September 24, 2017

秋の研修講師

 8月末から9月は夏の暑さの疲れか不順な天候のためか、今一つパッとしない気分でしたが、なぜか今月は研修の講師が多かったです。備忘録としてメモします。
 
 8月30日(木)は山梨県の南部の身延町で「峡南地域教育フォーラム」で約90人の教育関係者を前に講演。会場には山梨日日新聞の記者も来ていて、翌31日には小さな記事ですが私の写真入りで、講演会の様子が出ていました。顔出しNGにしておけばよかった(笑)。
 
 9月3日(土)は、横浜の日本支援助言士協会「家族心理学」の講義。毎回呼んでいただいています。来月は7日に「発達心理学」をやります。
 
 9月9日(土)は山梨県看護協会に呼ばれ「自殺防止対策研修」で講義。 「心の危機に対応する勇気づけ」というテーマで、約40人の看護師、保健師さんに話をしました。
 
 9月14日(木)は夜でしたが、甲府市西部にある池田地区の地域住民の方たちへの「健康づくり研修会」で講師。 「健やかな人生を送るために~元気な心で元気な毎日を~」という、なんかタレントさんか作家の講演会みたいなタイトルをいただき、柄にもないと恐縮でしたが、こういう時にアドラー心理学を知っていると強いですね。私に元気がなくても、人々を元気づける話ができます。
 私への依頼はいつもは何らかの専門職からが多く、一般住民を相手に話すのは久しぶりなので内心緊張気味でしたが、講演後のアンケートは好評だったそうでよかったです。
 
 9月21日(木)は、山梨県北部の保健所管内の看護師、保健師さんの集まり、「施設看護管理者代表者会議」で「他者と良い関係を築き、仕事を進めるヒント」というテーマをいただき、職場での勇気づけについて話をしたり、講演後の全体討議でコメンテーターを務めました。
 
 9月24日(日)は、山梨県臨床検査技師会に呼ばれ「検査説明・相談ができる臨床検査技師育成講習会」で「患者心理と接遇」の講義をしました。臨床検査技師も最近は直接患者さんに対する機会が増えたので、基本的な面接法を学ぶ必要があるそうです。
 
 とまあ、いろいろな地域に出向いています。私としては心理臨床オフィス・ルーエの宣伝、営業になり、講演をきっかけにカウンセリングに来ていただくことも増えてきました。地方の福祉、医療系の団体にとっては東京の講師や学者を呼ぶほどの資金力がないので、地元にいる私は使いやすいようです。
 
 おかげさまで最近私は、地元密着心理系講師として、山梨県内なら少しは知られるようになってきたみたいです。
 
 

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September 19, 2017

オーラが見えるんですか?

 先頃、スクールカウンセラーとして勤務先の学校の先生から、
「先生、オーラが見えるってほんとですか?」
 と唐突に聞かれました。
「なんで?」
 と聞き返すと、
「なんか、ある別の学校の先生がそう言ったんです。『深沢先生、オーラが見えるらしいよ』って」
 その先生は興味津々な目で私を見ています。
 もちろん私は、
「そんなわけないじゃん」
 と否定しましたが、どうも県下の学校(の一部か)にはそういう噂が広まっているらしい。
 
 教員向けの研修会は今まで何度もやってきてますが、もちろんそんなことは言っていません。ただ、太極拳と気功法を教えているとはいつも自己紹介の中で話しているので、もしかしたらそこから尾ひれがついたのかもしれません。気功をしている → 気を操る → 気=オーラが見える となったのでしょうか。
 
 確かに日本一妖しい臨床心理士を目指しているとはいえ、勝手に噂になっていると「うーん、どうしようかな」と思ってしまいます。でも、
 
「まあいいか、向こうが勝手に神秘化してくれれば、まさに字義通りのハロー効果だし。これで来てくれれば、治らんものも治るかもしれんし」
 と思い直しました。
 
 今度聞かれたら、オーラ視でも霊視でも何でもしますよ、と言ってあげようかな。女子中高生の人気者になれそうだし。これまで保健室の先生が女子生徒に一生懸命カウンセリングを薦めてくれても、
「なんであんなおっさんに話しなきゃいけないのっ」
 と拒否られていたおっさんスクールカウンセラーの悲哀から抜け出せるかもしれません。
 
