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March 25, 2009

「シルクロードの経済人類学」

 目からウロコ、でした。
 さすが、栗本慎一郎、と改めて思いました。

 シルクロードのイメージが変わります。

 砂漠、隊商、楼欄、さまよえる湖、そして喜太郎のシンセサイザー音楽、もう大分昔のことですが、NHKのシルクロード番組のイメージが、我々に植え付けたイメージは強烈でした。
 西遊記の三蔵法師が旅した苦難の道、昔の人は必死の思いで東西の道を歩んでいたんだなあと、テレビを観て単純に思い込んでいました。

 しかし、シルクロードはもう一つあった、そしてそれが本当のシルクロードだったというのです。
 経済人類学者で元衆議院議員・栗本慎一郎氏「シルクロードの経済人類学」(東京農大出版会)には、シルクロードの隠れた本当の姿が明らかになっています。

Photo  それは世界史の教科書かなんかで出てくる、中国の長安(西安)から中国を横断するように西に進み、天山南路や北路を経てインドの北、中央アジアに抜ける道ではありません。

 もっとそれより北、中国東北部からモンゴルを突っ切り真っ直ぐ西へ、カスピ海へ伸びていく「北のシルクロード」あるいは「草原の道」です。

 そこは南のシルクロードの砂漠の道とは違い、はるかに平らで、なだらかで、美しい草原が広がっています。

 この草原の道は美しく、泉と川に満ち、岩の転がりもないではないが、たいしたことはなく、およそはなだらかで身障者(私:著者は脳梗塞から脱したが体が不自由なな身)でも歩けるような道だ。草原をあちらでもこちらでも歩けるのだ。他方、天山山脈の南の道は、厳しい岩の転がりと渓谷でまさに難路である。

 可能なら人は、動くに楽で水も食料も容易に手に入る道を通って旅をしたいに違いありません。
 そして、実際はまさにそうだったのです。
 本書の表紙写真を見ていただくと、その雰囲気がわかりそうです。とてものどかな光景。

 この草原の道が本当のシルクロードで、私たちが学んだシルクロードはそこが紛争などで通れないときやむを得ず行く迂回路みたいなものだったらしい。

 古代中国・ローマの時代から、その草原の道をたくさんの人、物が動いていました。
 世界史に登場する数多くの遊牧民、匈奴や鮮卑、そしてフン族、さらには元などが東西に疾駆し、中国やローマ、ヨーロッパを攻め、占領し、略奪し、国さえ作っていた。
 その一部がカスピ海近くにカザール帝国を作り、その民族が散って、今世界の政治・経済・学問の中心的に動かすアシュケナージ・ユダヤ人となったと栗本氏はふんでいるようです。

 まさに影の世界の歴史の主役たち、ただし多くが文字や記録に執着のない人々で自身の歴史記述がほとんどなく、反対側の勢力である漢民族やローマ人側からの記録しか残っていないから、その実態は長く分からなかったらしい。

 実際にコーカサスやアルメニアに調査・発掘までした栗本氏によると、その草原の道は実は、我ら古代日本にも実に大きな影響を与えたらしいのです。

 続きはまた。
 ただ、古代史はなかなか複雑なので、自分にはまだうまく読みこなせませんから、お読みいただくといいと思います。

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Comments

想像が膨らみ深まりますね。

僕は日本人の起源に興味を持っているのですが、南方のポリネシアやアジア大陸から、多種の民族が日本列島に渡ってきたという説を信じています。「縄文人たちはポリネシア系で、弥生人たちはアジア系だったんじゃないか?」と勝手な仮説でスミマセン。

近畿地方に大和朝廷が小国を建設してから、「内と外」、さらに後には国が広がって「国内と海外」という意識は芽生えたにせよ、日本は常に外来文化を取り入れながら自文化を育ててきたようです。
そういう意味で「シルクロード」が果たした役割は重要だったのだと思います。

「シルクロードがモンゴルを突っ切っていた」のが、納得できます。モンゴルの文化が日本に入ってきてますから。
相撲がモンゴル文化です。
言語学では、日本語はモンゴル系語族に属してます。
混血民族である日本人の血液は、モンゴル人の血液により近いそうです(九州大学の調査結果です)。

時間があれば、古代史もちゃんと勉強したいです。
想像力を刺激してくれる「書評と紹介」を、ありがとうございます。

Posted by: しんぷる | March 27, 2009 05:48 AM

 しんぷるさん

 私も日本人は単一民族だとは思っていません。もっとゴチャゴチャしているんでしょうね。
 大体今の私たちの文化、生活だってそうだもの。

 しんぷるさんがお察しの通り、栗本氏は日本へのモンゴル、遊牧民も北のシルクロードからの影響を重要視しています。
 
 とても想像力が刺激されて、楽しいですね。

Posted by: アド仙人 | March 27, 2009 10:40 PM

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