April 24, 2018

『上手な登校刺激の与え方』

 ここのところの記事のように、アドラー心理学の海外講師招聘の大仕事が終わって、やや虚脱状態でした。平常に戻ってきていますが、暇になるわけではなく、これから公認心理師の現認者講習会が待っています。
 
 それ以上に、これから取り組むのはアドラー心理学に基づく不登校の支援者向けの本の企画。実は少しずつ進んできていましたが、ようやく本格的に取りかかれます。
 アドラー心理学の数ある本の中で、不登校を真正面から扱ったものはなかったと思うので、その意味では意義のあるものになると思います。
 
 そのために、アドラー心理学に限らず、不登校に関する心理臨床本をいろいろ当たっているところです。
 
 
 今でこそ違うと思いますが、昔は不登校児に対して「登校刺激を与えない」「受容する」一辺倒の主張が通っている時期がありました。現場では必ずしもそうではなかったのですが、カウンセリングの主流がロジャーズ・ベースの非支持的なものだったので、表に出た言説はそうなりがちだったのでしょう。
 
 しかし、登校する、しないにかかわらず、学校関係者は適切なタイミングと方法で子どもや家庭と学校をつなげる働きかけをするべきです。
 
 本書はその実践方法を学ぶ好著だと思いました。
 
 子どもの気持ちを理解するだけでは学校復帰は難しいのです。不登校の子どもへの援助には、まず不登校についての基本的な知識(不登校の一局面だけではなく全体的な状態像を把握しておくとともに、不登校状態から学校復帰までの道筋を理解すること)が必要です。
  p3
 
 具体的な事例が豊富で、学校教員向けですが、スクールカウンセラーにも大変役立つ内容だと思います。
 
 

| | TrackBack (0)

April 21, 2018

メタファーの使い方を学ぶ

 4月18日(水)、前記事の通り山梨に講師先生方をご案内した翌日、ヒューマン・ギルドにて「アドラー心理学と治療的メタファー」というワークショップがありました。
 
 先週末の早期回想はアーサー・クラーク先生が特にご専門で、メタファーはマリーナ・ブルヴシュタイン先生の方が得意らしく、多くの時間をマリーナ先生がしゃべっていました。でも、クラーク先生がクライエント役のロールプレイもあり、二人の掛け合いも面白かったです。
 
 セラピーにおいて、クライエントの悩みや訴えを物体か何かに例えて、メタファーとして扱う方法を1日かけて行いましたが、あっという間に時間が経ってしまいました。
 方法や考え方は、ナラティブ・セラピーの外在化や、エリクソン催眠の間接技法に通じるところがあると思えましたが、マリーナ先生はより自然な会話の中でそれを進行させている様子が大変勉強になりました。
 
 マリーナ先生からはポストモダンという言葉がふと出たり、言語学も学んでいたようでもあり、対話による相互作用をとても重視しているようでした。現代のアドラー心理学の最前線にいる様子が伝わってきました。
 
 セラピーの会話はメタファーに満ちているので、是非使ってみたいと思います。
 
 ワークショップの様子は岩井先生のブログで写真入りで報告されています。
 
 最後にフロアからの、そのようにできるためのトレーニングについて質問があり、マリーナ先生は、
 
・人生を楽しむこと
・グループやスーパービジョンで学ぶこと
・クライエントを好きになること
 
 などと答えていたのが印象的でした。
 
 今日から福岡でもお二人のワークショップがありますが、私の主な仕事はここまで。
 
 近年にない大変充実した一週間になりました。

| | TrackBack (0)

April 19, 2018

ツアーガイドを務める

 前記事の早期回想WSの翌々日、マリーナ先生とクラーク先生はそれぞれのパートナーともに山梨に遊びに来ました。
 
 正午前に、私とアドラー仲間のSさんがJR大月駅でお出迎え、そのままワンボックスカーに皆さんを乗せて、富士山麓に行きました。
 足の長いクラーク先生は窮屈そうで、ちょっと申し訳なかったです。
 