 そんな私が共著で書いた本、 『臨床アドラー心理学のすすめ』(遠見書房)は、8月に出て以来、割と堅調なようですが、Amazon書評欄に5つ星がついていました。書いていただいた中には、早稲田大学の向後先生と名古屋市でご活躍の名カウンセラー、竹内先生がいらっしゃいました。両先生、ありがとうございました。
 
 私は似非霊能者でも、書評は一流心理学者と一流カウンセラーが書いてくれていますから、中身はお墨付きです。安心してください。ちゃんとしてますよ。
 
 カウンセリングの勉強のために是非、お買い求めください。
 
 

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September 16, 2017

トラウマと瞑想

 マインドフルネス瞑想を使ったトラウマ治療を解説した大谷彰『マインドフルネス実践講義』(金剛出版)の最後の方に、トラウマ治療の今後について示唆的なことがサラっとあります。
 
 マインドフルネス瞑想を治療に使う臨床マインドフルネスは、トラウマの苦痛を和らげ克服し、ポストトラウマ成長(Posttraumatic Growth : PTG)を目指すのに対して、本来のマインドフルネス瞑想を継承してきた仏教側(本書ではピュアマインドフルネス)の見解が引用されています。
 
(引用開始)
 
 ピュアマインドフルネスのパラダイムでは仏教の教える無常(amica)と無我(anatta)の観点からトラウマ体験を捉えます。これは大パリニッタパーナ経仏典にある次の偈に明示されています(中村,1980)。
 
 つくられたものは実に無常であり、生じて滅びるきまりのものである。
 生じては滅びる。これら(つくられたもの)のやすらいが安楽である。
                          (中村元=訳,pp160-161)
 
 トラウマ体験とそこから生じるPTSD症状も「つくられたもの」であり、「生じては滅びるきまり」に従います。この原理を理解し、トラウマからの苦痛ををありのままに捉え、それから自由になることが「安楽」となるのです。これはけしてトラウマを否定したり、PTSD症状を忍従することではありません。むしろマインドフルネスによって・・・
                                         p145
(引用終わり)
 
 やさしい大谷先生は臨床家らしく最後の方に、「これはけしてトラウマを否定したり…することではありません」と注釈を入れていてその通りなのですが、でも、ある意味で否定と言ってもいいことにもなり得ると思います。別にそれは悪い意味ではありません。
 
 瞑想の果てに「すべてはつくられたものである」「すべては空である」と世界の空性を自覚することが「悟り」であるなら、当然その境地からすればトラウマだって「空」のはずです。
 
 トラウマには本当は根拠はない、と悟ったときに真の解放が来るのは、論理的に必然のように思われます。
 
 その道には慈悲、コンパッションというのもありますが、別に瞑想も仏教もヒューマニズムではないと私は思います。生命の実相を悟る道に過ぎません。ただそれで食っている坊さんたち始め、その業界人は、いろいろ継ぎ足して言うでしょうけど。
 
 だからトラウマに苦しむ人は、瞑想や何らかのスキルで症状や辛さを処理できるようになったら、次はここを目指せばいいのです。
 
 今のトラウマ学の最先端はトラウマの脳を含む身体への影響らしいですが、その緩和のために瞑想を使うのは、ボディーワークの一つとして扱っているということになるでしょう。別にそれが悪いわけではなく、今の臨床マインドフルネスの在り方であり、限界ということです。私もそのために使っています。しかし、身体に縛られていては空には至れません。
 
 これは私の妄想ですが、マインドフルネス瞑想を始め効果的なトラウマ治療が出尽くした後に臨床家が至るのは、あるいは気づくのはこの境地かもしれません。
 
 ということは、その昔、アドラーがいみじくも言った、「トラウマは存在しない。ショックがあるだけだ」という考え方に近づくことになりそうです。またもアドラーさん、先走っている。
 
