ナラティブ・セラピーを学ぶ
5月30,31日、ヒューマン・ギルドでの「ナラティブ・セラピー入門」に参加。
最近の心理臨床界のキーワードはエビデンス(科学的根拠)とナラティブ(物語性)、両者を知らないと時代に乗り遅れてしまう、という雰囲気があります。特に、エビデンス・ベースドはモダン科学主義なのに対して、ナラティブ・セラピーは、ポストモダン思想、とりわけ社会構成主義に基づいているだけに、私には興味がありました。
しかし、いわゆるブリーフ・セラピー、ソリューション・フォーカスト・アプローチは技法重視で学びやすいのに対して、ナラティブ・セラピーは物語とか協同性とか魅力的な概念、考え方が目立つものの、本を読んで分かった気になっても、さて、実際どうすればいいのかとイメージしにくいところがありました。
だから今回はナラティブ・セラピーを実践している方から学ぶチャンスとなりました。
講師は、生田倫子先生(慶應義塾大学)。
若手ではありますが、既に家族療法、ブリーフセラピーで数多くの論文、著書を出しており家族療法の総合サイト、家族心理COMも主宰されている心理臨床界では有名人であります。
しかも美人。
これは行かねば。
ナラティブ・セラピー、社会構成主義のあれやこれやをここで短く論じることはできませんが、本ブログでも関心を持った本などを紹介してきました。「妖怪セラピー」、冬休みの課題
ナラティブ・セラピーの成り立ち
・ナラティブ・セラピー(Narrative Therapy)の「ナラティブ」とは物語という意味。
・よって物語療法とも呼ばれる。
・家族療法を起源とし、オーストラリアのホワイトとエプストンによって提唱された。ナラティブ・セラピーの狙い
・ナラティブ・セラピーでは、「問題」をシステムの構成員によって社会的に構成された現実、つまり「物語」であると捉える。
・それを新しく生産的な「物語」に転嫁すること、これがナラティブ・セラピーの狙いである。(当日資料)
生田先生はとても切れ者で、博学、哲学の認識論から家族療法・ナラティブ・セラピーの理論へと進み、さらに綺羅星の如く輝く家族療法家たちの歴史へと説明を組み立てていく姿は、まさに一流の研究者の風情で圧巻でした。
頭がいい人っていいな。
ベイトソンの認識論など、私が若き日にはまった思想家の話など実に面白くてもっと聞きたかった(知らない参加者にはきっと訳の分からない話だったでしょうけど)。
しかし臨床家としても一流なのは、事例や技法を紹介、実習するときの動き方でうかがえました。
特に先生が臨床現場としてきたのは養護施設や荒れた学校のスクールカウンセラーだったそうで、私のフィールドとほとんど重なるので、話が通じやすかったです。
今回技法として学んだのは、ナラティブ・セラピーの表看板、外在化。
問題をトラウマとか性格とか衝動性とか攻撃性とかといった「心の中のあるもの」として扱うのではなく、それにユニークな名前をつけ、キャラクター化して「外側にあるものとして」取り出し、それとどう付き合うかを考えてみるものです。
読んだだけではわかりにくいでしょうが、実習してみると実に簡単で効果的で面白い!
私は自分のある問題をイメージしたら、ずんぐりむっくりした大きな狸が丸くなって寝ている姿が出てきて、それに「ズンくん」と名付けて、ズンくんとどう付き合うかをカウンセラー役の方と話し合いました。
それがすごく楽しくて、良かった。
コツはつかんだから、今度やってみよう。
以前から感じていましたが、ナラティブ・セラピーはアドラー心理学の考え方とほとんどピッタリ重なるもので、両立可能なだけでなく、さらにお互いをパワーアップさせる可能性があると今回確信しました。
今後も学んでいきたいと思います。



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