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August 05, 2006

RDI「対人関係指導法」

 自閉症、アスペルガー症候群の人に接するご家族や、療育に携わったことのある人なら誰でも、味わう気持ちがあると思います。

 届かない。こちらの気持ちが、そして彼/彼女の気持ちが。もっと、もう少し分かり合いたいけど、どうしても届かないというもどかしくも、寂しい感じ。

 それが障害だから仕方ないという、半ばあきらめのような思いを持ちながら、これまで障害特性とどう付き合うか、どう彼らの「文化」に近づいていくか、に我々は心を砕き、表面的にでも社会適応的行動が取れるように「訓練」をしてきました。
 それが有名なTEACCHであり、応用行動分析やソーシャル・スキル・トレーニングでした。

 ここに、新しい注目すべき療育プログラムが本邦初公開となりました。

RDI「対人関係指導法」スティーブE・ガットステイン著(クリエイツかもがわ)

 監訳者の一人に、杉山登志郎先生がいます。目をつけてたのね。

 RDIの目標は、「自閉症を治す」。えーっという声が聞こえてきそうですが、その志や良し。
 じゃあ、その中身はどうなの?ってことですが、なかなか良さげですよ。今まだ読み途中でレビューもできないし、実践もできないけど、対人関係、特に経験共有という視点からの発達心理学の知見・仮説の積み上げを基に、丁寧で詳細なアセスメントとプログラムが作られているようです。

 RDIでは、自閉症スぺクトラムの子どもたちも、典型的な発達を示す子どもたちと同じ対人関係発達過程をたどるという前提に立ち、暦年齢に関係なく、実際に子どもがどのレベル・どの段階の対人関係発達を示しているかを、詳細にアセスメントするところから始まる。その際にビデオをふんだんに使用するところも特徴である。子どもの発達段階から適切な指導内容を選択し、さらに指導効果の評価を随時行い、次の段階へと進む。このように子どもの発達段階に対応した適切な指導を積み重ね、子どもたちが対人関係に関するスキルを着実に伸ばすことが重要であると考えている。(監修者あとがき)

 あー、学びたいな。でも簡単にはできなくて、RDIの総本家、アメリカのコネクションズ・センターで長期に渡る養成プログラムを受けないとならないみたい。
The Connections Center

 日本に解決志向ブリーフセラピーを紹介した一人のS先生が、3年前我が児相にブリーフの研修にお呼びして来て下さった時に、「今はRDIにはまっている、アメリカのそこまで行って学んできた」などとおっしゃってました。その先生によれば、かなり良くできたもののようです。
 それ以来気になっていたのですが、やっとその片鱗を知ることができました。
 本書を読んでみると、いろいろと使えそうなアイデアや方法があるようだから、少し工夫してみよう。

 早くこの近くにもRDIのセラピストが増えてくれればいいな。

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Comments

紹介されている本をさっそく注文しました。
すぐれた治療・援助パッケージの基本は,
①使えるデータは何でも使って,的確かつ全体的なアセスメントを行うこと。
②そのうえで何を目指して治療・援助を行うのか,を明確にすること。
の2点が含まれているべきであると考えますが,
RDIはバッチリそれらの条件をクリアしていると,アド仙人さんの記事を読んで判断したからです。

注文した本が届けば,自分で確認できるのでしょうが,理論的には,あるいは技法的には,このRDIが,行動分析や行動療法とどのような関係にあるのか,ちょっと確認してみたいと思いました。ともあれ,素晴らしい(素晴らしそうな?)本のご紹介,ありがとうございました。

Posted by: coping | August 07, 2006 at 09:28 AM

copingさん

 お買い上げありがとうございます(笑)。
 おっしゃるとおり、

>①使えるデータは何でも使って,的確かつ全体的なアセスメントを行うこと。
②そのうえで何を目指して治療・援助を行うのか,を明確にすること。

 なもののようですよ。信用できる先生方も熱心に学ばれているようだし、これからの注目株でしょうね。もちろん科学的な批判、検証もなされていくのだと思います。
 私もどうせなら本格的に米国に学びに行きたいですが、長期間公務の仕事をあけることはとてもかなわぬので(実は今の職場、私を含めて二人しか心理がいないの)、どなたかマスターされた方が近くに現れるまで地道に予習をしていようと思います、ハイ。

Posted by: アド仙人 | August 07, 2006 at 11:42 PM

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Tracked on August 05, 2006 at 02:10 AM

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