 ただ、それは簡単な道ではないでしょう。だって坊さんたちが何年も山で修行して悟るようなことだから。
 
 しかし、これも未来は意外に簡単に至れるようになるかもしれません。実はその方法の青写真は私にはあるのですが、あまりにも現代臨床心理学のパラダイムの外なので、いつか確信を得たら発表したいと思います。いや、ないかなあ。
 
 

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September 13, 2017

お別れの会

 今日、午後6時、甲府市のセレモニーホールで「お別れの会」に行きました。
 
 山梨のアドラー仲間、梅谷浩章さん、通称「梅さん」の葬儀に参列するためです。
 
 宗教やスピリチュアリティーに深い関心と独自の考えを持っていた彼らしく、生前から、宗教色の薄い「お別れの会」を希望されたそうです。
 
 会には山梨のアドラー仲間だけでなく、東京や神奈川から駆けつけてくれた人たちもいました。こんなところで再会するとは。
 
 献花を捧げた後、その奥の部屋に通されました。そこで用意された食事をみんなでいただきながら、故人を偲びました。
 これも生前、梅さんが希望したスタイルのようです。「あいつ、バカやってたな」と騒いでほしいとでも思ったらしく、さすがに騒ぐわけにはいきませんが、各自が梅さんとの関わりを話したりして、穏やかな空間でした。
 
 梅さん自身のことは岩井俊憲先生の方がよくご存じで、訃報にショックを受けながらも味わい深い追悼記事がアップされています。岩井先生は弟分のような気持でいたようです。
 
 元々埼玉だったか、他県にいた梅さんがヒューマン・ギルドの講座で知り合った奥様と暮らすために山梨に引っ越した後は、みんなと定期的にやっている学習会に何度も奥様とともに参加してくれました。忘年会などでも何度もご一緒しました。
 私のカウンセリング・オフィスにも、いろいろな折に訪ねてきてくれました。 
 
 アルコール依存症などからの回復という壮絶な人生を背景にしたアドレリアンとして、これから活躍の予感があっただけに、実に残念です。
 今となってみれば私としては、人生遍歴の豊富な彼とカウンセリング論などを率直に戦わせてみたかったです。
 やるべきことは、いつも後回しで後悔してしまうものです。
 
 心よりご冥福をお祈りいたします。

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September 12, 2017

『マインドフルネス実践講義 マインドフルネス段階的トラウマセラピー』

 マインドフルネス瞑想を臨床でさらに実践的、効果的に使うための必読書です。
 
 
 以前大谷先生のWS体験(マインドフルネスの基礎と実践)や著書をアップしましたが(マインドフルネス入門講義)、本書は前作の続編であり、さらに詳細に心理療法でいかにマインドフルネス瞑想を使うかを説いています。
 
 マインドフルネス瞑想の全体像と科学的エビデンスをできるだけ網羅しながら、トラウマ治療にどうやってこれを用いるかを説明しています。
 それをマインドフルネス段階的トラウマセラピー(Mindfulness-Based Phase-Oriented Trauma Therapy : MB-POTT)と呼びます。
 
 私には、以前からこのやり方でいけるのではないかと思っていたこととほぼ同じ内容が書かれてあって、権威からお墨付きをいただいたみたいで、勇気づけられました。
 
 瞑想を使ってセラピーをやるには、けっこうセンシティブな感覚と、瞑想や変性意識に関する詳しい知識や経験が必要だと思います。やはり相応の瞑想体験はあった方がいいのはいうまでもありません。
 ただ、別に悟りを目指すわけではないのだから、ある程度経験のある人には、意外に難しいことではないと思います。
 
 本書を読むことは、マインフルネス臨床のエッセンスを受け取る契機になるかもしれません。
 

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September 10, 2017

朝日カルチャーセンターでアドラー心理学講座

 お知らせするのを忘れてましたが、9月16日(土)に神奈川県藤沢にある朝日カルチャーセンター湘南教室で講座をします。
 藤沢駅のルミネの上の階にあるのですね。
 
 
 同教室はアドラー心理学に関心を持ってくれていて、定期的に呼んでいただいています。毎回テーマを決めていく、ほぼ連続講座になっています。
 でもいつも基本から入っているので、初めての方でも大丈夫です。
 
