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October 31, 2006

「ロールシャッハテストは間違っている」

 出版された当初心理臨床業界で話題騒然(?)となった問題の書(?)です。ついに読みました。

 といっても僕自身はロールシャッハテストをしないクチです。しなくなってからどれくらい経つのだろう。もう何年もやっていないなあ。
 嫌いじゃないんだけどね、日本一妖しい心理士としては。
 僕の現場でこのテストをする必要があるのかないのかいまだによくわからないけど、でも全国的に児相でもやっている仲間がいるから、意味があると考える人もまだ多いのでしょう。
 実施も整理も解釈も面倒だから、テスト・バッテリーの最後の選択肢(時間ができたからロールシャッハでもやるかってな感じ)で、結局時間がないのでやらないで心理診断は完成っていうところです。

 ロールシャッハテストは人の心を読むようなおもしろさは確かにあるけど、結局は当てにしていないっていうか、本気になって勉強していないから、熱が入らないのでしょうね。僕の臨床スタンスというか体質的に合わないのかもと思うことはあります。

 僕自身は駆け出しの頃この世界に入ってみると、周囲が「片口・クロッパー方式」で実施する人がほとんどだから、それに合わせて仲間内で学んで身につけました。
 他に、たまたま東京で受けた講習会でピオトロウスキーの「知覚分析的アプローチ」というやつを学んだことがあります(家族療法の岡堂哲夫先生が講師だった)。割とシンプルで学びやすかったですね。
 エクスナーの包括システムはかじっただけでよく知りません。
 それでも一時期は、一時保護された児童や総合病院の思春期外来での患者さんに、腕試しもあって実施していました。でもどんなものかわかってくると、だんだんやらなくなってしまったな。

 本書では、心理測定学の立場から、徹底的にロールシャッハテストを解剖、批判しています。実に一貫していて、読んでて気持ちいいのです。
 そして僕が長年感じていた疑問を裏付けてくれるような説明がいっぱいあって、納得してしまいました。

 何より歴史好きとしては、前半にロールシャッハテストの歴史と学者たちの人間模様が事細かに書かれていてとてもおもしろかった。
 ロールシャッハテストを通してアメリカ臨床心理学史を知ることができるようになっています。ベックとクロッパーはとても仲が悪かったんだね。そういうケンカネタって大好き(^O^)。

 内容は専門的なので、臨床家や心理学を学ぶ人やカウンセラー志望の人向けでしょうね。心理テストの科学について学ぶには絶好の書です。

 特に本書で再三取り上げられているロールシャッハテストの過剰病理化(健全なものまで病理的に見てしまう傾向)の問題は確かにあるなあ、と以前から感じていました。研究会なんかで、そこでそう見るか、何でそんなに悪く言えるのか、なんてよく思いましたよ。
 というか熱心にやっている連中が病理っぽいというかね(おっとやばいやばい)。

 異論反論あるでしょうが、ロールシャッハテスト推進派は今後本書で提起されている問題にどう応えるかを迫られるでしょう(無視するという手もあるか)。是非、公開の場で議論してほしいものです。
 臨床心理士の先生たちがよくいう「研究者-実践家モデル」ではなく、僕のように「職人-芸人モデル」(?)で動いている人にとっても、良い道具を持っていないと良い仕事ができませんからね。

 やっぱり白黒ハッキリするまで、当分やらないでおくか。

 

 

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