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October 27, 2005

県立博物館に行ってきた

 先日、開館直後の山梨県立博物館に息子と行ってきました。山梨にこれまでなかった本格的な博物館を作ろうという話が出てから何年経ったのかわかりませんが、ようやくできたという感じです。反対派からは、税金の無駄遣いとか時代遅れの箱物行政と叩かれながらも、結局できてしまったのです。確かにそうかもしれないけれど、行ってみるとなかなか建物はきれいだし、昔の生活を再現したジオラマや3Dのゲームがあったりして、子供が郷土の歴史を勉強するにはよい施設かもしれません。江戸東京博物館のミニチュア版って感じですね。ただ、議員たちが期待するような観光の起爆剤には力不足だろうな。

山梨県立博物館かいじあむ

 小3の息子はPSの「三国無双」や「戦国無双」にはまっていたので(私の影響ですかね)、変に歴史上の人物名を知っている(武田24将とか蜀の五虎大将なんて軽く言えてしまう)ので、それなりに楽しんでいた様子でした。開館直後ということで、各テレビ局が取材に来ていて、我々は遊んでいるところをある地方局にバッチリ撮られてその日の夕方のテレビニュースに出てしまいましたよ。

 この博物館の設立検討委員会には、あの歴史学者、網野善彦先生が委員長になっておられました。網野史学の影響があるならば、単に武田信玄を出せば受けるとかいったありきたりのものではなく、ひと味違うものになるのを期待できそうです。その点では、展示はまだ不十分ながらも縄文から近代までを多角的に見せようという、博物館側の努力は感じられました。今後も、権力者だけではなく、甲斐の民衆の視点から歴史を読み直すようなものをおもしろく展示してくれることを期待しています。

 網野善彦といえば、その甥にあたる宗教学者の中沢新一さんが以前、「山梨は縄文からご維新まで間を抜かせて一気に近代に入ったようなところ」とか書いていたのを見たことがあります。確かに実家のすぐ側には、縄文期の遺跡古事記にも出ている酒折の宮があって、かなり古くから人々が住んでいたみたいです。

 日本武尊率いる大和朝廷軍にこの地にいた古くからの豪族が倒されてから中世にかけては、果物じゃなくて馬の生産地として都でも有名だったらしく、それが後の武田の騎馬隊みたいな軍事力のインフラになったようですね。戦国の終わりに武田家が滅んだ後の江戸時代は、藩がおかれず江戸幕府の直轄地になったせいで、金沢や仙台のような近世の藩文化も育たず、博徒が横行していたという話があります(幕末の黒駒の勝蔵が有名です)。そんな歴史のせいか、どうも甲州人はよい意味でも悪い意味でも近代人とはいえない風情があるような気がしていました(詳しくは描写できませんが。あくまで私や中沢さんの直感でしょう)。同じ山国でもお隣の長野・信州の人の方がよっぽど開明的な雰囲気が感じられます。

 この間の総選挙でも、自民、民主かかわらず土着候補がみんな勝って、小泉の刺客は全敗でした。イデオロギーより地縁、血縁が強いのね。でも、勝った自民の議員はその後執行部の圧力に負けたのか郵政法案の投票で賛成に入れてたどね(情けないよ、堀内光雄、保坂武さん)。

 そんな山梨出身の著名人はそんなに多くないけれど、近代の呪縛にこだわらず、軽々と飛び越えてしまうような人が現れています。中沢新一さんはまさに網野善彦さんの薫陶を受けながら、現代思想からチベット密教まで軽々と飛び回ってますし、近代主義の反動ともいえる三島由紀夫に「気持ち悪い」と言わしめた「楢山節考」の深沢七郎なんて、土着性からわき上がるような小説世界を作り上げました。村上春樹みたいなのは、絶対この地から出てこないでしょう。

 でも一方で土着性の反動として、東京といった外の世界へのあこがれを描いたのが林真理子さん(山梨市出身)かもしれません。

 自分自身に引きつけてみると、近代的な学問や思想を学びながらも、必ず一方で中央や中心的文化への反発が生まれ、土着性や身体性を求める動きをしています。それを私は勝手に自らの精神の古層にある縄文性が突き動かしているのだと解釈しています。

 パーソナリティーにおける地域性とか土着性とか、人格心理学的には妥当性はないのかもしれないけれど、なんか実感的にはあるような気がするんだなあ。

 

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