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December 18, 2006

ゆっくり動く「用意不用力」

 太極拳といえばスローモーション。
 長江の如く雄大に、ゆったりと、途切れることなく動くものとされています。
 武術的にも健康法としても、ゆったりと動かなければなりません。

 意識、心が身体を先導するという考えが太極拳などの柔拳にはあります。それを「用意不用力」といいます。「意を用いて、力を用いず」、力んだり身体を闇雲に動かしたり、ゴリゴリに鍛えたりすることなく、意識を鋭敏にして身体の隅々に染み渡らせ、深いところから力(これをといいます)を出そうとします。

 前掲書「太極拳と呼吸の科学」では、他のスポーツや武道にあるのはもっぱら「ハードなおもむきの精神論」であり、それに対して太極拳にあるのは「ソフトなおもむきの感覚論」と呼びます。

 太極拳は、常に感覚を得られるように心と身体を解きほぐし、感覚から得た情報を瞬時に自分の動作にフィードバックしていく。そのため、無理がきたところは早い段階で解放することができる。身体が解放されればされるほど心はさらに解放されリラックスする。身体のセンサーが解放されて鋭敏になり、そしてそれを受け取る脳にも余裕が生まれることにより、より多くの情報を得ることができる。・・・・・

 太極拳は副交感神経支配の運動であり、闘争本能をかき立てない、ゆったりとした動作を特徴としている。つまりストレスの発散を狙うだけでなく、傷ついた心や身体の修復が期待できる、実に現代社会にマッチした健康法といえるものだ。

 太極拳は筋肉の武道ではなく、意識と感覚、認識の武道なのです。

 私の中に武術家と心理臨床家が同居していられるのも、まさにこのためといえるでしょう。

「用意不用力」の他にも「先在心後在身」(心が先にあって、身体は後にある)など、中国武術には、中国語だから当たり前だけど、漢字だけのなかなか含蓄のある四文字熟語があるので、時折紹介していきましょう。

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