なるほど、日銀総裁人事
最近のニュースの話題、日銀総裁人事を巡る国会の紛糾は、部外者には何が問題かよくわからないなあと思っていました。
新聞なんかによくあるこれを「政争の具にするな」と一見正論のような、でも意味不明の意見が目立つ中、何が起こっているのかを副島隆彦氏が解説してくれて、なるほどと思いました。
関心のある方は、「副島隆彦の学問道場」の「気軽にではなく重たい気持ちで書く掲示板」をご覧ください。
要点は、アメリカの手先である武藤敏郎副総裁就任を阻止しようとした、福田首相、町村らと民主党の連係プレー、アメリカをめくらます「ぐちゃぐちゃ戦術」だったということ。
崩れゆくアメリカ金融帝国の巻き添え被害を少しでも減らそうという、戦いが始まっています。
世界恐慌がすぐ、いやもう起こっているということでしょう。
副島隆彦です。 次の日銀総裁が、ようやく決まりそうだ。
次の日銀総裁には、売国奴=アメリカの手先のドンの武藤敏郎(むとうとしろう)が、終に引き摺り下ろされて、黒田東彦(くろだはるひひこ)か、山口泰(やまぐちすし)で、決まりそうである。実に歓迎すべきことだ。
アメリカの「資本主義の全般的危機」を前にして、日本は、ようやく自力、自立戦略を取れそうである。
黒田東彦(くろだはるひき)は、立派な人だ。さすがに国会議員たちは、よく見ている。山口泰(やまぐちやすし)も、前の速水優(はやみまさる)日銀総裁の高腕の副総裁で、日銀のアメリカへの屈従に対して、密かな抵抗線を築いてきた人たちだ。このふたりは、なんとか「日本円にの金利をつけよう」として、必死で頑張った。日銀=三井(渋沢栄一の第一銀行)ロスチャイルドの生え抜きの人々だ。
このほかに、藤原作弥(ふじわらさくや)という立派な副総裁もいた。彼は、「日銀は外債(がいさい、すなわち、米国債、と米地方債)ばかり買わされている」と公然と発言した人物だ。
私が、この5年間、ずっと、何冊もの本(「エコノ・グローバリスト・シリーズ)で、名指しで、アメリカの手先になった武藤敏郎(むとうとしろう)、財務省の現役代表と、糾弾してきた。愛国派大蔵官僚であった、長岡實(ながおかみのる)派は、「1998年2月のノーパンしゃぶしゃぶ事件」をCIAに仕組まれて、失脚していった。私は、ずっとそのように書いてきた。
ついに福田政権は、武藤・日銀副総裁(大蔵省から、日銀を支配されるために送り込まれたグローバリストの尖兵)を、更迭(こうてつ)することに決めた。これは、アメリカ帝国の金融場面が、文字通り、瓦解を始めたことをに、呼応する、各国連帯(欧州と新興4大国)での動きの一環である。
武藤敏郎は、1998年ノーパンしゃぶしゃぶ事件(その年末の11月に、検察が新聞記者たちと共に大蔵省に捜査・乱入して「大蔵落城」となった)の時に、大蔵省の官房長(かんぼうちょう)であった男だ。彼だけは、何の管理責任も問われずに、アメリカに抜擢されて生き延びた。竹中平蔵と気脈と通じて、「アメリカによる大蔵鎮圧、大蔵支配の受け皿」になった官僚の筆頭である。
同じく、トップ人事で、参議院から、武藤と共に副総裁候補として「×印」を付けられた、伊藤隆敏(いとうたかとし)も、IMF理事で出向組の、ニューヨーク金融財界の意向を受けるように育てられた人物の一人だ。竹中平蔵ほどの、恐ろしいまでの尖兵(せんぺい)ぶりは、発揮できなかったし、あまりに、血だらけになって、日本の政・官・財の中科の、抵抗派、愛国派を糾察(きゅうさつ)して、切り殺して回る役目は、苦手の人物なのだろうと、私は、ずっと観察していたが、やはり、この時期のために、温存されていた「実戦将軍( war general ウォー・ジェネラル)」であったかと、判明した。
そして、おそらく、日銀外内部の、若手の生え抜きたちからの、決死の覚悟の、将軍駕籠直訴(しょうぐんかごじきそ)が、相次(あいつ)いだのだろう、それで、武藤と伊藤隆敏は、日本の国政の表(おもて)で、ばっさりと正式に、「お役御免」になった。実に目出度(めでた)いことである。