 私にとっても、今までにない趣向なので、勉強になります。
 
 是非、ご参加ください。
 

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September 05, 2017

日本臨床・教育アドラー心理学研究会研修会

 9月3日(日)は横浜に行き、日本支援助言士協会で「家族心理」の講師をしました。
 
 家族心理学、家族療法の基本的な概念と実習をやりました。ジェノグラム(家系図)作りのワークが私は好きなのですが、今回も参加者から「やっていくといろいろ思い出されて、気づきがあった」と感想をいただきました。
 
 この日本支援助言士協会では、10月7日(土)にまた研修会を担当します。次回は「発達心理学」です。
 
 さて、日本臨床・教育アドラー心理学研究会で、恒例の研修会をやります。
 今年は、最近話題のオープン・ダイアローグとアドラー心理学を絡めます。
 両者は直接的な因果関係はないようですが、その臨床思想には驚くべき共通点が多くあるように思われます。
 
 どういうことになりますか。
 
 講師は手練れの八巻秀先生(駒澤大学教授)、きっとエキサイティングな学びになると思います。
 
 しかも、受講料は格安!
 
 是非、ご参加ください。
 
 事前参加申し込みは、コクチーズHPからお願いします。当日参加も可能です。
(コクチーズからの貼り付け)
日本臨床・教育アドラー心理学研究会 2017年度研修会

〈オープンダイアローグとアドラー心理学〉

 今年度の研修会は、駒澤大学の八巻秀先生を講師に迎えて「オープンダイアローグ」を学びます。近年、主に精神医療の分野で大きな注目を集めている臨床技法&思想であるオープンダイアローグを、講義と実習を交えてわかりやすく学びます。アドラー心理学との共通点も多いこの技法を現場で使う可能性を探ります。心理臨床の方はもとより、教育においても活用が期待されます。
 
 また、今年は当会の関係者による書籍が揃って出版されており、この機会に著者がそろって以下の本を紹介します。
『アドラー心理学を活かした学級づくり』会沢信彦編著 学事出版
『勇気づけの教室をつくる! アドラー心理学入門 (心理学 de 学級経営) 』佐藤丈著 明治図書
『臨床アドラー心理学のすすめ』八巻 秀・深沢孝之・鈴木義也著 遠見書房
『思春期・青年期支援のためのアドラー心理学入門』深沢孝之編著 アルテ
 
 なお、2018年3月4日(日)に日本臨床・教育アドラー心理学研究会第7回大会を開催予定です。

        日本臨床・教育アドラー心理学研究会 
          鈴木義也・会沢信彦・深沢孝之・佐藤 丈・八巻 秀



1.日 時
 2017年10月28日(土曜日) 13:30~16:30

2.場 所
 文教大学越谷校舎 12号館1階 12101教室
 (東武スカイツリーライン「北越谷」駅下車徒歩12分)

3.参加費
 ●予約参加:2,000円
  (10/21(土)までにこくちーずまたはFAXで申込んだ場合)
 ●当日参加:3,000円
  (10/22(日)以降の申込および当日参加) 
 ※いずれも当日会場での現金払い。口座振込はありません。
 
4.講 師
 八巻 秀 氏(駒澤大学文学部心理学科教授・やまき心理臨床オフィス代表)
 臨床心理士。精神科クリニックやカウンセリングセンターなどで、家族療法やブリーフセラピーを実践する傍ら、アドラー心理学を学びつつ臨床実践してきた。現在は、オフィスでの臨床実践や大学院での臨床心理士養成を行いつつ、全国各地でアドラー心理学の講演や研修などの講師としても活躍している。オープンダイアローグとアドラー心理学との共通性について、その研究と実践も行なっている。
 オープンダイアローグ・ネットワーク・ジャパン会員。

5.参加資格
 教育あるいは対人援助に携わる専門職もしくはその分野の学生。
  ※本会は会員制ではないので入会申込や年会費はありません。
   今後、メールでの連絡を希望される方は当日お申し出ください。