 まず、山中湖近くの忍野村にある地元の人たちがよく行く美味しい店、レストランイネヤ(外国人向けのガイド本にはあまり載っていないだろうから)にお連れして、ステーキ丼や鳥の照り焼き丼を楽しみました。
 店が混んでいて慣れない畳の座敷に座っていただきましたが、それも楽しんでくれ、壁に何げなく張ってあるメニューやポスターも、アメリカ人には物珍しいのでしょう、写真を撮っていました。
 和洋折衷の庶民の定食料理も、「It is good!」と喜んでいただけました。
 
 その後に北口本宮富士浅間神社を参拝。
 小雨の中、大木に囲まれた境内は、神秘的な雰囲気を醸し出していました。特にクラーク先生の奥様は、こういう文化に関心があるらしく、とても喜んでくれていました。
 
 本殿の前でクラーク先生と。
 
Photo_2
 
 その後、山梨県立富士山世界遺産センターを見学しました。英語の説明も充実しており、この地域を知っていただくにはよい場所です。
 
 しかし、この日最大の目的であった富士山は、なんと雲に隠れて全く見えなかったです。
 頭とかお尻とか出せばいいのに、ほんとに全然見えなかったのです。
 写真を撮ろうにも、富士山の方向は真っ白。
 
 富士の地元に生まれて、この時ほど富士山を恨んだことはなかったですよ。
 ほんと、残念。
 
 仕方なく、皆さんには心の目で見ていただきました。
 
 上記のセンターの売店に美しい富士山の写真集があったので、せめても、とお土産に差し上げました。通訳で帯同してくれた仲間のアイデアでしたが、グッドフォローでした。
 
 通訳係がいるとはいえ、メニューの説明やらなにやら、行く先々で英語でを使わなければならないので、私のブロークンイングリッシュが炸裂しまくりましたが、先生方の共同体感覚で、「私の目で見て、私の耳で聞いて」私の心を察してくださって、なんとかコミュニケーションをとることができました(と思っているのは自分だけかもしれないが)。
 
 私も3日間聞いているので、クラーク先生の口調にも慣れ、マリーナ先生のロシア訛りの英語も大分聞き取れるようにはなっていました。こっちも必死に聞き取ろうとしているからね。
 
 私としては、以前にブリーフサイコセラピー学会誌に掲載された自分の早期回想を使った事例の論文をお渡しできたのが、特にうれしかったです。英語のサマリーがあるので、こういう時は説明しやすくていいですね。お二人には大変喜んでいただき、そしたらなんと、先生方からサインを求められました。アメリカ人にサインをしたのは初めて。英語でなんて書いていいかわからないし、汚い字になってしまったし、ちょっと恥ずかしかった。あのサインでよかったのだろうか。
 
 とにかく半日弱の短い旅でしたが、とても楽しく、印象深い時間でした。
 
 帰ったらどっと疲れた。

| | TrackBack (0)

April 17, 2018

早期回想を極めんとする2日間

 本ブログでも何度かお知らせしてきた、アメリカの代表的アドレリアンを招聘したワークショップ「アドラー心理学の基礎と実践-早期回想の理解と治療的アプローチ」が、14日(土)15日(日)と駒澤大学深沢キャンパス(くしくも苗字と同じですが、縁もゆかりもないです)で開かれました。
 
 すでに岩井先生がブログで詳しく報告してくれていますし(私への謝辞まで入れてくれて)、何人もの参加者がFBで感想を述べてくれているので、ここでは詳しくは述べません。是非、ご確認ください。
 
 主催者側の一人の私としては、週末は雨風が激しいという予報もあったので、とにかく無事開催できてほっとしています。
 
Dsc_0514
 
 マリーナ・ブルヴシュタイン先生は、昨年、一昨年とミネソタでお会いしましたが、ゆったりとした穏やかな雰囲気ながらも、アドレリアンとしての芯の通った佇まいの方でした。参加者はみんな魅了されたと思います。
 
 懇親会では、特に女性参加者に囲まれていましたね。
 
Dsc_0520
 
 
 対するアーサー・クラーク先生は高身長で一見迫力ある米国人という感じですが、実は大変ユーモアのあるチャーミングな人でした。しかし参加者からのボランティアから聞いた早期回想を扱う様子は、予想通り圧巻でした。私にとって、とても素晴らしいモデルになりました。
 
