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January 26, 2009

甲野古武術の科学性

 一時期のブームは収まった感もあるものの、甲野善紀氏が唱え実践する古武術は一般にも知られるようになって、さらに発展を続けているようです。最近は茂木健一郎氏との対談本も出ましたね。
 相変わらず精力的に活動されているようです。

 その甲野氏は著書や講演等で科学批判的な発言が多くされているせいか、多くの人から氏の古武術や豊かな語りの著作等を「非科学的だ」と批判されているようです。

 でも、ほんとうにそう断じてよいのだろうか?

 私は甲野氏の本は何冊も読んできました。お会いしたことはないので、氏の武術の実体を映像以外に見たことはないけれども、その術理は私たちの科学観にも大きな意味を与えてくれていると思っていました。

 最近、科学論、科学思想の分野で注目されているのに「構造構成主義科学論」というのがあります。
 早大出の気鋭の心理学者、西條剛央氏(日本学術振興会特別研究員)が中心になって唱えているものです。

 心理学は科学性とは何かが常に問われてきた歴史を持つのですが、そこから出てきた新しい科学論といえます。
 心理学の場合は特にそうですが、社会学や教育学、医学など多くの「人間科学」には様々な形の深刻な「信念対立」があります。
 「私の学派、理論こそが正しい(あの学派は間違っている)」「あの心理学は非科学的だ(これこそが科学だ)」等々。
 関係者はお互いに批判し合ったりして、みんな心当たりがあるはずです。

 そのような諸学問間の信念対立をどのように考え、解消したらよいかの理路を提供するものとして注目されているのが構造構成主義です。。

構造構成主義(こうぞうこうせいしゅぎ、英語表記:structural-constructivism)とは、人間科学における信念対立を超克し、建設的コラボレーションを促進するために西條剛央によって体系化された最先端の現代思想である。構造構成主義の思想的源流には、フッサール竹田青嗣現象学ソシュール言語学丸山圭三郎記号論池田清彦構造主義科学論ロムバッハ構造存在論がある。(Wikipedia

 何だかとても難しそうですが、西條剛央氏の「構造構成主義とは何か」(北大路書房)を読むと、科学を巡る現代思想や心理学など諸学問の歴史や課題、氏の提唱する構造構成主義についてとても明確に述べられています。

 その中で「構造構成主義による甲野善紀流古武術の基礎づけ」という一節があり、甲野古武術の「科学性」が論じられています。

 西條氏は、甲野氏の発言がなかなか科学的と思われない現状を批判して、

 こうしたことから、甲野善紀の古武術を学的に基礎づけるためには、新たな学問体系が求められるといえよう。
 私は構造構成主義こそ、甲野の指摘する新たな学問の体系の礎となりうると考える。甲野の根本的な態度や考え方は、構造構成主義と高い類似性がみられる・・・・。

 と述べています。
 甲野氏がいくら類い希な高度な技を衆目の前で披露しても、その価値を認めず、インチ扱いをする態度こそが、まったく非科学的であるといいたいようです。

 それではなぜそのような態度になるかといえば、そういう人は、目の前で立ち現れている現象ではなく、現代スポーツの常識(理論)を先験的に正しいものとして措定しているためであろう。甲野(2003)は、科学の実態を「事実よりも学説が、いわば教典として優先する」と指摘しているように、多くの人は自分の知っている「常識」を絶対視してしまうため、その常識にあてはまらない(計測・解釈・理解不可能な)コトには目をつむってしまうのである。

 ここでは構造構成主義とはどのようなものかは説明せずに、結論のみ抜粋して紹介します。
 関心を持たれた方は、お勉強をして下さい。

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