6.申込方法
 このサイトからお申込みください。FAXでの申込みも受け付けます。
 申込専用FAX 03-5256-0538
 ※当日参加も可能です。

7.問合先
 日本臨床・教育アドラー心理学研究会
 〒343-8511埼玉県越谷市南荻島3337
 文教大学教育学部心理教育課程 会沢信彦
 TEL 048-974-8811  E-mail aizawa@koshigaya.bunkyo.ac.jp 
 ※学校心理士の方は更新ポイントB研修会となります。

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September 02, 2017

『ニーチェに学ぶ「奴隷をやめて反逆せよ!」』

 8月30日は山梨県の南部にある身延町に行き、「峡南地域教育フォーラム」で講演会をしました。「学校・家庭・地域の連携」というメインテーマで、私は思春期の子どもへの勇気づけについてお話をしました。
 地域の教育関係者、一般の方、約80人が参加してくれたようです。はじめは固い表情の参加者が講演会の終わりころには柔らかい表情になってくれたのがよかったです。
 
 さて、前記事はトランプ大統領のことでしたが、昨年、そのトランプ当選を大統領選中の早くから予言・断言し、本にまで著した人が副島隆彦先生でした。言論人であそこまで言い切ったのは、先生だけでした。その慧眼を、知的に誠実な人は認めるべきだと私は思ってきました。
 その後、さすが五木寛之氏や佐藤優氏がそれを認めるべき発言をどこかでしていたそうですが、大抵の器の小さい文化人、マスコミ人は、それを認めないのか、黙殺しているようです。
 
 そのようにいつも孤独な副島先生が、やはり孤独な大哲学者、ニーチェに深く共感し、入れ込んで書き上げた本が最近出ています。
 
 
 私も若い頃からニーチェの本は解説も含めて何冊か読んできましたが、面白さを感じつつも、いまひとつわかり切れていない感じがありました。
 大学生時代、『ツァラトゥストラはかく語りき』はほんとに面白い読み物で、強烈なエナジードリンクでしたが、結局はそれだけでした。
 でも現代の哲学者や思想家によるニーチェの解説はさっぱり面白くないし、わからない。
 
 自分の頭の悪さのせいと思いもしましたが、やはりそれは、ニーチェ死後150年間の解説者の「ニーチェ無理解」がいけなかったと、副島先生は断言します。
 
 本書で副島先生は、ニーチェ思想の本質と、ニーチェの人生、人間関係を、いつもの明晰で激しいけれど、どことなくユーモラスな文体で描きつくそうとしています。読んでいて、つい引き込まれてしましました。
 ニーチェの思想の核心とは何か。
 それは、ローマ教会キリスト教に向かって、お前たちこそが人類の悪そのものなのだ、とえぐり出したことだ。ローマ教会キリスト教こそが、人類に奴隷の思想を圧し付け、いろいろな巨大なウソを人間に吹き込んだ諸悪の根源だ。人間は本当はひとりひとりが自由に楽しんで生きていいはずなのに ― ニーチェは人類のこの巨大な真実を暴いた人だ。  (帯より)
 哲学に関心があるけど、とっつきにくいとか読んでもわからなかったという人は、是非お試しください。
 ニーチェが何と戦っていたのか、ニーチェの人生の流れと西洋の思想史ともに身に入ってきます。
 
 それにしてもニーチェと作曲家ヴァーグナーが同性愛の関係だったとは知らなかった。
 

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August 29, 2017

トランプとバノンの戦い

 多くの人が気づいていると思うけど、安部内閣、安倍首相が危なくなると不思議に北朝鮮のミサイルが発射されます。なんででしょうね。今朝からのテレビの騒動は見れば見るほど、しらけました。
 
