「孤塁の名人」
20世紀最高・最強の武術家として知る人ぞ知る存在が大東流合気柔術の佐川幸義。
その技量の高さは半端ではなく、まさに神業、92歳でなくなる直前まで屈強の若者や武道家、格闘家を投げ飛ばしていたそうです。
私が尊敬する高岡英夫先生も、近代最強の武道家として、形意拳・意拳の王向斎老師とならんで佐川氏を挙げていました。
80や90のお爺ちゃんが、体格や筋力の遙かに勝る男たちが本気でかかるのを、八百長やお手盛り抜きで一瞬で吹っ飛ばし、畳に完膚無きまでに叩きつけるなんて、壮快、まさに武道を学び達人を目指す者にとっては理想の姿ですよね。
しかし、その実際の姿は一切マスコミ等表に出なかったので、ほとんど知られていませんでした。
その佐川幸義をルポした本が出ています。
著者は作家として高名な津本陽氏。
剣道を修め、時代小説のプロとして鳴らした著者が佐川氏と出会い、なぜか気に入られ、道場に出入りするようになり、大東流を学びながら、佐川幸義という人間を描写しているのです。
資料的にも貴重な本です。
帯の推薦文には、なんと極真空手館長の松井章圭氏が書いています。
中身を見ると、佐川氏はもちろん登場しますが王貞治監督まで出て(一回体験稽古をしたようです)、なかなか豪華です。
お弟子さんや普通のライターが書いたものとは違って、一級の作家ですから、やはり描写力が違い、佐川氏の実際の強さや門弟との関係、道場の日常が生き生きと描かれていて読んでいて面白いです。
しかし、松井章圭氏が「大東流合気柔術を文章で表現できるのは、ご本人も武道をたしなまれる津本先生だけだと思います」と書いているにもかかわらず、確かに人が投げられたりするところはうまく描写しているけど、その佐川合気の秘密が明らかになったわけでは全然ありません。
むしろ、「なぜだかわからん」「不思議だ」「不世出」といった感想ばかりで、解明はもちろん、津本氏は合気を学ぶこともあきらめてしまったようです。
でも武道を学ぶ人は読んでみるといいと思います。
こんな人が、ほんの10年ほど前までこの日本に実在したのだと知ることは、良いことだとじゃないかな。
私も、一度、佐川幸義の合気を受けてみたかった・・・。















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