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May 21, 2007

「海馬 脳は疲れない」

「海馬-脳は疲れない」池谷裕二、糸井重里著、朝日出版社

 最近は脳科学者ブームというか、茂木健一郎氏を筆頭にマスコミで活躍されている若手の学者さんが増えていますね。
 この方も著作が増えて、その一人なのかもしれませんが、相手がかの糸井重里さんとなれば、おもしろさとわかりやすさが倍増するのは当然でしょう。

 記憶の中枢、海馬を研究している池谷さんから、脳のはたらき方、はたらかせ方をもっと良くして、そしてより「楽しく」生きるコツが満載です。

 何よりうれしいのは、脳は衰えない、脳は疲れない、「物忘れがひどい」はカン違い、30歳を過ぎてから頭は良くなる、というところ。

「もの忘れがひどい」はカン違い
「年を取ったからもの忘れをする」は科学的には間違いです。脳の力を引き出すためには、老化を気にするよりも「子どものような新鮮な視点で世界を見られるか」を意識することの方が、ずっと大切なのです。

30歳を過ぎてから頭はよくなる
 あらゆる発見やクリエイティブのもとである「あるものとあるものとのあいだにつながりを感じる能力は30歳を超えた時から飛躍的に伸びるのです。

脳は疲れない
 脳はいつでも元気いっぱいです。ぜんぜん疲れません。寝ているあいだも脳は動き続けます。一生使い続けても疲れません。「脳がつかれたなあ」と思わず言いたくなる時でも、実際に疲れているのは「目」です。

 なんてうれしいじゃないですか。
 実際、私自身も30過ぎというか、最近になってからの方が若い頃より「頭がいい」のでは、と感じることが「密かに」ありました。
 年を取って経験値が上がったのと、恥じらいがなくなり、うぬぼれが増しただけかと思っていましたが、ほんとに良くなってたらうれしいな。

 本書では各章末に、脳のはたらきを良くしてより楽しく生きるコツがまとめられています。
 キーワードは、脳の可塑性、海馬は増やせるということ。

 何より糸井さんリードの対談の妙が味わえます。

 おもしろいのは、池谷さんは「東大薬学部に進学するときも、大学院に進学するときも主席だった」というので、生まれながらの天才、秀才かと思ったら、「小学生の時は、いつでもビリから数えて何番目という程度でした」、「実際、ぼくは今でも九九ができないんです。当然、算数もあまり解けなかったです」という驚愕のエピソード。

 小学校6年生の時の漢字テストが、わずか2点だったとか・・・。

 九九ができなくて、東大の理系に行けて学者になれるとはにわかには信じがたいですが、池谷さんは中学高校の数学のテストでは、公式をおぼえず、いちいち「公式を導き出していた」とか。
 そのために、「応用力がついた」のではないか、ということですが。

 なんのことだかよくわかりませんが、脳のはたらかせ方が、通常とは大分違うようです。だからユニークな研究ができるのかもしれませんね。

 私のような心理屋がこの話を聞いたら、LD(学習障害)という無味乾燥な言葉を連想すると思いますが、だからといって池谷さんのリソースをわかったことにはならないでしょう。脳はすごいというか、人間はすごい。

 休み中、とても勇気づけられながら読むことができました。

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