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April 08, 2005

心理査定・判定とライフスタイル診断

 どの心理療法でもクライエントと治療を実施するに先立って、心理的なアセスメント(査定)をする段階があるものです。児童相談所では心理判定といいますが、臨床心理士の世界では、心理アセスメント、見立てといった言い方が多いようです。
 特に児童相談所では、ケースワーカー(児童福祉司)による社会診断、子どもを保護している一時保護所からの観察会議、精神科医師の医学診断と併せて、「総合判定」をして、子どもの処遇を決めることが建前になっています。

 一般に心理担当者は、心理テスト(知能テスト、性格テスト)各種を使い分けながら、子どものパーソナリティーを明らかにするという「任務」が課せられています。
 僕も同僚や他の児相の人たちに習って、心理テストをよく実施しています。知能テスト(田中ビネー、WISCⅢ)、性格テスト(文章完成法、バウム・テスト、HTP、ロールシャッハ、TATなど)を適宜組み合わせて使い分けます。
 しかし心理テストの結果はただのデータ、それを「心理学的に」意味づけないと、専門家からは理解してもらえません。その際、僕は既成の心理テストを解釈するベースとして、ライフスタイル診断というアドラー派のやり方を重要視しています。 

 ライフスタイルとはアドラー心理学独自の用語ですが、一般の人格心理学でいう性格、パーソナリティーに近い意味を持っています。ライフスタイルの定義には、「人生の運動の線」「生きる上での問題に対して創造的に対処する際の個人に特有のやり方」「ライフスタイルとは信念の集合体であり、態度の群であり、個人の態度の参照枠であり、認知の枠組みである」などなど、アドラー派の人たちの中でもいろいろあります。
 ただ、他の心理学のパーソナリティー理論と違うのは、「人間は分割できない全体」であり、過去に押されるのではなく、未来の目標に向かって生きていくといった「目的論」が根底にあるところです。
 個人を要素の寄せ集めとは考えないのです。

 ライフスタイル診断とは、その個人のライフスタイルの構造を理解し、解釈するための方法です。そのやり方は、特に難しくないのですが、ある程度専門的なトレーニングが必要でしょう
 ライフスタイルを理解するためには、①家族布置 ②早期回想 ③特殊診断質問 といったものをクライエントから聞いていきます。その上で、その人から見た家族像と力学、早期回想から判断される基本的信念の体型、内的・外的な精神力動を判断していきます。

 その人はどんな価値観、考え方を持って生きているか、どんな風に人生を送りたいのか、何を求めているのか、何を避けているのか、他人や世界に対してどんなイメージを持っているかなどなどがこちらに見えてきます。
 一方的に解釈してクライエントに押しつけるのではなく、慎重に解釈を相手に返してこちらの理解を修正して、お互いに共通の理解を得られるように努めます。
 アドラー派としてはそれで十分なのですが、公的機関にはそれを根拠づけるデータを必要とします。
 ライフスタイル診断で得られた理解を文脈にして、心理テストの結果を位置づけていくと、自分で言うのも何ですが、とてもスッキリとしてわかりやすい所見が作ることができます。一見バラバラなデータを整理して、その人の認知スタイルや生き方と関連づけていくことがうまくなります。

 心理査定を勉強したり、実践されているカウンセラー、臨床心理士には、是非アドラー心理学のライフスタイル診断を身につけられることをお勧めします。

 

 

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Comments

頼藤&アドラーファンのハンドルネームぐうたら三昧です。

来年から本格的にライフスタイル診断を勉強しようと思っています。

そこでアド仙人さんに質問なのですが、アド仙人さんは、どのようにして、ライフスタイル診断を学んでいかれたのでしょうか。

お時間のあるときにでもお教え願えると、今後の参考になります。

P.S.
メールアドレスは、スパムが増えるかも知れないという不安からデタラメに入力していることをお許しくださいm(__)m。最近のシステムは、その辺もちゃんとしている可能性もあるとは思うのですが、いかんせん小心者なものでして(^_^;)。

