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June 24, 2008

メタローグから

 前回の記事にあったベイトソンと娘の会話(メタローグ)について、「やさしいベイトソン」から少し解説します。

 ベイトソンの本は、小難しい論文だけでなく、娘さん(実の娘メアリーがモデルらしい)との会話が随所にあって、ベイトソンの問題意識と思考方法が浮き彫りになっていて、とてもおもしろいですよ。
 是非読んで下さい。

 本書では、ドン・キホーテが著者の代わりに語ります。

「この物語(本書のこと:私注)を始めるにあたって、わしはなんとなく右の会話(前回のメタローグ)が気になってな。本能とか重力とか、これらたいそうな『真実』も実は、説明原理、つまりストーリーだと気づかせてくれるからじゃ。わかっていてもこの一大事、人は拙者も含めて、いきおい忘れがちじゃ。『文化』もそうなら『精神分裂症』も説明原理であることをな」
「ていうことは、実際にはそんなものは存在しないっていうことですかい?」
「あると言えばある、しかし、ないと言えばない。サンチョどん、この話はすこし待って欲しい。いずれ・・・」
「旦那様、わしはそういう言い方は嫌いでがす。話についていけるようしてもらわんと」
「では、手短に述べておくことにするが、馬上からわしの槍が地面に落ちたとしよう。『重力によって落下した』という説明を聞いて、お前はなんと思う?『なるほど科学的だ』とか『そりゃうまい説明だ』と思うか、『それは神のご意志だ』と思うか?どちらも説明原理じゃ。『幸運の女神』もそうなら『先祖の霊』も同じじゃ。しかし、一方を真実だと思う人が、もう一方こそ真実だと思う人を糾弾することがどうしてできよう」
「信じることが真実になるということでがすか」
「日常生活においてはそのとおり。わしらの修行生活もまたしかりじゃ」

 ベイトソンの言いたいことがわかってくると、私は臨床心理学の世界がいかに「説明原理」だらけかがわかってきて、じゃあ、それなら自分によりフィットする説明原理を選ぼうと思うようになったのでした。

「リビドー」「抵抗」はつまらなそうだし、「集合的無意識」「元型」は魅力的だけどよくわからないし、「行動」は最も強力だけど視野が狭そうな気がしてね。

 アカデミックな厳密さはないけど、「勇気」や「目的」「共同体感覚」が現場しか知らない自分にはフィットしたから選んだということではないかと、最近思います。

 ついでにベイトソンの遺産は、家族療法やブリーフセラピーに受け継がれたけど、全てではない気がします。
 それは実利的な半分。

 もう半分は、科学批判というか心理学ではトランスパーソナルの方向性、世界をエコロジカルに見る関係性の思想ではないかと思っています。

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