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December 14, 2007

「子どもの教育」

 先月末に講師をしたときに(講師になる)、資料作りにこの機会にと改めて手元にあるアドラー心理学の文献をひっくり返して読み直していました。
 そして子どもの問題を話すのなら、アドラーがなんと言っているかを確認する必要があると買ったのが、

「子どもの教育」A・アドラー著,岸見一郎訳,一光社

 教育のあるべき姿について、アドラーがどのように語ったのかがよくわかります。
 講義録みたいなもので、体系的な著書でありませんが、教育に熱意を持つアドラーの雰囲気がじんわりと伝わってきます。

 今は子育て本が無数に出ていますが、スポック博士の登場するはるか前の先駆的な仕事といえるでしょう。
 内容も時代を感じさせるところもありますが、ほとんど今現在の問題を語っているように思われるところが多く、アドラーの先見性を確認できます。

 子どもが学校で失敗を始めると、そのことは危険な徴候であることを私たちはいつも証明することができました。学習上の失敗より、むしろ心理的な失敗こそが重要です。子どもが自分自身への信頼を失い始めたことを意味するからです。勇気をなくし始めたのです。そうするとこどもは有用な道とあたりまえの仕事を避け始め、別のはけ口、自由と安易な成功への道を探求するようになります。

 訳者あとがきでもふれているのですが、アドラーは世界で初めての児童相談所を第一次大戦後のウィーンに作りました。
 1934年までに30カ所できたといいます。
 日本の児童相談所とは大分中身が違っていたでしょうが、子ども専門の臨床機関を作ったことは心理学史に特筆すべきことだと思います(なぜか心理学史の教科書にはそのことが載っていないけど)。

 実際には学校の先生が用意した資料をアドラーが読み上げながら少しずつ推量、解釈をしていきながら、教師にアドバイスをしたり、その後親子に面接をして、勇気づけに満ちた助言をしたそうです。
 週に1,2度、学校の空いた教室でアドラー心理学に通じた精神科医と心理学者が率いる治療チームが子どもの面接をしたりしたこともあったそうです。

 まるで今のスクールカウンセリングか、コンサルテーションのようです。

 児童臨床の大先達のアドラーの息吹を感じることのできる本です。

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