Posted by: ぐうたら三昧 | December 08, 2005 11:54 AM

 ぐうたら三昧様
 頼藤&アドラーファンとのこと、同志を得た思いです。よろしくお願いします。
 ライフスタイル診断をどのようにして学んだのか、というご質問ですが、僕もまだ十分に身に付いたとは言えませんが、自己紹介がてらお答えします。
 学んだ場所は、右のサイドバーにあるヒューマン・ギルドというところです。だから代表の岩井俊憲氏は、僕の師匠になりますね。僕の「大人のモデル」といってもよい方です。
 でも講座に出ただけではなかなか身に付きませんから、何らかの実践の場所が合った方がよいでしょうね。
 幸い僕の場合は仕事が福祉の相談機関だったので、ケースにはこと欠かず、たくさんの方のライフスタイル診断と心理テストを実施する機会がありました。まずは量をこなせば、自分なりのスタイルができてくると思います。
 でも独りよがりにならないためには、アドラー心理学の勉強会や事例検討会などに出て、自分のやり方をチェックし合うことが大事でしょうね。お稽古事と一緒で、実際に学んだり体験する場にいることが一番能率的だと思います。
 こんな感じかな。
 ぐうたら三昧様もお仲間になっていただけると、ほんとにうれしいです。

Posted by: アド仙人 | December 09, 2005 12:00 AM

アド仙人様

早速のお答えありがとうございますm(__)m。
ぜひせひお仲間に加えて頂ければと思います。
私の方こそ、よろしくお願い致します。

現場・講座(勉強会・事例検討会)の三つ巴で、磨いていくのがよさそうですね。

お稽古事って言葉がなんだかしっくりきました。

ヒューマンギルドには、99年頃から、時折、登場しております。頼藤先生の本もヒューマンギルドの会報で知りました(その時紹介されていたのは『精神科医とは何者であるか』でした)。

毎年、「今年こそはやるぞ」と思っているのですが、なかなか持続できません(*_*)。

「できない」→「したくない」と翻訳(?!)されてしまう裏事情(?!)も知っているので、大変、痛いところではあります(>_<)。

閑話休題・・・。

さて、ライフスタイル診断を学びたいと思ったのは、今年の3月に修士課程を修了し、初めて現場(学校系)に出て「ああ、ここで早期回想とかやれたらいいのになぁ」とか、使う場面もよく分かっていないのに思うことしばしばだったことがキッカケでした(←意味不明)。そこで、性懲りも無く、何度目かの改心に至ったわけです(^_^;)。

まだまだ未熟そのものの私ですが、少しずつできるようになれたらなぁと思っています。

これからもよろしくお願い致しますm(__)m。

P.S.
臨床心理士資格試験には、確かに共同体感覚が出ていました。共同体感覚の説明文があって、それを提唱したのが、フランクルとなっていて、×だったように思います。

Posted by: ぐうたら三昧 | December 09, 2005 06:11 PM

 ぐうたら三昧様
 こちらこそよろしくお願いします。近いところにいたんですね。とてもうれしいです。
 特にきっちり心理学をお勉強されたみたいだし、大事な人材だと思いますよ。今後のご活躍をお祈りしています。特にアドラー心理学は、児童や学校の臨床にとても役に立ちますからね。共に学び合っていきましょう。
 ついでに、このブログにも何でもコメントしてくださいね。
 臨床心理士試験の問題のこと、僕も聞いていました。一問得しましたね(^_^)v。

Posted by: アド仙人 | December 09, 2005 11:51 PM

アド仙人様

またまたレスありがとうございます。

院を出たとはいえ、気がつけば、手持ちの駒が何も無く、現場で、右往左往しているのが実情でございます(>_<)。

このブログは、よく閲覧しておりますので、ときおり、質問などをするときがあるかも知れませんが、そのときは、また、よろしくお願い致しますm(__)m。

P.S.
共同体感覚の記述がある問題が過去問に入れば、ちょっとだけ宣伝になるかも知れませんね(^v^)。

Posted by: ぐうたら三昧 | December 11, 2005 01:21 AM

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