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April 27, 2009

「誰も知らない武術のヒケツ」

 酔って裸になったことはありませんが(ないと思う、あ、脱ごうとしたことはあったか)、酒の上の失敗もたくさんある私がお酒以上にこよなく愛するのが武術。

 そんな武術・武道・格闘技について具体的・業界裏話的情報を得たい人には、お勧め本があります。

「誰も知らない武術のシクミ」長野峻也著、アスペクト

 武術の本当の姿はどのようなものか、格闘技やスポーツとどう違うのか、合気など一見神秘的な技の仕組み、映画やテレビの時代劇での殺陣と武術、俳優と武術との深い関係など興味深い話題がたくさん出ています。

 「武道・武術業界」はそれほど大きいマーケットではないと思いますが、著者の本はそれなりに売れているらしく、「誰も知らない武術の~」シリーズとして「ヒミツ」「教え」などと何冊も出ています。

「業界人」というほどではありませんが学習者、消費者として長いキャリア(?)を誇る私も、とても楽しく読めました。
 それはまず、武術に対する考え方、嗜好、方向性が基本的に私と同じなので、共感できるところが多いからだと思います。

 さて、誤解を恐れずに述べれば、武術の心得は「戦わないこと」が目標です。
 どうしてかといえば、「武術の技を遣って戦う」ということは、「相手を殺す」ということを基本的な前提として技術と戦術が組み上げられて体系化しているからです。
「人を殺す」という、人として最も忌避すべき事柄を基本的な前提にしている以上、武術を理性的な倫理観の無い人が学べば、人格障害者になってしまう危険性があります。・・・(中略)・・・
 武術というのは、本質的に他人と強さを競うものではありません。
 稽古の一環としての試合はあっても、試合そのものを目標にする発想はありません。
 何故ならば、武術の勝負は厳正に決しようとすれば、凄惨な殺し合いになってしまう性質のものだからです。現代の武道や格闘技の試合と違って、真剣勝負とうのは死を前提にしたものなので、安易にできる道理がなかったのです。p13

 基本的に著者が好み、現状ではなく本質的に「強い」という意味で本当に評価すべきとしているのは、合気道、中国武術の太極拳、形意拳などの「柔らかい系」の武術で、その点では私と完全に一致します。

 しかし、大きな違いは、著者は古武術研究家・甲野善紀氏を、非科学的、非実践的とほとんど全否定的に敵視し、運動科学者・高岡英夫氏にも良い目を向けていないのに対して、私は全く反対の評価をしているところです。

 私から見ると、著者はいい意味でも悪い意味でも「常識人」で(ご本人はパニック障害といっていますが、それさえも普通の証かも)、それで飯を食っているわけだからプロといえるレベルでしょうが、武術・武道に対して誠実な「マニア」な人という感じを受けました。

 本ブログでは甲野氏の実践は、最新の科学論から見ると立派な科学的実践となることを紹介しました。そういう思想的視点というのは持ち合わせていないようです。
 甲野古武術の科学性
 甲野古武術の科学性・2
 甲野古武術の科学性・3

 しかし長年武術・武道業界のライター、評論家として生きてきた著者の見解には、見るべきものがあるのは間違いないので、さらに取り上げたいと思います。

 

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