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December 24, 2008

反省の弁

 天木直人氏のブログ他で知りましたが、先週出た「週刊現代 12月23日・1月3日号」に、小泉構造改革の先導役を果たしてきた中谷巌氏(経済戦略会議元議長代理)が、「懺悔の言葉」を吐いています。

「小泉改革の大罪と日本の不幸 格差社会、無差別殺人-全ての元凶は「市場原理」だ」

 小泉構造改革は日本にアメリカ流のグローバル資本主義を持ち込みました。間接的にですが、その改革に参画した私は、小泉・竹中氏同様、日本社会に構造改革を持ち込んだ張本人なのです。
 しかし、いきすぎた構造改革は日本社会の良き伝統を壊す強烈な副作用を生み出しているように思われます。貧困層の増大、異常犯罪の増加、ぬくもりのある社会の喪失などです。「これはいけない」と、私は自らの主張が誤りだったと後悔の念を持っています。

「やっとわかったか」「何を今さら」「腹を切れ」といった言葉を、ブッシュに靴と同じように投げつけてやりたいという人も多いでしょうが、それでも自らの過ちを反省もせずすっとぼけている小泉や竹中よりはましというものかもしれません。

 臨床家は心やさしいので、誤りを認めたのだから 「君子豹変す」ということにしてあげましょう。

 記事の中で、経済学的なことはともかく、臨床的に興味深いのは中谷氏が語る学者としての「生育歴」。おそらくフルブライトでか、アメリカ・ハーバード大に留学して「洗脳」されたところ。

 私は69年にハーバード大へ留学しましたが、この留学によって、私はすっかり「アメリカかぶれ」になってしまいました。閉鎖的な日本の大学から解き放たれた開放感と、アメリカ社会の豊かさにすっかり魅了されたのです。
 なかでも目を奪われたのが、裕福で大らかな中産階級の人々の暮らしぶりでした。それを私は、アメリカ型の市場経済の賜物だと捉えていました。
 今にして思えば、それはケネディ大統領やジョンソン大統領といった60年代の民主党出身の大統領時代の遺産でした。彼らは、社会保障政策を重視し福祉国家を志向していました。所得の再分配にも積極的で、国民所得を平等化しようとしたのです。それが中産階級の豊かさを支えていたのです。

 留学して勉強をしっかりして、さらに友達や彼女ができるだけなら日米友好で別にいいのでしょうが、アメリカかぶれが高じて、米政府やシンクタンクの「ジャパン・ハンドラーズ」たちの手先になってしまう、そういうのは税金や向こうの奨学金で勉強させてもらえるエリート層にはほんとに多いようですね。

 別にアメリカに留学した人全員が「アメリカかぶれ」になるのではなく、例えば精神科医の和田秀樹氏はコフート心理学の勉強のために渡って、しっかり精神療法を学びながらも、「日本はアメリカみたいになってはいけない」と強く思ったそうです(「改革にダマされるな!」PHP研究所)。

 中谷氏が見抜けなかったことが、和田氏にはわかったということでしょうか。

 未曾有の経済危機の中、これからは、今まで構造改革を賞賛して旗振りをしていた学者や評論家が何食わぬ顔をして「転向」する様子がいっぱい見られるでしょう。
 あるいは人々の不満をぶつける対象として、さらに「改革が足りない」とか言って、公務員や公共事業を非難する輩もいるかもしれません。

 危機の時には、その人の人品人柄が出るものです。

 みなさん、人物観察には怠りなく、注意深くいきましょう。

 

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