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January 31, 2007

トラウマとショック

「現代に生きるアドラー心理学」(一光社)から

 トラウマ、心的外傷をどう考えたらいいか、アドラー心理学ではトラウマなんて大層な言葉は実はありません。なくても平気だし、治療できるし、生きることができるからです。

 フロイトはトラウマについて語りましたが、アドラーは「ショック」について語りました。フロイトにとってトラウマは、概して客観的で普遍的なものでした。エディプス期など、誰もが遭遇しなければいけないような問題があり、そしてそれらが首尾よく乗り越えられない場合、そのトラウマは神経症の苦しみに終わるだろうというものです。
 アドラーはショックについて大部分は主観的なものとして-しかし排他的ではなく-かつライフスタイルの産物として見ていました。つまりその人のライフスタイルが何らかの偶発性に対して準備しなかった場合、それはショックとして経験されるということです。

 トラウマという、心の奥底に何か不気味な実体があって心と体に悪さをするという考え方ではなく、外界の出来事とこちら側との関係性がポイントであるという考え方が、ショックなんて平々凡々な言葉にこめられているのだと思います。

 であれば、ショックをどのような関係性の中で体験するかが大事ということになるのでしょう。ショック自体を扱わなくても、関係性全体、あるいはその網の目の中のどこかを使うだけでいいのかもしれませんし、選択肢が広がります。

 精神病理性を発言させる人々の特徴はアドラーによると、「ショックによる効果への固執」です。・・・・ショックによる効果への固執によって、彼らは人生を先へ進んで行かないための言い訳を作ります。例えば、「それはとてもひどかった。私は再びそれが起こったら耐えられないのだ」ということです。共同体感覚と社会的関心を用いれば、これらの人々は出来事とショックから学び、問題解決に従事し、サポートネットワークを活用し、乗り越えていきます(もちろん時間はかかります)。

 トラウマをショックと言い換えるだけで、見えてくる風景は変わってきます。そして当たり前のようにそれを捉え、それがあってもなくても支え合って、生きていけるようになるかもしれません。

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Comments

なるほど確かに選択肢が広がりますね。
あとはおそらく,クライアントさんが自分の体験を「ショック」としてとらえるほうが助かるのか,それとも「トラウマ」としてとらえるほうが助かるのか,それをクライアントさん自身が選択できるよう援助することが,援助者にとっては重要だと思いました。
自身の体験を「トラウマ」と受け止めることで,問題解決に着手できるようになる方もやはりいらっしゃると思いますので。

・・・以上,自分のブログは止めたまま,ひとさまのブログに偉そうに書き込みなどさせていただきました(笑)。あしからず,お許しください。

Posted by: coping | February 02, 2007 at 12:34 AM

 copingさま

 そうなんですよね、もはや「トラウマ」がここまで「普及」したのが我々の文化であり、共有している言葉である以上、それはそれとしてうまく使うことが大事だと思います。使っていけないとか間違っているとこだわるのは、選択肢が狭まるだけですよね。

 私の領域では、LDとかアスペルガーとか診断名がつくことで、安心され、問題解決に向かえることが少なくないことが近いような気がします。

 アドラー心理学的には、「心理学的概念」を劣等コンプレックスとして、つまり人生の課題を避ける道具にするのはお勧めできませんよ、とあくまで提案しているというポジションではないかと思っています。

Posted by: アド仙人 | February 02, 2007 at 12:53 AM

初めまして(^^)
ロテ職人さんのところか飛んできました。

なるほど、トラウマをショックと置き換えると、イメージそのものから変わってくる感じですね。

トラウマは「過去の小さな自分が持っている傷」っていう認識があり、「今ここ」の私が傷付いているわけではないって、そして、それをいつまでも持ち続けることは、課題から逃げること以外の何者でもないっていうのは、自分自身でも実感があります(^^;

今、ウルフの「いかにして幸福になるか」を読んでいますが、いわゆる神経症とよばれる人も、投薬などなしに治療できるっていう意味が理解できた感じがしています。

初めてなのに、長々と書いてごめんなさい(^^;

Posted by: meiya | February 02, 2007 at 01:05 PM

meiyaさん

 はじめまして、ありがとうございます。
 全然長くないと思いますよ。

 言いたいことが伝わってくれたようで嬉しく思います。
 僕自身も、つい自分の古傷を「悪用」してしまうときがありますよ。

 ウルフの本を読んでいるのですか。僕もそれ読みました。古典的な本ですが、今見てもいいことが書いてあるなあと思います。
 また感想など寄せて下さい。

 今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: アド仙人 | February 03, 2007 at 02:14 AM

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