私が、10年前から、書いているとおり、若手の日銀生え抜き官僚たちの、アメリカとの交渉場面での、苦しい思いと、それにも屈せず、恫喝に脅(おび)えながらも立派に抵抗を続けてきた。「私たちは、日本国の金融政策(マネタリー・ポリシー)の実施者として、市場の実勢を無視した、おかしな政策は出来ない。それは国民経済への裏切りである。アメリカへのあまりもの屈服である」と、若手の日銀マンたちは、2.26の叛乱将校たちのように純粋であった。
日銀の建物の中に、怒号(どごう)が飛び交い、「武藤のやろう。どこまで、アメリカの言いなりになればいいのだ」という、若手の日銀マンたちの、怒りと怨嗟(えんさ)の声が、上がっていた。この事実を、どうして、日本のメディア(テレビ5社、新聞5社)は、一切、国民に伝えないのだ。
武藤の先輩で、長岡派を追放して、新しい「手先・ドン」になったのは、武藤の先輩の斎藤次郎(さいとうじろう)=デンスケ である。
デンスケが、昨年の11月4日(日)の、小沢一郎辞任劇(小沢、逮捕追放の画策)の元凶である。デンスケは、15年前の、1993年小沢動乱=小沢革命(=「自民党大分裂」)の時は、小沢を支えて、大蔵省をまとめた人物(当時、次官)だったのに、その後、アメリカと、日本のゴロツキ政治家たちに懐柔されて、寝返った人物である。
この3週間、日銀総裁を決める人事(国会承認人事)で、民主党(小沢一郎執行部)が粘り強く、国民を説得して、闘い続けたことの偉大な勝利である。
日本が、私の言う、「ぐちゃぐちゃ戦法(戦略)」あるいは、「ぐずぐず戦法」をとる事で、属国としての、一番、すばらしい闘いを、目下敢行している。 今の福田・町村・伊吹(幹事長)体制は、すばらしい。
この周りにいる、ゴロツキどもは、自分が、アメリカにへこへこして大臣になることしかかんがえていない、馬鹿野郎ばっかりだ。そうでない、宏池会(こうちかい)本流の、重厚な人たちが、支えてはいる。私、副島隆彦は、今の大臣クラスの、新実力者若手・政治家(大臣適齢、だいじんてきれい)たちひとりひとりの、おかしな動きも全部、逐一、観察している。
ともあれ、今回の日銀トップ人事の政局(せいきょく)は、すばらしい闘いであった。日本が、アメリカの言いなりにならず、自国民の利益を
追求すれば、このような、ぐちゃぐちゃ戦法をとるのが、最善である。あまり、こういうことを、自称国家戦略家(ナショナル・ストラテジスト)である私が、ばらすと、アメリカの手先どもが、福田康夫首相本人に、自分たちが苛立(いらだ)ちを感じる、その理由を、教えてしまうことになるので、種明(たねあ)かしは、しない方がいいのだが、やっぱり、今が、ひとつの結節点(けっせつてん)であるので、書いて残しておきます。
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Comments
アメリカ発の世界恐慌、やっぱり起こりますかね?……というか、既に始まっているとお考えですか。
私もここまで平和に、景気良くないとは言え喰うに困る事無くのうのうと豊かさを享受してきた年代ですが、激動の時代になる事も覚悟しておく必要が有るのかも……などと想う昨今です。
日銀総裁が誰になるかという問題ではない、という事ですね。
Posted by: 渡辺 | March 18, 2008 01:10 AM
渡辺さん
どうも。この間の土曜、道場に行っていたのですよ。
そうですね、私は既に世界恐慌に入っていると思っています。国やテレビ・エコノミストはしばらく否定したり、煙に巻くでしょうが。
問題は私もあなたも、誰も真の恐慌を経験していないことで、何が起こるかよくわからないことじゃないでしょうか。
ハイパーインフレとか戦争とか預金封鎖とか言われていますが、それがどれくらい恐ろしいか、身をもって体験していないですからね。
ただ、我々「仙人の拳法」を身につけた者は、どんな時代も黙々と稽古ができるのがいいですね。
山に籠もりますか。
Posted by: アド仙人 | March 18, 2008 11:00 PM