 そして以前ここで紹介したご著書『Early Recollections』にサインをしていただきました。家宝にします。
 
 この二人が交互に、時に掛け合いしながら講義は進みました。一人のカリスマ講師のパフォーマンスで聴衆を巻き込むようなスタイルとは全然違いました。
 
 面白いと思ったのは同じアドラー派でも、お二人が見解の違いがあればそれを堂々と述べて、認め合っているところ。
「早期回想のここは私はこう思うが、マリーナは違うようだ」と言いながら、お互いに尊重し合っているところを見せてくれました。その雰囲気がいい。「その人にとって役に立っていればそれがよいアイデアだ」という考え方が伝わってきました。
 目の前で対話的な姿を見せてくれるのが実にアドラー的だし、最近の心理臨床界のトレンドでもあるし、とてもよいあり方だと思いました。
 
 参加者に配られた研修証明書は、英文でマリーナ先生がいるアドラーユニバーシティーのサポートが明記されていて、和紙にプリントされたとても素敵なものになりました。これは山梨の仲間の佐藤丈さんが丁寧に作ってくれたものです。
 
 たくさんの、さまざまな立場の人の協力によって実現したワークショップです。皆さんに心から感謝を申し上げます。
 
Ws_2
 
 
 
 
 
 

| | TrackBack (0)

April 13, 2018

『太極拳全』再版!

 我が師による太極拳の基本テキストが長らく絶版中でしたが、この度再版されました。
 
 
 私は20歳のころからかれこれ30年以上、正宗太極拳99勢という長い太極拳を学んできましたが、全然飽きないでいます。1920年代、南京中央国術館において、当時の太極拳の有名流派を統合してできた太極拳で、いわゆる伝統拳のエッセンスが詰まった素晴らしい型です。健康によいのはもちろん、護身術としても完成度が大変高いといえます。
 
 私が始めたのは若い頃だったので、別に健康志向ではなく、ひたすら強くなりたい一心でいた時に出会いました。特別熱心な生徒ではありませんでしたが、太極拳をすることで得られる気持ちよさと武術的効果が気に入って、今に至っています。
 
 50を超えた最近はさすがに強くなるのはどっちでもよくなって、健康志向寄りになっていますが、このまま死ぬまでこの太極拳を練っていくことになるのでしょう。
 
 一生できるのが太極拳のよいところですね。
 
 本書はその基本テキストです。
 
 売り切れ中の時期は、Amazonのマーケットプレイスでなんと2万円にもなっていましたが、ようやく適正価格で買えるようになりました。
 
 本書だけで太極拳をマスターすることはできませんが正宗太極拳の連続写真や、その歴史、技の解説と内容が豊富で(その分厚いですが)、前記事の王樹金老師のお写真もたくさんあり、資料的価値の高い本です。
 
 「本物」に関心のある方、是非ご覧になってください。
 
 

| | TrackBack (0)

April 09, 2018

達人は達人を知る

 フルコンタクト空手の元祖、老舗といえばいわずと知れた極真空手ですが、その中でも現在の極真空手道連盟極真会館館長・盧山初雄氏は最も知られた人でしょう。
 
 若き日は必殺のローキックであまたの試合に勝ち抜き、栄光を得ながら、極真空手以外にも積極的に学び、強烈な剛の空手で知る人ぞ知る中村日出夫氏(甲府に道場を構えていたそうです)や太気拳の沢井健一氏に師事しました。70歳になる今でもひたすら武道修行に邁進しているすごい人です。
 
 その盧山先生が、私の太極拳の師の師、王樹金老師を絶賛しているのが『月刊 秘伝』(2018年4月号、BABジャパン)に載っていたので、記念にメモします。盧山先生の半生をたどる特集記事の一部です。
 
 一般に剛の空手家は、あまりにも柔の太極拳は認めないか理解しないものですが、良いものは素直に認める度量を持ち、そこからもどん欲に学び取ろうする蘆山先生は、意外に狭量な人が多い武道界で稀有な存在です。
 
盧山 私は王樹金先生から直接、太極拳の型や五行拳を習っていたんですよ。あれほど型ができる人はいまだに見たことがないですね。手から発する気が納豆みたく糸を引くようで、身体も上下左右に自在に動く。今ではもう会いたくても会えない名人の方々との縁に恵まれ、私は武道家としてめったにないチャンスをいただいたと思います。  P26
 
