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June 30, 2008

「教育困難な子どもたち」

 久々のアドラー心理学本の紹介です。

「教育困難な子どもたち」アルフレッド・アドラー著,岸見一郎訳,アルテ

 今や子どもの問題は、たくさんの「診断名」や「障害名」で語られる時代になっています。
 その診断名を覚え、そこから現象を整理し、子どもや家族、環境を変えられるほどに使いこなせなければ、とても専門の臨床家、教育者とはいえないのです。

 だから、私も必死で勉強したよ。今もしてるし。あー大変。

 しかし、それらの「問題」が生じている子どもたちを、一言で要約すれば、すなわち「教育困難な子ども」としか言いようがないでしょう。

 本書は1920年代のウィーンで、アドラーが行った連続講演が元になっているそうです。主に教師たちに向けて、アドラー心理学を教育現場に導入するためのアドラーの熱弁が記録されているのです。

 訳者解説によると、アドラーは1919年から1920年にかけて、ウィーンに児童相談所を設立しました。世界で初めての児童臨床機関です。そこでは、

 アドラーはクラスの様々な生徒への対処について助言を求める教師の相談に応じることができるようになった。アドラーは、教師が出すケースについて教師に質問をした後、概括し、さらに実際に当の子どもと親のカウンセリングをアドラーが親の前でしてみせた。

 やがてこのアドラーの無料セッションは広く親の関心を引くことになり、個人心理学に通じた精神科医、心理学者が率いる治療チームが、週に1度、あるいは2度、学校の空いた教室で子どもと親の面接をするようになった。チームはウィーンの教育委員会から報酬を受けておらず、親子のいずれが先に面接をうけるなど形式はいろいろだったが、家族は無料で支援を受けることができた。

 まだ詳細な診断名が確立されるはるか以前のこと、今の「科学的心理学」の目からは荒削りに見えかねませんが、それを越えて、既に子ども臨床の本質に到達していたアドラーの力量と迫力を感じ取れる本です。

 その発想と技術は、今でも完全に適用可能です。

 しばらく、本書から気に入ったところを抜粋、紹介します。

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