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January 17, 2007

「心の傷とどうつきあうか」

 児童相談所にいると、日々虐待やそれに関連するトラウマ的事象に遭遇するので、ここで改めてアドラー心理学的にトラウマとその心理療法について考えてみようと思っている今日この頃。

 トラウマだってアドラー心理学の理論に立ち返って考えるとさほど難しい話はないのですが、世間、心理臨床界一般で流布するトラウマ学説とかなり乖離するところがあるので、どう表現するべきか少し考えているところでした。

 そこへ、日本のアドラー心理学を代表する人の一人、奇才・変人の精神科医、野田俊作氏の講演記録を聴く機会を得ました。音声配信サービスとしてアドラーギルドの野田俊作ライブラリの今月号で売り出されています。

 野田さんはとっても面白い人だけど、僕はタイプが違うためかあまり師事する気にはならなくて、時折明確な所論を参考にさせていただくという感じです。
 彼は極端な聴覚タイプらしくて超論理派で、何の準備もなしで講演に入っても、そのままスラスラと理論的な話を展開していけるというステキな才能のある方です。原理的な考察をするときに参考にするには、この上なく便利な人です。

 本記録は何年か前の富山での講演らしいのですが、アドラー心理学の原理から考えられるトラウマ説の明確な否定と、その間違った発想に基づいて臨床的、制度的な普及活動を続ける臨床心理士への批判のあまりの過激さに、来ていたアドラー心理学を知らない専門家(おそらく臨床心理士か)が、「何度も野田先生を殺そうと思った」ほどだそうです。

「ほう、そんなに過激なら僕もケンカのネタに使えるから是非聴きたいものだ」と思ったわけですね。

 内容は、確かに長年臨床心理士のお偉方が伝えてきた内容と正反対、こりゃ真面目な臨床心理士ほど怒るわな、と納得。過激な話芸、おもしろかったですよ。勇気づけるのもうまいだろうけど、人を怒らせるのも上手な人だ。

 アドラー心理学の目的論からは、心の中に実体としてトラウマがあるのではなく、またトラウマが症状を起こすと原因論的に見るのではなく、ある対人関係上の機能を果たしていると見るので、アプローチは他のものとやや変わってきます。
 僕もアドラー心理学を学んでから全く同じように思っていたし、児相でたくさんのケースを見る中で、基本的にその発想でいけると思っていました。

 だから基本的には同じ発想だと思いました。御大と一緒で良かった(?)。お勉強の甲斐があったかな。

 最近野田さんはポストモダン思想から考察されているようで、元々ポストモダニスト的な僕とも関心がだぶりますね。昔は団塊の世代的な共同体主義者のように見えたけど、ようやくここまできたか(えらそう)。

 それにしても野田先生、これほどの内容をなんできちんとした論文や書籍なんかの形で公刊したりして、世間、心理臨床界にオープンに問うていかないのかなあ。相変わらず、内輪向け、内輪受けの話ばかりしているようだね。この辺がねえ・・・(自粛)

 本講演は今月のみの配信なので、トラウマといったテーマに関心のある方、アドラー心理学に怒りたい方(笑)、是非お勧めですよ。
 

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