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May 09, 2009

樹林気功・樹木に癒される

 前記のとおり今田求仁生氏はパリで医療人類学を学びながら、当時ソ連と戦争をしていたアフガニスタンに医療ボランティアの一員として赴きました。
 そこで大変なことに巻き込まれます。

 毒ガス兵器によると思われる被害に遭ってしまい、体はボロボロ、気管支が癌になってしまったのです。
 そこからはご本人唯一の著書「愚者の知恵」(伯樹社)でご本人に語ってもらいます。ちなみにこの本の内容は、今田氏が樹木や自然とのつき合いの達人たち(東大の林学教授で北海道演習林に住み着いていたことで知られた高橋延清氏や「法隆寺の棟梁」宮大工・西岡常一氏など)と対談したものです。引用部分の対談相手は日本最初の「樹医」山野忠彦氏です。読みやすいように適宜改行します。

 何年か前になりますが、国際医療協力のお手伝いに行っておりました際、戦火にまきこまれてしまいました。その時、毒ガスに犯され、九死に一生を得ました。しかし、数年後、このことが原因かと思われますが、肺癌になりました。当時はフランスで研究生活をしておりましたが、友人の医師から、「あと、二、三ヶ月の命だから、君の人生を有意義に生きてくれ」と言われました。そこで、日本に帰って産土(うぶすな)になろう、と考え、帰国いたしました。あと数ヶ月の命なら、子どもの頃、伝えていただいた気功をやってみようと思いました。

 東北の森に行きまして、先生もご存じと思いますが、八幡平から奥の方にブナの原生林があります。そこに潜り込みまして、どうせ死ぬんだからと思い、着ていたものを全部脱ぎ捨てて素っ裸になり、夏から秋にかけて四十日間入っておりました。

 そうしましたら、最初は体が動かなくなってきておりましたが、ある日を境にだんだん動けるようになりました。それまでは寝たら寝たきり、という感じだったのですが、次第に動けるようになり、坐れるようになり、そして立てるようになっていきました。

 ある日のこと、樹木になりきってしまう「站とう功」という気功がありますが、それをやっておりましたら、体内にシャワーンという感じがするんです。これは何だろうか、幻覚でも起きたのだろうかと思いました。つづけてやっておりますと、またシャワーンとくるんです。その時はじめて、これが木霊かと思いました。木霊がスーッと体内に入ってくる。そうすると、それまで痛みがあったのがスッと消えるんです。まるで皮でも剥がすように。その時、はじめてわたしが師から伝えていただいたものは何だったのかと思い至りました。理念では多少のことは知っておりましたけれども、そうではなくて生身で直に感じたといいますか、「あー、そうか、人間と大自然とは互いに癒し合えるんだ」と思いました。

 さらにつづけてやっておりますと、こちらが気持ちよくなると、樹木の方も気持ちがよさそうなんです。

 その後医者にいろいろ調べてもらいましたところ、「癌病巣はない」と言われました。肺癌でも末期の状態だったものが、自然退縮したらしいのです。それ以来、森に行って気功をやってますと、とても気持ちいいんです。

 このような経験を通して、本当に樹木と人間は癒し合えるんだ、森林浴のように、一方的に人間だけが気持ちよくなるという発想ではなくて、人間が気持ちよくなったら、樹木も気持ちよくなるんだ、ということに生身ではたと気づきました。p61~62

 すさまじい治癒の物語です。
 白神山地の奥深く、一人死をも覚悟した山籠もりをしているうちに、ブナの原生林に癌が癒されるという、「究極の自然治癒」といえます。

 もちろんここで、「癌になれば樹のところや森の中で気功をすれば治る」と短絡的に考えて、方法化したりして「商品化」してはなりません。
 今田氏にしても、それまでの長い気功体験や東洋医学の研究で、「功夫(クンフー)=心身の基礎」ができていたからこそ、自然の持つ奥深い力に触れることができ、重い病を退けることができたのだと思います。

 しかし今田氏はこの体験から、樹木との気の交流を通して、人は自然や身体についてほんとうに大切なことを学べると考え、樹林気功を着想します。

 それは当時既に深刻化して今にも至る問題、医療や教育の崩壊、身体性の喪失、環境破壊、暴力の蔓延に対してとても大切なメッセージと技法を発信することになりました。

 

 

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