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February 17, 2009

20世紀最強は誰か?

 最強は誰か?
 
これは武道・格闘技をする人なら誰でも抱く疑問であり、みんなその人なりの持論があり、これまでも長い間口角泡を飛ばす論争がありました。
 絶対結論が出ないけど、楽しいテーマでありますね。

 最近たまった本や雑誌を整理、処分しているのですが、「格闘Kマガジン」2001年2月号(ぴいぷる社)という今はない格闘技雑誌が出てきまして、「20世紀の武人・最強の10人」という興味深い特集をしていました。
 その中で、「識者に訊く!20世紀最強の格闘家は誰か?」として、この「業界」のかなりマニアックな「識者」たちにインタビューをしていました。

 答えていたのには、梶原一騎の弟・真樹日佐夫氏や無門会空手道の富樫宣資氏、シューティングの佐山聡氏がいましたが、私の好きな運動科学者・高岡英夫氏がとても興味深い答えをしていました。

 覚えと関心のある方のために転記します。

最強は中国の三大家

 李書文
 郭雲深
 王向斎

 中国武術の3人と・・・、あと日本では大東流の佐川幸義でしょうね。ただ、佐川先生はあまりにも実戦のエピソードに乏しいので、これを格闘家という概念でイメージするのは難しい気もします。

 今挙げた中国武術の三大家以外ですと、ルールに即した闘いになってきますから、これも難しい。最近はバーリ・トゥードなど、打撃系、組技系が同一の土俵でできるルールもできていますから、最近の格闘家同士なら比較ができるようになりましたが、20世紀全体を視野に入れるとなるとそうはいきません。

 組技系、打撃系、そして武器まで含めて、李書文などは現代人の想像をはるかに超えるほど強かったと思います。20世紀から外れれば、日本でも宮本武蔵や真理谷円四郎という1000回戦って無敗という剣豪もいますが、そうした達人たちと同じく、あまりにもDS(ディレクト・システム:身体意識の構造)が素晴らしく、もはや次元を越えた存在となっているのが、李書文、郭雲深、王向斎の3人です。

 彼らの戦いを、現代格闘技界の試合を例にかろうじて推測するとしたら、ヒクソン・グレイシーが高田延彦と闘った1回目の試合ですね。なぜ高田は卑屈な感じになっていたのか?いつもの高田らしい勇気あふれる構えはどこへ行ってしまったのか。あれはヒクソンのDSが素晴らしく、立ち会う前から圧倒されてしまい、自分の力が出せない状態だったと推測できます。

 中国の三大家には信じられないくらい素晴らしいDSが形成されています。実際に相対して、やる気がONになったとしたら、もう前に立っていることができない。戦う気力さえ失われてしまうでしょう。

 これは李書文のDS図です。今回はまだ発表できませんが、近いうちにお見せしたいと考えています。ほら、この熱性の気を発するディレクターが凄いでしょう。李書文の前に出たら、正視することすらできず、試合になりませんよ。技はまったく揺るぎない動きによって繰り出され、相手の反応など一切構わず、問答無用に貫徹してしまいます。
 背中、側軸系が半端でなく、身体意識の強度が凄まじく高い。側軸がない人に、人為的に李書文の側軸を作ってやったとしたら、猛烈に痛んで立っていられません。彼らは、長い鍛錬によって側軸を形成し、自分のものにしていったんですね。

 李書文はコミック「拳児」で有名になり、格闘ゲームでも人気のある八極拳の名人、そして、私がやる武術の直系のご先祖2人(郭雲深と王向斎)も挙げられているのがうれしいね。
 信じられないかもしれませんが、どうしてそうなのか。

 高岡氏は、

 中国武術の鍛錬はもちろん優れたものですが、それに加えて時代的なところも理解する必要があります。

 と述べ、20世紀初頭の動乱の中国で実際に殺し合いをしていた時代の「トップの中のトップ」であったためとしています。
 逆にいうと、ルールの中の試合のみで強弱を論じても野球とサッカーの強弱を論じると同じように意味がないということでしょう。

 しかし今は実際に殺し合わなくても、心身の能力開発に素晴らしい「中国の鍛錬法を科学的トレーニングとして仕立て直すこともできます」と自身の開発したメソッドを紹介していますが、同様に21世紀は様々な角度から、東洋の方法論が見直されてくると思われます。

 昨今の古武術ブームはその先駆けだったのかもしれません。

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