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May 26, 2008

ウェブ時代の生き方

 この1週間ほど、Web2.0の意味を世に喧伝し続けてる梅田望夫氏の本を続けて一気に読みました。

「ウェブ進化論-本当の大変化はこれから始まる」2006年2月
「ヒューチャリスト宣言」茂木健一郎氏との対談本,2007年5月
「ウェブ時代をゆく-いかに働き、いかに学ぶか」2007年11月

 全てちくま新書です。

 ベストセラーは旬を過ぎてから読むのがモットーの私ですが(お金がないともいえる)、噂に違わず、どれもとても面白く、啓発されました。

 グーグル登場の衝撃とその意義、シリコン・バレーにいる最先端の人々の様子やIT企業の雰囲気、著者の「知的生産」の方法、好きなことや向いていることを見つけるための「ロールモデル思考法」など、ほとんど全ての記事、対談内容が興味深かかったです。

 内容はともかく、私はいつも「こういうことを書く(言う)人は、どういう人なんだろうか」という好奇心を持つのですが、感心したのは、著者の徹底的ともいえる未来指向、ネット世界への信頼感。

 弊害や危険性が執拗に訴えられ続けるネット世界ですが、それも踏まえた上で、梅田氏は「こちら側」の世界だけでなく、ネットの「あちら側」の世界の意義と重要性を積極的に主張しています。

 私がオプティミズムを貫くのは、こうした精神的な姿勢のみを理由とするのではない。ネットという技術の持つ性格について次の5つの点で、大きな希望を抱いているからである。

(1)ネットが「巨大な強者」(国家、大資本、大組織・・・)よりも「小さな弱者」(個人、小資本、小組織・・・)と親和性の高い技術であること。
(2)ネットが人々の「善」なるもの、人々の小さな努力を集積する可能性を秘めた技術であること。
(3)ネットがこれまでは「ほんの一部の人たち」にのみ可能だった行為(例:表現、社会貢献)を、すべての人々に開放する技術であること。
(4)ネットが「個」の固有性(個性、志向性)を発見し増幅することにおいて極めて有効な技術であること。
(5)ネットが社会によって多様な選択肢を増やす方向の技術であること。
                               「ウェブ時代をゆく」p14

 確かにそうかもしれない、ネットによって、このブログによって、一地方の「個」に過ぎない私にも、「言葉を公に発する機会を得た」のは確かであり、梅田氏のいうとおり、私の生活も交友関係も、勉強方法も、もしかしたら人生の方向性がそれによって変わったような気がします。

 ひきこもり者もニートも障害者も、堂々と発言できるようになったことは、ほんとに素晴らしい「革命」でした。

 ただネットが「弱者」にのみ有利な道具とは必ずしもいえないのは、最近の状況を見れば推測できます。
 むしろ「強者」にとっても、人心操作の使い勝手の良い道具である可能性も、はっきりしてきたのではないでしょうか。

 その先駆けが小泉圧勝だった郵政解散選挙で、梅田氏は、当時ブログ界が圧倒的に小泉支持が多かったことを持って、それがあたかも「群衆の知恵」として正しいと思い込み、その勢いに乗って「小泉圧勝」を予測したようです(「ウェブ進化論」)。

 しかしそれは氏のいう「あちら側」があたかも自立した世界であると思い込みすぎた故のような気がします。

 あの選挙はその後、実はきわめて周到に演出され操作されたものであることの指摘が多く人から出されています。
 主役は「こちら側」の強者だったのです。

 それとも氏はやはり「アメリカ側」のエージェント、またはそれに近い陣営にいる人なので、当然の政治的立場として小泉支持を出したということなのかもしれません。

 ただ、梅田氏は、弱者を利用し踏みつぶそうとしてしらを切り続けている小泉とは違い、芯から未来指向で、やさしい「いい人」みたいです。

 ネットをうまく使って、幸せになってほしい、自分自身を伸ばしてほしいと願う「愛」が伝わってきます。
 ほんとにITが好きなのね。

 慶應出のよい意味での「お坊ちゃん」らしさを感じます。
 そして、すごく優秀です。

 いくら努力しても、未来を見通して安心することはできない。未知を楽しむ心が生まれない限り、「時代の大きな変わり目」を幸福に生きることはできないのである。私たちはたしかにさまざまな厳しい現実に直面しているけれど、聞けば読めば心が萎える言葉ばかりシャワーのように浴びれば、せっかく生まれかけた意欲はすぐにしぼみ、未来を創造するエネルギーは生まれず、結果として厳しい現実は改善されない。(「ウェブ時代をゆく」あとがき)

 そこが同じく未来指向心理学であるアドラー心理学やブリーフ・セラピーを好む私には、共感できるところですね。

 
 

 

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