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June 23, 2007

「心に響く言の葉」

「心に響く言の葉」佐藤嘉道、気天舎

 なんかどっかの宗教団体のパンフレットか勧誘みたいな題ですが、知る人ぞ知る一流の武道家が自身の人生を振り返ったエッセイ集です。氏の人生に影響を与えた人々の心に残った言葉をアンソロジー風に紹介しています。

 私も、題名だけで著者の名を見なかったらけして手にしなかったでしょう。

 氏が生涯を賭けて取り組んだ武道とは、太気拳
 中国武術を基にした超実戦武術として、裏(?)の武道界では畏怖、畏敬の念を持たれてきた武術流儀です。
 最近の空手家だったら、知っている人も多いかもしれませんね。多くのフルコンタクト空手家が自らの実力をアップさせるため、太気拳の立禅(じっと立ち続ける気功法の一種)を取り入れているのが武道マスコミに流されているからです。

太気拳-Wikipedia

 戦時中、中国に渡った沢井健一氏が、当時すでに中国全土で達人としてその名を知られた王向斎老師に完膚なきまでに破れ、必死の懇願の末弟子入りを果たし、戦後帰国して日本に伝えたものと言われています。

 本書に出てくる人物は、実に多彩です。
 極真空手の大山倍達氏や中村忠氏、師匠の沢井健一氏などの武道家が多いのは当然として、オペラ歌手の中丸三千繪氏(中丸さんが中学生の時に英語を教えたそうです)や経済学小林昇氏(立教大学名誉教授)、登山家で理学博士の西堀栄三郎氏(京大教授、産業界に初めてQCを導入した、今西錦司や桑原武夫らとヒマラヤ登山活動をしていた)など棋士や書家もいて、「その筋」で知られる超一流の人々が次々と登場します。

 さらには、近所の和尚さんや生徒さん(著者は武道修行の傍ら、高校の先生も27年間していました)やパン屋さんなど市井の人々の言葉も取り上げられています。

 言葉のひとつひとつは、「よく選んでな」とか「やれるところまでやる」とか、ごく普通の言葉なので、それだけでは伝わりにくいのでここでは紹介しませんが、その言葉が発せられたエピソードを文脈として味わって読むとよく伝わってきます。

 佐藤氏が、いかに武道だけでなく、耳目を広げ、柔軟な心で、出会う人々を師として接していたかがよくわかるような本です。

 そして、私としては王樹金老師王福来老師との親交の様子と、迫力あるエピソードと写真が載っているのがうれしい。それだけで資料的価値が上がりました。

 ある意味素朴で無骨な本ですが、一武道家の誠実な生き方が伝わってくる良書です。

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Comments

私は、佐藤嘉道先生を師と仰ぐ、弟弟子の一人ですが
あらためて先生が、すばらしい人達に
囲まれていたのだと
このグログの記事に共感しました。

来月:7月15日に、この本に載っている
オランダのヤン・カレンバッハ氏が来日されますが
佐藤先生同様やはり人間的にすばらしい人です。

Posted by: tokyo | June 23, 2007 07:50 AM

 tokyo様

 何と、佐藤先生の弟弟子の「あの方」ですか!
 恐れ入ります。拙ブログにお越し下さってありがとうございます!

 私も佐藤先生の生き方を、素晴らしいと思いました。

 本書を読んで、佐藤先生は、特に二人の恩師、武道家の沢井健一先生とクリスチャンで教育者の佐藤忠輝先生との対極的な姿と指導の間で生きたことが、幅のある人格と人脈を作ることにつながったのではないかと、愚考いたしました。

 私も見習いたいと思います。

 今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by: アド仙人 | June 24, 2007 12:18 AM

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