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May 27, 2006

心理士になるには金がかかるね

 「問題のある」生徒を厳罰化で望むのだそうな。

問題行動:児童、出席停止も…厳格化へ報告書 文科省など

 児童生徒の指導のあり方を調査・研究していた国立教育政策研究所生徒指導研究センターと文部科学省は、問題行動を起こした小中学生を出席停止とするなど厳格な対応を求める報告書をまとめ、22日公表した。高校生には退学や停学などの懲戒処分を実施して学校秩序の維持を図る内容。全国の公立小中高校生の暴力行為が98年度以降3万件前後で推移するなど問題行動が相次いでいるのを受け、センターなどが生徒指導の厳格化を軸に見直しを進めていた。

 各地で相次ぐ少年事件を受け、昨年11月から生徒指導体制の強化策を提言するため、センターなどが大学教員や弁護士、PTA理事や保護司など15人の協力を得て審議してきた。

 報告書は、生徒指導の基準や校則を明確化し、入学後の早い段階で児童生徒や保護者に周知徹底する。そのうえで、学校側は毅然(きぜん)とした指導を粘り強く行うよう提言。具体的な指導方法として、小さな問題行動から注意するなど、段階的に罰則を厳しくする「段階的指導」を挙げている。

 現在の公立小中学校では、学校の秩序が維持できないほどの問題行動を起こす児童生徒がいたとしても、停学や退学などの処分は認められていない。報告書は「居残り」「清掃」「訓告」などの懲戒や出席停止制度の活用、高校などでは停学・退学処分の適切な運用を求めた。

 小中学校の出席停止制度は、他の子どもの学習権を保障するため、市町村教委が適用。学校教育法の改正(02年1月施行)で出席停止の要件が明確化されるなど適用しやすくなったが、中学校では02年度37件、03、04年度ともに25件の適用にとどまり、小学校では02年度以降1件もない。【長尾真輔】

毎日新聞 2006年5月22日 21時16分 (最終更新時間 5月23日 1時15分)

 アドラー心理学の教育は、Kind and Firm(やさしく、毅然と)がモットーだから、わかりやすく「理」のあるやり方が実現するのであれば、これは必ずしも悪いことではないでしょう。
 ただ、今の国家のやることだから、いずれくだらない下心が出てくるでしょうけどね。

 問題は、「厳しく」して学校を放校された子どもたちが増えたとき、それを社会はどう迎え入れるかということだと思います。「アウトロー」たちが社会共同体のために建設的に生きていける場があるか、ということです。
 ただ、負け組、ニート、フリーター、引きこもり、犯罪少年を増やすだけにならないのか。

 もう一つ、親としてひしひしと感じるのですが、学校教育、とりわけ大学、大学院などの高等教育に金がかかりすぎることがあります。

 今、日本政府は、79年から国連の社会権規約に締結しているが、「(大学などの)高等教育を漸次(だんだんと)無償化する」という条項は「留保」し(合意せず)、01年に国連から勧告を受けて06年6月末までに回答しないといけないのだが、今のところ応じる気配がないという話である。
 しかも、この規約に締結している世界で151ヶ国中、高等教育の無償化の条項を
留保しているのは、日本、マダガスカル、ルワンダの3ヶ国のみなのである。

 また、日本の高等教育の私費での教育費負担率は50%を超えており、これはG8では断然トップ、OECD諸国の調査でも韓国と共にトップの位置にある。(他の
データでも50%超えている国は、世界でこの2国しかない。>
 他国でも私大はともかく、国公立大は無償またはそれに近いところが多いのであるが、日本の場合は国公立大の授業料がどんどん値上げされ、現在は年額50万円以上、初年度は入学金とあわせて80万円以上かかる。<ちなみに私大は初年度平均150万円理系は200万円前後、医大は1000万円以上かかるところもある。>

 日本がアブナイ!というブログでうまくまとめてくれていたので、引用させていただきましたが、専門教育、高等教育に進むのに金がかかりすぎる状況が既に生まれています。
 「勝ち組」でないと高度な教育が受けられないのです。

 そして、今臨床心理士を代表に、心理職も大学院卒を必須の条件に、という声、主張が高くなっています。
 それはそれで、専門性の担保のためには意味があります。しかし、こんな社会状況下では、お坊ちゃん、お嬢ちゃんしか心理士になれないのです。社会の「上」の階層のご子息が、何か「血迷って」「不幸な方の役に立ちたい」とでも思い込んでこの世界に入り、「傾聴」やら「トラウマ・セラピー」をやるのでしょうか、ありがたいような気持ち悪いような・・・。

 本当に入っきてほしいのは、学校を放逐されたアウトローたちです。彼らこそ、心理臨床の人的資源でなければならないのだと思います。
 キャリア・パスっていうのか、様々な経路から、必ずしも院卒でなくても、正規のルートでなくても、または院に行くならそれなりに、正しく学んだ人には心理の資格や仕事への道が開かれていてほしい、そのための公的援助がほしいと切に願うのです。

 まあ、そんな発想は悪逆コイズミの手下でせっせと働く、我らがボス、河合翁には思いもよらないことでしょうけどね。

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Comments

TBありがとうございます。

>社会の「上」の階層のご子息が、何か「血迷って」「不幸な方の役に立ちたい」とでも思い込んでこの世界に入り、「傾聴」やら「トラウマ・セラピー」をやるのでしょうか、ありがたいような気持ち悪いような・・・。

それは確かに気持ち悪いですが、

>本当に入っきてほしいのは、学校を放逐されたアウトローたちです。彼らこそ、心理臨床の人的資源でなければならないのだと思います。

って言い出すと、病気になった人にしか病気の人の気持ちは共感できないみたいな話になってきて、これまたイタイお話になると思うんですよね。

なので、
>正しく学んだ人には心理の資格や仕事への道が開かれていてほしい、そのための公的援助がほしいと切に願うのです。

ここが一番大事なんだろうなあと思います。まあ、何をもって“正しく学んだ”とするかは難しいところですが・・・。

Posted by: しゅう | June 19, 2006 at 09:34 PM

 しゅう様

 たまたまテーマが近かったのでTBさせていただきました。言いたいことを言っていますから、筆(手)が滑ったところは多少のご容赦を。特に権威、権力にはズケズケ言ってますので。
 
 基本的に文部行政の問題ではありますが、ただ、本音はやはり書いたところにありまして、特に児童福祉領域にいると、例えば養護施設などにいて、能力や才能があっても上に上がれない子どもたちをイヤというほど見ていて、やはり国家や社会は彼らに冷たい、ネグレクトしているようなものだ思うことはあります。

 元病気も元不登校、元被虐対児も現貧乏人も集まってこれる世界が、心理臨床であったらいいなと夢想する次第です。
「格差」がクライエントとセラピストの階級も固定させてしまうのでは、マッチポンプのようなものですからね。

 実際、私のいる福祉の世界は、今でこそ採用が厳しくて「ちゃんと真面目に」福祉学や心理学を学んだ人が入っていますが、上の世代はけっこういろいろなルートの人がいます(団塊の世代の大量採用のためかな)。みんなおもしろい人たちです。

 制度化、資格化はもちろん良い面もありますが、その権力関係から生じる胡散臭さも気づいていたいと思います。

Posted by: アド仙人 | June 19, 2006 at 11:33 PM

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