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February 06, 2008

「うつ」を克服する最善の方法

 これはある意味書評しにくい本です。自分が日々関わっている領域、人々(医師、患者、家族など)に近いですからね。

「うつ」を克服する最善の方法-抗うつ薬SSRIに頼らず生きる,生田哲,講談社α新書

 最新の抗うつ薬で副作用の少ないと喧伝されているSSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)のとんでもない「副作用」と製薬業界と薬事行政の「実態」が暴露されています。

 例えば著者は挙げます。

 1999年アメリカ、コロンバイン高校で起きた銃乱射事件(13人死亡)、1989年アメリカケンタッキー州ルイビル市で起きたウエスベッカー事件(8人死亡)、そして1999年日本で起きた全日空ハイジャック事件(機長を殺害、墜落寸前で犯人を取り押さえた)、これらの不可解で震撼するような事件の犯人に共通するのは、SSRIを服用していたことなのだといいます。

 薬学博士を持つ著者は、はっきりと言い切ります。

 うつは抗うつ薬を飲んでも治らないし、改善もしない。むしろ薬の副作用によってうつが悪化したり、自殺したくなったり、さらに極端な場合は、本当に自殺を決行したり、はたまた犯罪を犯したりする。
 抗うつ薬にはうつを治すことも、改善する力もない。だが、深刻な副作用を起こす力だけはしっかり持っているから、始末が悪い。こういうことだ。SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害剤)は、脳を異常に興奮させ、人を凶暴化し、暴力犯罪を引き起こすかと思えば、この反対に、脳のはたらきを抑制し、うつを悪化させて自殺にいたらしめるという両面を持ち合わせている。
「依存性がない」と宣伝されているが、これも販売促進用プロパガンダである。依存性がある証拠に、SSRIの服用をはじめるのは容易だが、止めるのは難しい。

 処方する権限のある医師も実は薬の実態はよく知らず、製薬会社のセールスにのせられているようなものだといいます。

 本当にそうなの?
「医師の指示の下に」一緒に仕事をする心理士さんは、「効いてないじゃん」なんて思ってても口が裂けても言えませんよねー。薬学について詳しいわけではないし。
 心理系のブログでも、「危険性」ゆえか本書はあまり取り上げられていないようだし、「利用者」の実感はどうなんだろう。

 今私は医療畑にはいないから、はっきりいってよくわからない。でも、たまにしか会わないけどSSRIを飲んでるうちに、「すっきり良くなりました!」という人を見た記憶はないな。
 良くなろうと飲み続けている人はいるからそれなりに意味があるのかなと思ったり、でも基本的に真面目な人たちだから、効かなくても副作用で具合が悪くても「効くまで」飲み続けているともいえるし。
 勝手に止めていると「お医者さんとよく相談してね」ぐらいのアドバイスはしていましたが。

 しかし、繰り返される薬害、日米でも同じはずの金儲けと利害・権力関係にまみれる医学・製薬業界の裏側を多少でも知っていれば、「状況証拠的」に本書の主張に理解できるところは多いのではないでしょうか。

 本質的には医学や薬学自体の問題ではなく、資本主義の問題、あるいは人間の持っているどうしようもない「権力欲」の問題なのだと思いました。

 その渦に、患者も臨床家も巻き込まれているのでしょう。

 賛否両論あるでしょうが、私は「買い」です。

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