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June 13, 2005

僕の武道修行3・青年編

 ずっと心理学ものが続いたので、ここらで気楽に武道ものを入れさせて下さい。

 大学生になって何か武道をやってみたいと思いながら、どれにするかなかなか決められない時期が続いていました。大きい大学でしたから、大抵の武道はそろっている感じでした。でも体育会系はちょっとな・・・、他にもやりたいことはあるし、意味もなく厳しくて気楽に休めそうもないというイメージがあって入る気はありませんでした。
 やるなら今度は合気道より拳法がいいな、とは漠然と思っていました。そんな中、ふと太極拳という言葉が頭に浮かんでいました。別に詳しく知っていたわけではありません。太極拳といえば、ゆっくり動く健康法という一般の方が持つイメージと同じものしか当時の僕は持っていませんでした。
 まだK-1も総合格闘技もない時代、単純に強くなりたければ、フルコンタクト空手という選択肢ぐらいしかなかったのですが、合気道で技の奥深さを知ったことで、技術的に高度なもの、伝統的で本格的なものがいいなと思っていました。今と違って、古伝、沖縄空手など空手の精妙な技術が喧伝される時代ではなく、知らなかったことも大きかったと思います。

 何より、前にも書いたトランスパーソナル心理学の影響もありました。そこでは、心身を統合する実存レベルのセラピーとして、ロルフィングやバイオ・エナジェティックスなどボディーワークやゲシュタルトセラピーのような身体性を重視したセラピーが紹介されていました。中でも東洋的な行法としてインドのハタ・ヨガや中国の太極拳もよく挙げられていました。何でもアメリカのエサレン研究所などでよくこういったものが行われているとか・・・。

「ああいうのもセラピーとして考えるんだ、ふーん」という感じで、何か辛気くさい座禅とか瞑想よりも僕の性にあっていそうだな、と思っていました。

 サークルの先輩に話すと、「吉福さんのところに松田隆智という中国武術研究家が出入りしているから聞いてみたら」と言われたこともありましたが、よく知らなかった僕は、あえてそこまでしませんでした。後年になって、有名な中国武術研究の第1人者だったことだったことを知ってびっくりしました。お会いしてたら道が変わっていたかな。

 それでいくつか都内の教室を探して見学してみたのですが、やはり武道というより体操教室という感じで(今思えば簡化太極拳か楊名時太極拳だったみたい)、あまりそそられませんでした。
 ある日、高田馬場駅から早稲田通りを西に向かってブラブラ歩いていると、ふとビルの入り口に太極拳と白い紙に黒く毛筆で書いただけの張り紙を見つけました。
 そこは、ボウリング場とカルチャーセンターの建物でした。それにしては、シンプルで飾り気のない張り紙が、かえって目立っていました。
 もしかしたら、と興味がわいたものの、何日か迷った後、意を決して見学に行ってみました。

 そっと教室のドアを開けると、そこに黒いカンフー服を着た50代らしき年輩の男性が立っていました。他に生徒さんはわずかに二人、見学をお願いすると、その男性(先生でした)が快く椅子を勧めてくれました。
 そこの太極拳も、やはり実にゆっくり、ゆったりと動くものでしたが、何かがそれまでに見たものとは違っていました。凛とした鋭さが動きの中に感じられ、ただ動作を緩慢にしているのとは雰囲気が明らかに違っていました。武道としての緊張感が漂ってくるのです。

 型の後は、二人で腕を押したり引いたりし合っているような組み手が始まりました。一方が押すと相手はそれを手首付近でフワッと受け、そのまま後ろに流していく、それを交互に繰り返していました。推手という太極拳などの中国武術に特有の組み手稽古法でした。

 先生も日本人でしたが、静かな佇まいの方で、華奢な体型ながら、柔らかな感じの後ろ姿が印象的でした。僕が見てても、特に教室の宣伝をするわけでもなく淡々とされてましたが、最後に「これは本物ですよ」と一言仰ったのが決め手になりました。

「いいかもしれない。ここに通おう!」ここから、僕のつかず離れずの、長ーい太極拳とのお付き合いが始まったのです。阪神が21年ぶりの優勝をした年でした。(続くかも)

 
 

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Comments

どうもお久しぶりです。時々覗きに来ています。
山梨の支部では色々お世話になり、現在もお蔭で本部で充実した稽古が出来る日々を過ごしております。

いやはや、こんな経緯があったとは。
この時の出会いが無かったら、現在の私も無かったかと思うと、感慨深いものがあり、つくづく感謝する次第です。
今後もまた楽しみにしておりますので、気が向いたときにでも、また続きを読ませて下さい。

それから、武道修行記のみならず、心理学についての記載も面白いです。
心理学については勉強したことも無く、自分なりの解釈で他人及び自分自身について考察するばかりですが、なるほど、と思う事も多々あり、興味深く読ませて頂いています。

どちらにしても、元気そうでなによりです。
またお盆の頃には帰省したいと考えていますので、その際はまたよろしくお願いします。

Posted by: 渡辺 | June 17, 2005 12:20 AM

 渡辺様

 お久しぶり、元気そうで何よりです。
 心理学ものに比べて、武道ものは完全に道楽の世界だし自分のことしか書いていないので、コメントがつかないなと思ってたら、君が寄せてくれてうれしいです。
 仕事に追われまくりで、本部に行って稽古に打ち込みたいなと切に願う毎日です。年を取るに連れ、柔拳の素晴らしさをますます実感しています。これは一生ものだね。その割りにはさぼっているけど・・・(-_-;)。
 田舎で地道にがんばるから、君も武道修行がんばってね。

Posted by: アド仙人 | June 18, 2005 01:15 AM

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