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March 17, 2009

「合気修得への道」

 不世出の達人、おそらく戦後日本では最強・最高の武人といわれる大東流合気柔術の佐川幸義氏、その実際の姿はマスコミ等の表に出ることはなく、なかなかうかがいい知ることができませんでした。
 その佐川氏の愛弟子で高度な合気技の後継者とされる木村達雄氏の「合気修得への道-佐川幸義先生に就いた二十年」(合気ニュース)に、その様子が豊富な写真共に知ることができます。

 写真が凄い。
 大のおとなが、玩具扱い、ぼろ雑巾のように投げ捨てられている。
 関係者の証言では、それらは一般の合気道とは違い、全くの「お手盛り」抜きで、どのような空手や格闘技の猛者が飛びかかっても全く同じように、90歳の老人に手もなくひねられ、吹っ飛ばされてしまったといいます。

 著者の木村氏はそんな佐川氏にくらいつくようにして教えを受け、ついに合気を完成させました。その半生が本書には綴られています。

 木村氏は、東京大学理学部数学科及び同大学院博士課程修了。現筑波大学大学院数理物質科学研究科教授。
 数学の大家です。
 完璧文系人間の私には、合気がなくてもそれだけで畏敬の念を抱いてしまう。

 一般に数学者って「変人」ってイメージがありますし、確かにそういうところはなきにしもあらずで、我々心理系の業界人からア○ペと呼ばれるタイプがメチャ多いのですが、木村氏もなかなかすごい。

 本書の前半は佐川氏に出会う前の武道歴と共に数学者になるまでのプロセスがあって、ひたすら数学に没頭する時と武道の稽古に邁進する時の徹底ぶりはすさまじいの一言。

 京大の高名な数学者のところに転がり込んで、寝ても冷めても数学の日々。そんな中、

 そうしたらとても不思議な現象が起こり、自分のエネルギーレベルが上がったのです。火事場の馬鹿力状態になるというか、普通の状態じゃない。かあっと体のなかのエネルギーが上がってくる感じで、ぜんぜんわけがわからなかったノートが、なぜかじーっと見ているうちに、こういう意味じゃないかとか、いろんなインスピレーションが出てき始めたのです。

 佐川氏が「毎日四股を千回踏む」と聞けば、本当に毎日四股を千回も一万回も踏み続け、40度の熱が出ても、心臓が悪くなってニトログリセリンを持ちながらでも毎日稽古に出続ける。

 やっぱり突き抜ける人は違う。根性なしの私はそこまでできないな。美味しいものを食べたいし、女の子とも遊びたいし。

 本書には、佐川合気の本質を、普通の合気系武術のような関節技、逆手技やベクトル外しではなく、「人体の非物質的システム」のスイッチを切ってしまうことではないかと考えるに至ったそうです。

 その辺のところは、本ブログで以前、「合気の秘密」で紹介させていただきました。

 本書はなぜか経営コンサルタントの神様といわれる船井幸雄氏も、最近取り上げて推薦しているようです。

 合気に関心がある人のみならず、人間の可能性に関心がある方なら参考になるからだと思います。

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