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December 07, 2006

「カウンセリング解体新書」

カウンセリング解体新書」管野泰蔵著,日本評論社

 カウンセリングのコツというか心得のような「名言」が各所に散りばめられている面白い本です。

 といっても名文、美文とか「心に響くいい言葉」があるわけではありません。
 でも本書でカウンセラーの心が豊かになることは多分ないでしょうけど、ついうまくなってしまうことはあるかもしれませんよ。

 ここで、それをカウンセラーの側の言葉だけに絞れば、カウンセラーの実力とは、実際の面接場面でどういう言葉を持てるかどうかということにあると私は思う。・・・(中略)・・・
 ただし、クライエントを理解するということ自体はいいのである。問題は理解のしかたにあるといえよう。表現の意味はそれ自体が独立しているとは限らない、意味はいつもコンテキストに依存している差異の体系であるということの徹底的な了解が根底にあればいいのだ。それがない限り、私たちはスタティック(静態的)なものばかりしか見えない心理学者であるしかなく、クライエントは、あるスタティックな理論のなかに放り込まれる存在として、その理論を証明する存在として私たちの前に登場するだけである(p48-50)。

 クライエントとはどういう人か?それをどう考えるか、それをどう言い表すかは数限りなくあるだろう。最近私が思っていることのひとつは、クライエントは「雑談」のできない人を指すのではないか、ということである(p65)。

「共感的理解」などというと、なにかと誤解のもとになる。シンプルにいえば、カウンセリングの原点とは、カウンセラーがクライエントのパースペクティブ(視野、展望、思惑)を取り入れることにある。まずは、それを不断に取り入れる能力、容量がカウンセラーの質を規定するといえるだろう(p145)。

 カウンセリングの場とは、そこでなにかが産み出されるクリエイティブな場にほかならない(p148)。

 僭越ながら著者は私と同じようなタイプ、感性をお持ちのような気がしました。

 何年か前のブリーフサイコセラピー学会のシンポジウムで管野先生が中心になって、なんと陰陽師をテーマにカウンセリングを縦横に論じ合うという面白い企画がありました。
 シンポジストには宗教学者の上田紀行氏もいました。
 呪術とカウンセリング、いい組み合わせです。

 その時から管野先生は、とても柔軟でものごとを相対化する思考に優れている人だと思っていました。

 本書の最後にあるカウンセリングのコツ、アフォリズムのような「カウンセラーズ・ルール 28プラス1」というのがまたふるっています。参考にしたいのがいくつもあります。
 現場向きの本ですね。

①重い病気(診断)であるから、難しいクライエントであるとは限りません。同じく、軽い病気(診断)であるから、簡単なクライエントであるとは限らないことを肝に銘じなさい。

⑯クライエントといっしょに泣いてはいけません。いっしょに笑いなさい。

⑰面接中、一度はクライエントが微笑むか笑うことができるようにしなさい。

 

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