グロリアとロジャーズを観た
学舎、ヒューマン・ギルドの演習で心理カウンセラー、臨床家の間では有名なビデオ「グロリアと3人のセラピスト」のロジャーズのところをみんなで観ました。
ビデオの存在はとっくの昔に知っていましたが、私はなかなか観る機会がなくて初めてでしたね。
このビデオは、グロリアという女性クライエントに、来談者中心療法のロジャーズ、ゲシュタルト療法のパールズ、論理療法のエリスという三人の心理臨床界のスーパースターが順番にカウンセリングを行うというもの。
各学派の特徴がよく出ているので、とても勉強になるといわれています。
ネットで検索してもいろんな臨床家、カウンセラーが観ていて、それぞれの立場で感想を書いているのがわかります。
母親としての自分と女としての自分の葛藤・罪悪感に悩むというグロリアにロジャーズがどのように挑むか。
ビデオを見たことのある人はわかるでしょうが、そこにあるのは普通のカウンセラー、臨床家がロジャーズに抱く姿とは少々違い、受容的といえば受容的ですが、むしろ積極的に発言し、毅然とした姿でした。
後期ロジャーズの姿だといいます。
日本に主に根付いたのは、受容・共感がキャッチフレーズの前期ロジャーズだといいます。
その積極的な姿勢はロジャリアンというより「アドラー派のカウンセリングに似ている」という印象を語る仲間もいました。
私は観ながら、昔聞いた、ミルトン・エリクソンを訪問した成瀬悟策先生が、患者を治そうとするエリクソンの「迫力」に感銘を受けたという話を思い出しました。
やはりカリスマは「気力」「迫力」がある。
しかし、私としては違和感もありました。
何としても緩慢というか、同じところをグルグルと回っている印象がするのです。
これがロジャーズと彼の学派のカウンセリングの持ち味といえばそうですけどね。
グツグツ煮込んでいるうちに錬金術のようにポンと良いものが浮かんでくる、析出されてくるというイメージを持っているように思われました。
おそらくそれは、クライエントの訴える罪悪感という葛藤に対する考え方によると思われました。
葛藤が問題や症状を生む、葛藤に引き裂かれるかわいそうな人というモデルをロジャーズは持っているのではないかな。
だから受容・共感という適切な土壌、環境を与えれば自然にクライエントは変わっていくと考えている。
アドラー心理学は葛藤は原因ではなくて、対人関係で目的を達成するための手段に過ぎないと考えるから、あまりその辺でウロウロしなくても良いようにできています(状況によってはウロウロしてもかまいません、クライエントに「寄り添う」と称して)。
そういう考え方のために、動きや変化を作り出しやすいのだと私は思っています。
いずれにしても、貴重な機会となりました。
改めて調べるとそのビデオが動画としてネットに出ているのですね。
でも吹き替えも何もなく、英語のみですよ。
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