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January 04, 2007

冬休みの課題

 あっという間に冬休みが終わりました。
 いつも休みの前には、あれやろこれやろと思いを馳せるのですが、結局今年も寝正月。それでも年末年始のテレビはあまりにも下らないので、やはり本を読むべしと何冊かピックアップしておきました。

 最近の心理臨床界でのトレンド、ナラティヴ・セラピーを課題図書にしましたよ。

「妖怪セラピー」芥子川ミカ著,明石書店
「ナラティヴ・セラピーって何?」アリス・モーガン著,小森康永,上田牧子訳,金剛出版
「ナラティヴ・セラピー 社会構成主義の実践」リーラ・マクナミー,ケネス・J・ガーゲン著,野口裕二,野村直樹訳,金剛出版

 まだ全部読み切っていないのですが、どれも面白かったですね。レビューは後ほどするかも。入門書としてちょうど良いと思いました。

 僕個人的には、ナラティヴ・セラピーの登場には、実に感慨深いものがあります。けしてこの最先端とされるセラピーに詳しいわけではないし、参加しているわけではないのですが。
 それは、ナラティヴ・セラピーの背景にあるとされるポストモダンといわれる思想潮流に、僕自身が若い頃から馴染んできたところがあるからでしょう。

 今から遡ること25年近く前(もうそんなになるんだ)、当時の大学生でちょっと知的なものに関心がある若者の多くが、受け容れるにせよ反発するにせよ触れていたのが、フランスを主な震源地とするポストモダニズム、それの日本的展開であったニュー・アカデミズム・ブームでした。
 僕も本ブログでもよく取り上げる中沢新一さんだけでなく、対極的な浅田彰さんだって面白いと思ったし、他にもいろいろいたね。

 時流に乗ったと言われればそうですが、それでも面白くて、心理学の勉強なんか無視してよく読んでは、その道の識者とされる人の話を聞きに行ったりしていました。

 ずっと以前、「勝手に指示した恩師たち・グレゴリー・ベイトソン」でも触れたのですが、そのおかげでオーソドックスで学問的な心理学とされるものに対する違和感をずっと抱えることになってしまいました。
 精神分析学やロジャーズ派の非科学性のみならず、実験心理学や行動主義の偏狭な科学主義までもが目についてしまって、どうもうまくそれらの枠組みに自分を適応させることができませんでした。

 学者にまでなって学問的に突き詰める気も才能もなかったので、それなら好き勝手にやりたいことを学ぼうと今に至っているわけですが、曲がりなりにも臨床家になってからでも、そういった違和感は抱えたままでした。

 そこへナラティヴ・セラピーの登場によって、僕みたいな異端的でしがない心理屋もこの世界に居場所を得られるかもしれないな、と感じられるようになってきましたね。

 時代の流れに敏感な思想家、哲学者がかぎ取ったものを難解な言葉に紡ぎ出してから、それが現実的な学問や実践に反映されるまで、数十年から半世紀はかかるという話を聞いたことがあります。
 ポストモダニズムが心理臨床に影響を与えるまでを見ると、まさにそれが当てはまりまるような気がします。

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