 先日、トランプ大統領の盟友で側近のバノンが首席戦略官を解任されたという報道がありました。早速、トランプ政権の崩壊は近いとか、追い詰められていると日本のマスコミははやし立てていました。
 国際情勢やアメリカ政治は複雑すぎてよくわからないのですが、日本の報道はおそらく全く間違っているでしょう。なにせ昨年、ヒラリー・クリントンを推し続けて、当時のトランプ候補をdisり続けてあの結果、赤っ恥をかいたくらいですから。
 
 田中宇さんの分析が興味深いのでメモします。
 
【2017年8月21日】 トランプ政権は、(1)貿易や外交の分野での覇権放棄・貿易圏潰し、(2)国内経済のテコ入れ、政権維持策としてのバブル延命、(3)米国社会を分裂させて支持基盤を拡大、の3つの戦線をたたかっている。今回は、共和党に阻止されている(2)を進めるためバノンが辞任し、バノンは政府外に戻って(3)の推進に注力することにした。(1)は、バノンがいなくても進められる。(2)が失敗して今秋、米政府閉鎖や金融危機が起きると、トランプの人気は下がるが、米国覇権の衰退に拍車がかかり、トランプやバノンの目標である米覇権の解体が進む。
 困ってしまうのは、どっちかと言うとリベラルの私は、アメリカのリベラル勢力を推すとその背後の軍産勢力を支持するのと同様になってしまうことです。まあ、私がどっちを推しても関係ないけど、心情的には軍産とイスラエルを推すのは嫌ですね。
 
 それにしても自国を分裂させることは一見とんでもないことのようでいて、米国の覇権を潰させ、軍産と戦うことになるという、なんとも高度な戦略です。

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August 26, 2017

『ディスコースとしての心理療法』

 長く日本の家族療法、ブリーフセラピー、ナラティブ・セラピーをけん引してきた児島達美先生(長崎純心大学教授)の論文、記事をまとめた本で、これらの分野に関心のある私には大変面白く、参考になる内容でした。
 
 
 ディスコースは「言説」とセラピーや現代思想界隈で訳されることが多いと思います。ただの言葉や文章というより、言葉によって出来上がる思考の枠組み、意味づけ、現実のあり方なども含まれている思います。いわゆる社会構成主義といわれる立場でよく使われます。
 
「心理療法は内面の何かを明らかにしたり、行動をあつかうものではなく、つまるところ、ディスコースである」という筆者の立場がそのまま書名になっています。
 
 なんか難しそうに聞こえるかもしれませんが、臨床やカウンセリングをやっている人ならとても実践的な内容であることが本書を読むとわかっていただけると思います。
 
 本書では入門書にありがちな、家族療法やブリーフセラピーなどをわかりやすく解説するというより、それらを筆者がどう思っているか、どう付き合ってきたか、自身の臨床歴と共に語られています。ナラティブ・セラピーに至っては、いまだ「輪郭を明瞭につかめないでいる」とまで告白しています。
 その上で、それらの最新のセラピーの魅力について十分に語ってくれています。
 
 確かにナラティブ・セラピーの本は、文字がやたら多くてページに詰まっているものが多く、読んでもすっきりした感じがしないので、わかりにくいと感じてしまうことは私にもよくあります。解決志向アプローチに比べて、つい敬遠してしまう。
 
 私は本書で、ナラティブ・セラピーの見取り図ができました。
 
 本書の後半は、筆者と筆者の友人の和田憲明先生(故人)がスーパーヴィジョン(SV)をしている章がけっこうあり、とても興味深いものばかりでした。うつ病、統合失調症、小学生の子どもの3つのケースですが、逐語録と共に、かなり丁寧に参加者が語り合っています。
 その中でSVを受けた人がまとめたところが面白かったのでメモします。
①面接を構造化しなくてはならない。 → 必ずしもそれが役に立つとは限らない。
②患者の言動・行動には心理的な意味がある。 → 聞いてみないとわからない。
③妄想を症状として捉える。 → 妄想には文化がある。
④面接の解釈。 → 患者とのやりとりから見出す。
⑤行き詰った面接 → 楽しく・気持ち良く・おもしろおかしく。  p195
 
 ほんとにその通りですね。
 中級者向けの本かもしれませんが、自分のセラピーを見直すのに役立つと思います。
 

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