 澤井先生のように質問したり、実際に手を交えさせていただいたということはありませんでしたが、王樹金先生は型を通じて、“やっぱり、この人は凄いな”と思いました。そこに居ない敵が空間に見える、三次元的な方(演武)なんですね。あの手の感じは今でも忘れないです。
 p35
 
 王樹金老師の貴重な動画です。
 
 
 

| | TrackBack (0)

April 07, 2018

鞍馬寺参詣

 先日京都、鞍馬寺に行ってきました。
 
 パワースポット巡り、スピリチュアル好きには聖地といってもいいらしいですね。
 
 私は牛若丸の話以外、別に鞍馬寺に詳しいわけではなく、神様に呼ばれたというわけでもなく、「花見にいいよ」と友人に呼ばれただけですが、行ってみたらいや、すごくよかったです。
 
Photo_2
 
 叡電の終点・鞍馬駅を出ていきなり天狗のお出迎え。
 
 甲府も京都市街も桜は散りつくしてましたが、やや標高が高いそこは、ちょうど散り終わる間際という感じで、桜吹雪の中の境内は、神秘的ながらも明るく、時に「不気味」とネットで評される雰囲気とは明らかに違っていました。
 
Photo_3
 
 山門です。
 
Photo_4  
 
 「日本一短いケーブルカー」で上がって、まず目に入るのが多宝塔。桜が満開でした。
 しばらく本殿金堂に向かって歩きます。
 
Photo_6
 
 金堂。この中に毘沙門天、護法魔王尊、千手観世音菩薩がおられます。
 荘厳な雰囲気でした。
 私も近日あるワークショップの成功や諸々祈願してきましたよ。
 
Photo_9  
 
 金堂の横にある本坊、地面の白いのは桜の花びらで、絨毯のようでした。
 
 平日で曇天、昼前から降り出した小雨の中、普段は参拝客がとても多いそうですが、この日は私を含めてほんの数人しかおらず、まるで私を待っていたかのように感じてしまいました。
 
 Photo_10
 
 そして金堂の正面の地面には、スピリチュアル好きには有名な六芒星の印が敷かれています。ここが最高のスポットで、宇宙のエネルギーが集まるとかなんとか。土日にはここに立ちたい参拝客で列をなすそうです。この日はガラガラ。
 
Photo_11
 
 当然私も立って祈願。
 
 鞍馬寺は鑑真和上の弟子が開いたというし、とてつもなく奇怪な伝説が伝わっているし(600万年前金星から神だか宇宙人がこの地に降りてきたとか)、他にはない秘教的な儀式が伝わっているらしいし、相当に古く、古神道的で神仏習合的で、単純な仏教の寺院というわけでもなさそうです。
 
 境内を歩くと、体感的には確かにきめの細かい「気」の質感があり、私にはとてもフィットする感じがしました。下に降りたときにその違いがはっきりわかりましたね。この感覚が何を意味するかは私にはわかりません。大変興味深かったです。
 
 時間的に残念ながら奥の院には行けませんでしたが、いずれその機会があるかもしれません。

| | TrackBack (0)

April 05, 2018

アドラー派セラピーのエッセンスを学ぶWS、近づく!

 アメリカより著名なアドレリアンを招聘するワークショップがいよいよ再来週からスタートします。
 
 4月14、15日(土日)は駒澤大学。「アドラー心理学の基礎と実践 早期回想の理解と治療的アプローチ」
 4月18日(水)はヒューマン・ギルドで「アドラー心理学とメタファー」
 4月21、22日(土日)は、福岡で駒澤大学WSと同じ内容でやります。
 
 世界のアドレリアンの中で今、最も旬というか、中心にいるといっていいのがマリーナ・ブルヴシュタイン先生だと思います。昨年のミネソタで開かれた世界アドラー心理学会では、ホスト役として大活躍、最も光っていました。
 
 そして早期回想の達人、レジェンドといっていいのがアーサー・クラーク先生。
 
 先生の著書『Early Recollections : Theory and Practice in Counseling and Psychotherapy』は、とても参考になります。早期回想を使いこなしたいアドレリアン・カウンセラーは必携です。私にとっても、先生にサインをいただく千載一遇のチャンス!誰か通訳してください。
 
