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April 07, 2009

老荘思想とひきこもり

 もう3月末の話ですが、職場に送られてきた開催案内のタイトルに惹かれて、思わず参加してみました。

「老荘思想とひきこもり」
 主催は「東洋思想と心理療法」研究会、場所は駒澤大学の大学会館。

 テーマもすごいが、こんな名前の研究会があったことも知らなかった。

 HPもあって、役員の名前を観ると,、普通の人は知らないだろうけど、けっこう心理臨床界では有名どころが多いみたいです。精神分析学の西園昌久先生、自立訓練法を世に知らしめた佐々木雄二先生、家族療法やロールシャッハ・テストの中村伸一先生、催眠療法の森山敏文先生などなど。
 直接は知らないけど、どこかで聞いたような名前ばかりです。

 確かにひきこもりは世捨て人的なイメージでとらえれば、神仙思想の仙人や仙道につながるのかもしれないけど実際どんな内容なんだろう?と思いつつ、私も仙人のつくハンドルネームを持つし、気功も心理療法もやるのだから、これは行かなきゃ、といった変な使命感が湧き、参加いたしました。

 この研究会はそれなりに歴史があるらしく年に1回開催し、もう11回開催のようです。

 プログラムは、

教育講演 「老荘とその周辺」 吉本昭治(吉本医院)

特別講演 「中島敦の文学に見る老荘思想」 ポール・マッカーシ(駿河台大学)

シンポジウム「老荘思想とひきこもり」
演題1 「Egoなしの心理療法は可能なのか?」ジェリー・クスマノ(上智大学)

演題2 「老荘思想と心身実践」廖赤陽(武蔵野美術大学)

演題3 「心が閉じる局面と治療関係-引きこもりケースの精神療法より」近藤直司(山梨県立精神保健福祉センター)

指定討論 西園昌久(心理社会的精神医学研究所)

 なかなか固そうな内容です。

 ちなみにシンポジストの近藤先生は、顔なじみというより仕事仲間で、山梨県の児童相談所や子どもメンタルクリニックで一緒にケースに当たっていた関係です。
 お互い「おお!」と顔を見合わせ、「どうしたんですか?」と聞いたら、ご本人は老荘思想に詳しいわけではなく、引きこもりケースを出すことを会から依頼されての登壇のようで、ケース報告自体は面白かったです。

 全体の感想ですが、正直なかなか難しいなあ、老荘思想とひきこもりというテーマがうまくかみ合っていなかったという印象です。

 老荘思想の研究者、文学研究者、気功師、医師がそれぞれの立場での報告はあっても、必ずしも両方に通暁しているというわけではなかったので、二つをうまくつなげられなかった、あるいは問題・課題を提示できなかったのではないかと思われました。

 むしろ一線の研究者じゃなくて、市井で妖しく老荘思想的文化と心理臨床を実践している人間に勝手に語らせた方が面白かったのではないかな。
 誰だそれ?

 そう、私です(笑)。

 いや、私以外にも何人かそういう心理士、カウンセラーはいるようなので、いつか結集するのも面白いかもね。

 それでも中島敦なんて、高校の国語の教科書以来に触れたので、講義のレジメで作品を読んでみて、改めて興味深く、読んでみたいと思いました。

 その中で、私が関心を持ったことを次回以降に少し述べたいと思います。

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Comments

老荘思想と臨床心理学が「引きこもり」を媒介にして相互連関し合うのは、面白いですね。

日本文学史上にも中世~近世の「隠者文学」という研究分野があります。
流浪・行脚した文人だけでなく隠遁・隠棲した文人たちも「隠者」に含まれますから、「引きこもり文学」という研究分野があっても不思議ではないくらいです。

僕は、職権を少し乱用させてもらって、「積極的・能動的な引きこもりのすすめ」とか、「人格成長に不可欠な、知的で創造的な引きこもり」というテーマで、若者たちの発想を刺激しています。

昔(70年代前半の頃)、「書を捨てよ、街に出よう」という寺山修司の映画が、学生や知識人の間で話題になりました。
タイトルだけを解釈すると、「引きこもって本ばかり読んでないで、社会の現実・事実を体験しなさい」という意味です。

しかし、「人格をより豊かに成長させるためには、捨てられるだけのたくさんの本を読んでから、世間の風に当たりなさい。そうすれば、その現実体験も読書で得た知識も、自分の身になって生きる」というのが、寺山修司の真意であるはずです。
彼自身が、読書家で行動家で芸術家だった人ですから。

「積極的に引きこもって、読書や思索をするから、外出と行動に精神的な意味と価値が生まれるのです。
知識と思考を練ってない行動は、ただの物体がA地点からB地点に移動しただけです(黒猫ヤマトの荷物と一緒だよ)」
と生徒たちに語ることが、よくあります。

世界と自己との関係のダイナミズムを見つめ直し、問い直し、現在の自分の生に意味と価値を付与するためには、「積極的で建設的な引きこもり作業」が必要不可欠だと信じて、僕は身をもって長年実行してきました。

「(クリエイティブな)引きこもり万歳!!」と叫びたがってる自分がいます。

書き出したら、長々と失礼しました。

taichiさんの記事は、本当に有難い「刺激と勉強」になります。
ありがとうございます。

Posted by: しんぷる | April 08, 2009 at 04:05 AM

 しんぷるさん

 いつもありがとうございます。好きなだけ書き込んで下さい。

 そうか「引きこもり文学」というのは日本の伝統なのかもしれませんね。
 しんぷるさんみたいに捉えていけば、みんな過剰に問題視せず、うまくいくことが多いと思います。

 寺山修司の有名な言葉の真意は、本当にその通りだと思います。
 本が好きな人にこそ、意味のある言葉だとハッとしました。

 僕もたくさんのひきこもり少年、青年と接するので、「クリエイティブな引きこもり」になるように目指していきたいと思います。

Posted by: アド仙人 | April 08, 2009 at 11:23 PM

初めまして。岩手の片田舎に住んでいる、臨床心理士です。2月からブログを書いておりまして、リンクを貼らせていただきました。よろしくお願いいたします。

Posted by: nori | April 11, 2009 at 06:06 PM

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