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July 07, 2008

上野先生に学ぶ

 スクールカウンセラーの研修会に東京学芸大学教授の上野一彦先生が来県。テーマは「知的遅れのない発達障害児の心理アセスメント」。場所は山梨英和大学。

 日本LD学会会長で、WISC-Ⅲの日本版の開発をされた、いわずと知れた日本の発達障害臨床・教育の第一人者です。

 その研修会の事例提供者に、何と私がなってしまったのです。

 私は別にスクールカウンセラーをやっていないけれど、多くのスクールカウンセラーは実は知能テストの経験が少なくて、データの読み込み方がよくわからない人が多いので、私はWISCの実践数は山梨の臨床心理士の中でも最も多い方だろうからという理由で、研修のネタに事例を出すことになったようでした。

 確かに大学院を出たばかりで、相談機関や医療機関に入らずに、スクールカウンセラーで凌いでいる人はけっこう多いのです。
 そういう人は、知能テストを実施したり、結果を元に事例を理解する機会が少ないようです。
 それでは、少々困りますね。
 ほんとは、スクールカウンセラーも検査が現場で実施できるようになってくれれば、こちらもかなり助かるのですが。検査器具購入の予算とか、いろいろ難しいことはありますけど。

 しかし、あの上野先生の横で、まさか自分が事例発表して、拙い解釈が衆目のもとに曝され、検討されることになろうとは・・・。
 光栄なような、これまでのええ加減な態度がばれるのではないかと恐怖が湧いたりして。
 これには、さすがの私も緊張したわ。
 発表の冒頭は、顔が上気していたよ。いつも脳天気な態度がすっかり消えていたと思います。

 しかし、上野先生は、ご自身がLDだったとカミングアウトされるほどの人で、とても気さくで暖かく、最後に「大変良い事例をありがとうございました」と認め、励まして下さり、うれしかったです。

 そして、先生のWISCの解釈は、さすがに、すごい。的確で明快、詳細な分析に舌を巻きました。なんとなくわかっていても、こうは読めないと脱帽。
 背景にある知識と学問的研鑽、臨床経験が違いますわ。

 まあ、WISCを作った当事者ですから、日本で1番詳しいわけで、当然といえば当然ですが。
 かなうわけがない。

 この日の上野先生の発言の一端が、先生のブログに出ています。
 http://edublog.jp/kaz1229/archive/115#BlogEntryExtend

 先週は,奇しくも,IQでいえば70台,90台,110台という,3つのレベルの非言語性の,私どもの「軽度発達障害の心理アセスメント」(日本文化科学社)でいえば逆N型の典型例の子ども達のケースに出会いました。
同じタイプでも,推定されるIQのレベルもちがえば,教育環境もちがうし,年齢もちがうので, それぞれに発達の課題もちがうのですが,それでも同じ類型の共通点もあり,知能プロフィールの深遠さ興味深く感じました。

口頭言語が比較的なめらかなので,過大評価されやすいこと,期待されるレベルよりも空間認知課題につまずきやすいこと,特に周りの子ども達にとっては容易なことでも,苦手とする動作課題が目立ったり,そのギャップに本人もいらだちやすいこと,言語性のIQは相対的に高いのに,生活経験に結びつく「理解」が思ったより高くないこと。機械的な記憶は得意なのですが,学習の定着がわるく,勉強にもつまずきがでやすいこと。開発中のWISC-Ⅳで重視されるワーキングメモリーやプランニングの弱さがあるのかもしれません・・・

診断名からステレオタイプ的に受けとめたり,類型に無理に縛られたりしてはいけないのですが,やはりその共通性は理解の原点にもなります。
そうした大きな枠組み理解の中で,その子ども固有のニーズとその子どもの固有のリソースをいかに活用するか,真剣勝負の具体的アドバイスになります。

 上野先生、ほんとうにありがとうございました。

 終了後は、甲府駅前に飛んで、ワイン専門の居酒屋で、山梨のアドレリアンと飲み会(アドラーの夕べ)。
 秋に企画しているイベントについて、打ち合わせました。

 詳細については、いずれここでも発表します。

 

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