 先ほど、ワークショップの資料の翻訳を見ましたが、驚くほど充実しています。レベル高いです。
 こう書くと初学者は怖気づくかもしれませんが、ワークショップのタイトルにもある通り、基礎から話す内容になっているので、とても良い復習になると思います。初めてアドラー心理学に触れる人も、大丈夫ですよ。
 
 主催者側の私としては、今回このお二人を呼べたのが本当にうれしいです。日本のアドラー仲間には是非お二人を知っていただきたいと思います。
 
 その後には懇親会もあります。
 
 貴重な機会をお見逃しなく。
 
 

| | TrackBack (0)

April 01, 2018

意識と動き

 先日某所で、古武術研究家・甲野善紀さんの息子さん、陽紀さんの講座に参加しました。
 
 お父さんが「自分より才能がある」と言うくらいで、確かに直観と論理がうまく組み合わされたとても面白い時間でした。
 
 陽紀さんのガイドでワークが進み、身体のどこに意識を置くかで、動きの質が全く変わってくる、そんな体験をしました。参加者もみんな驚き、笑顔になっていましたね。
 
 内容は詳しくは書けませんが、今回は膝や肘への注意の向け方でした。陽紀さんは武術家ではないので武術そのままではなく、ある意味で抽象化された内容ですが、具体的でもあり、日々の生活や稽古で使えるものでした。
 
 うまく消化して、アドラー心理学の「全体論」の講義の中で伝えられたら面白いと思いました。
 
 ところで、甲野さんみたいに、体のちょっとした使い方のコツを教えることが仕事になる、というのが今の時代です。
 
 昔は体を動かすのが当たり前で、武術にしろ、農業にしろ、各分野で体の効果的な体の使い方を伝承してきたと思うのですが、今はそれがほとんど途絶えてしまったのでしょう。
 
 甲野さんの仕事や、私らのカウンセリングや心理臨床も昔はなくてもよかったけど、今は必要とする人たちがいるらしい、とういことです。
 ただ、単に昔のほうが優れていたというわけでもなく、各武術のエッセンスを取り出したアプローチは甲野さん親子のほかにもいくつも出ているし、幸せになるための心理学的知見もアドラー心理学以降、より明確に洗練されてきているのは確かです。
 
 

| | TrackBack (0)

March 29, 2018

『サビカス キャリア・カウンセリング理論』

 最近のアドラー心理学の動きは、『嫌われる勇気』に始まる爆発的な大衆化がまずありますが、その他に実はカウンセリングの世界でも静かに浸透しています。
 
 その代表的なものがキャリア・カウンセリングの分野。
 
 近年第一人者として注目されているのがマーク・サビカスという研究者、実践家です。アドラー心理学をベースにしたキャリア・カウンセリングの方法を開発したことで知られています。日本でも何冊も翻訳されています。
 
 
 アドラー心理学のライフスタイル・アセスメントをやや簡略にしながらも、クライアントが自分の仕事のタスクにどう取り組んで、仕事人生(キャリア)を作っていくかを援助するものです。
 注目すべきは、「早期回想」という子ども時代の思い出を使って、クライアントが自分のことをどうイメージしており、何を目指しているかを明らかにする技法を取り入れているところです。
 
 アドラー心理学のカウンセリングを学んだ人には、おなじみの技法です。ただ、学んでいない人には、ややわかりにくいところかもしれません。
 
 拙編著『思春期・青年期支援のためのアドラー心理学入門』(アルテ)でも紹介させていただきましたが、サビカスの方法は、仕事のタスクを考える際に大変有効だと思います。
 
 ただ本書の不満は、サビカス自身はアドラーにきちんと言及しているにもかかわらず、監訳者たちは「ナラティブ」「社会構成主義」といった最先端めいた流行の概念については言及しても、アドラー心理学については一言も触れず、訳語もテキトー(「幼少期の思い出」など)であることです。
 
 理論に対して学術的であろうとするなら、ちゃんと跡付けてほしいものです。
 
 それ以外は、実践家向けです。キャリアの問題にかかわるカウンセラーは、ぜひ参照して、できれば実際に学んでほしいと思います。
 

| | TrackBack (0)

«『3か月でクライアントが途切れないカウンセラーになる方法』