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June 06, 2006

「家族療法学」

 「家族療法学-その実践と形成史のリーディング・テキスト」リン・ホフマン著,金剛出版

 ちょっと厚めの本でやっと読了。
 70年代に勃興し、心理療法界を席巻した家族療法の歴史と、著者のリン・ホフマンの家族療法家としての成長の歴史を重ねて描くユニークな物語です。

 中年期までただの主婦として生きてきて、心理臨床家としての何の知識もキャリアもなかったホフマンが、ひょんなことから戦略的心理療法で名を上げたJ・ヘイリーのところで働くことになり、気がつくと代表的な家族療法家になっていたというようなお話です(超単純化してますが)。

 そのホフマンが実は、エネルギッシュで創造的なヘイリーに片思いをしていたのをカミング・アウトしていたのが、先ずはおもしろかった。心理臨床家だって、禁断の恋をするよね!クロエ・マダネスにヘイリーを取られちゃうのが悲しい・・・。
 子育て、離婚を経て、大学でソーシャル・ワークを学び、家族療法は戦略派からミラノ派など代表的なセラピストから最先端の心理療法を吸収し、最近この世界で話題のナラティブ・セラピーにまで入っていったプロセスが、事例をまじえて丁寧に描かれています。

 でも臨床心理学や家族療法、現代思想の知識がないとちょっと読みこなすのは大変でしょうね。
 私的には、心理療法の背景にある思想の歴史、特にモダニズムからポスト・モダニズムへの流れの解説がわかりやすくて役に立ちました。

 それにしても、私自身は若い頃から家族療法の始祖ともいえる、思想家グレゴリー・ベイトソンにかなり入れ込んでいたのに、 (勝手に師事した恩師たち3・グレゴリー・ベイトソン )なぜか専門の家族療法家にはならなかったのです。どうしてなんだろ、と時々思います。

 多分、ベイトソンはエコロジストでナチュラリストの学者として、自然や精神の本来性をつきとめようとしていた人だったので、操作的な印象のある心理療法に対してあまり良いイメージを持っていなかったことが私に影響していたのかもしれません。
 当時ベイトソンは精神分析と古典的行動主義を還元主義、エセ科学と批判していたので、私はそちらにも進まず、そのアンチテーゼでありながら実践的なアドラー心理学を選んだのかな、と思っています。

 いずれにせよ、学術書や専門書とは違った家族療法の一面を知るには良書ですよ。

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