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December 20, 2006

「現代に生きるアドラー心理学」

「現代に生きるアドラー心理学」H・モサック,M・マニアッチ著、坂本玲子監訳、一光社

 今年出たアドラー心理学書(というものがそもそも少ないのだが)の最新刊といえるでしょう。
 アメリカ・シカゴのアドラー心理学専門大学院The Adler School of Professional Psuchologyの教科書の一つなのだそうです。
 訳者は以前認知療法を学ぶでご紹介した山梨県立大学助教授の坂本玲子先生。

 副題に「分析的認知行動心理学を学ぶ」とありますが、現在自我心理学や認知行動療法など主流のさまざまな心理療法の豊かな源流であり、今も静かに発展を続けているアドラー心理学の直近の姿が理解できます。

 アルフレッド・アドラーの生い立ちと生涯から始まって、アドラー心理学の理論の諸前提、ライフスタイル論、ライフタスク、劣等感など基本的なところが丁寧に説明されています。

 そこから、アドラー心理学から見た精神病理、査定と診断、治療と臨床家にも役立つ内容となっています。

 さらに本書のユニークなところは、「個人心理学への批評」という題で、アドラー心理学への批判的論点についても検討を加え、最近の思想的状況(認知構成主義のオートポイエーシス、暗黙知、愛着理論など)との関係にまで考察を加えています。

 例えばアドラー心理学へのよくある批判として、

 アドラー初期の講義の中で、次のような逸話があったと聞いています。聴衆の一人が立ち上がって「しかしアドラー先生、あなたの話すことは全て常識です!」と発言しました。アドラーは、「ですが、それで何が悪いのですか?私はもっと多くの精神科医がそうあって欲しいと思います」と答えたと言われています。アドラー派は伝統的に「常識」を話すという批判を受けてきました。
 アドラー心理学はその批判を受け入れます。それは「正当な批判」で、アドラー派は実際に常識を話します。アドラーは専門用語が嫌いで、自分の体系を科学ではなく、哲学に基づかせたいと望み、必ずしも学問的訓練を受けていない人々にも呼びかけました。アドラーは故意に、自分の体系が「普通の人々」にとって接近可能なものにしようとしました。

 これを読むと、米国でもアドラー心理学はけして過去のものではなく、現在も不断に動き続けていることがわかってきます。

 それから本書の帯は、なんと「リング」で有名な作家の鈴木光司さんが書いています。「我々には『目的』を選ぶ自由があり、原因には縛られず軌道を再構成していく力がある。本書の中に、生きるための『知』と『勇気』を見た!」
 何でも訳者の坂本先生と高校の同級生だとか。鈴木さんは本書の内容を聞いて、「自分の考え方と同じだ」と納得して推薦文を書いてくれたそうです(全然関係ないけど、映画「リング」の監督中田秀夫さんは私の大学時代の友人の兄です)。

  私も退職したら、老後の楽しみに留学してみたいな。

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