましたが、今探したら消えていました。どうしたことでしょう。期限があったみたいです。

 中国武術、日本古武術を広く紹介した故松田隆智先生が原作で、「本物」の武術を少年たちに知らしめた偉大な作品でした。

『少年サンデー』連載で、当時既に20歳を超えていた私は、もうサンデーの読者ではなかったし、既に中国武術を始めていたけれど、これだけは読んで全巻揃えていました。今も実家には大切に並べてあります。

 ほとんど武術に関する学習漫画で、私もすごく刺激になりました。私より下の世代の方は、かなり影響を受けたでしょうね。

 松田先生は亡くなってしまったけれど、作画の藤原秀芳先生を中心に新しい体制で始めたようです。今発売の『秘伝 2019年2月号』誌に藤原先生のインタビューが載っています。

 連載当時小学生だった拳児はもう30代後半、大人になり、八極拳の達人になった彼に会いたいですね。

 是非、単行本化を希望します。

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January 18, 2019

『児童心理』休刊

 Twitterで流れてきて知りました。

 金子書房の『児童心理』が休刊になるそうです。

 雑誌『児童心理』休刊のお知らせ(金子書房のサイト)

 1947年創刊ということだから、今年で72年になるという超長寿雑誌だったわけです。心理学雑誌の老舗でしたが、サイトにもあるように、これも時代の流れということでしょうか。

 しかし、戦後から一貫して、日本中の教師、親、カウンセラーなどに、正しい心理学を伝え続けた功績はとても大きいと思います。

 何を隠そう、私自身、大変お世話になっていて、執筆者としてのメジャーデビュー(?)は同誌でした。

「2008年12月号臨時増刊 子ども勇気づける心理学ー教師と親のためのアドラー心理学入門」でした。本誌初、あるいは心理学雑誌初のアドラー心理学特集で、岩井俊憲先生や岸見一郎先生、アドラー仲間の方々と名を連ねさせていただきました。

 幸い大変好評で、完売したそうです。

 今にして思うと、アドラーブームの種まきになったのかもしれません。

 その後も2回程、金子書房さんからご依頼いただいて、寄稿させていただきました(下記のリンク)。

 お題をいただくその度に、自分なりに調べ、考察し、執筆したので、物を書く上で大変鍛えられたと思います。

 とても感謝しています。

 休刊は残念ですが、金子書房さんには是非これからも、魅力のある新企画の雑誌、本を出し続けていただきたいと思います。

 長い間、ありがとうございました。

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January 14, 2019

『定年後の人生を変えるアドラー心理学』

 八巻秀先生(駒澤大学教授・やまき心理臨床オフィス)が、最近また面白いアドラー心理学本を出しました。

 八巻秀『定年後の人生を変えるアドラー心理学 Adler's Bar へようこそ』(講談社)

 アドラーズ・バーに集まる定年間近の中高年の男性とマスターとの対話からできています。

 私と臨床家向けの本を出し( 『臨床アドラー心理学のすすめ』など)、子ども向けの本を出した( 『おしえてアドラー先生!』 )後は、こう来たか!という感じです。この世代をターゲットにしたのは、今まであるようでなかったです。

 企業人、組織人向けにリーダーシップや人間関係に焦点を当てたアドラー本はいくつかありました。そういうのはどちらかというと自己啓発的で、登場人物が問題を解決して成長するというストーリーになっていました。昔の教養小説風ですね。

 それに対して本書は、なにせおっさんたちが通うバーですから、大体グチや本音が吐露される場面設定なので、内容的に共感しやすいですね、私ももう、そういう歳ですから。

 本邦初、おっさん向けのアドラー本です。

 お客たちが持ち込んでくる問題は、親子、夫婦関係、昔の職場仲間との関係、親の介護、老化、そして恋愛や盗撮までいろいろあって、身につまされます(盗撮はないですよ)。それらにマスターがアドラー心理学を使って答えていきます。

 つまりよりカウンセリング的な状況なわけです。

 もちろん私は著者の八巻先生を存じ上げていますから、マスターが八巻先生に思えて仕方なかったです。確かに先生はバーのマスターっぽいし。実際こんな雰囲気のカウンセリングなんだろうな、と思いました。

 対話形式は『嫌われる勇気』もそうだったけど、アドラー心理学にフィットするスタイルかもしれません。

 本書は当事者のおっさんたちばかりでなく、女性でも楽しめますし、何より私はカウンセラーや臨床家の人たちの読んでほしいです。

 それにしても、アドラーズ・バーのマスターみたいにアルコールが使えると。本当はカウンセリングは進むかもしれませんね。ただ、翌日覚えているかはわからないけど。

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January 09, 2019

ゆる体操でW杯優勝を目指す

 年末のテレビ東京「FOOT & BRAIN」で、ゆる体操の紹介をしていて、開発者の高岡英夫先生が出演していました。 「世界と戦う究極トレーニング!脱力系「ゆる体操」とは?」

 ゆる体操は結構ふざけた感じでやるので甘く見られがちですが、武術由来の脱力、リラクセーション法でめちゃくちゃ効果があります。

 番組を観れば、サッカーのような高度な身体運動には脱力がいかに重要か、超一流になるためには必須であることが少しはお分かりいただけたかもしれません。

 番組では、あの澤穂季さんが高岡先生の指導を受けていたことが「暴露」されていました。もう知られていたことなのか、解禁になったのかしらないけれど、こういうのはいろいろなしがらみや嫉妬があるから、なかなか表に言えないことが多いと聞いています。澤さんは引退したからいいのでしょう。

 高岡先生の指導を受けたのは陸上の朝原宜治さんはじめ、実はスポーツ界、カーレース、歌舞伎など演劇界など多方面にたくさんいます。知人によると、サッカーの長友選手の部屋を取材した番組に、高岡先生の本がさりげなく置いてあるのが見えたそうです。そこで検索したら、まさにゆる体操をしている長友選手の動画がありました。

 他にもゆる体操の指導を受けたかは知りませんが、坂本龍一さんが是非にと、高岡先生のオフィスを訪問した記事が昔の『秘伝』にありました。

 ところが武道家やボディーワーカー、治療家など、身体運動家の世界では、高岡先生を嫌いな人はけっこういるのです。みんな一国一城の主だからね。

 しかし既に、高岡先生とゆる体操は圧倒的な成果を出しています。番組でもMCの勝村さんが言っていましたが、実際に澤さんはバロンドール賞を得たのだから、誰も文句は言えないでしょう。でも言うやつは言うだろうけど。ならお前はできるのかと、聞きたい。

 番組をアップしていた動画は削除されてましたが、関連動画を入れておきます。

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«マリーナ先生のアドラー心理学を学ぼう!