「パーソナリティー障害」
こんな歪んだ社会に生きていれば、誰でも多かれ少なかれ人格、性格、パーソナリティーと呼ばれるものが歪んでも仕方ないような気もします。
私もあなたもね。
だけど広い社会には、普通の人以上にその「歪み度」が極端になってしまった方がいます。
物事を狭く、あるいは極度に大きすぎる幅で見てしまい、決めつけ、人を巻き込み、自分も混乱してしまう人たちです。
臨床的にはパーソナリティー障害といいます。
精神医学者や心理臨床家の中には、このパーソナリティ障害の「病理」に取り憑かれて、詳細精緻な理論を打ち立てて(得々として)いる人も多いですねえ。
あるいは反対に、「あの人(クライエント)はパーソナリティー障害だ」と思うと変に緊張して、反射的に遠ざけようとする人もいます。
きっと過去に振り回されたり、いやな思いをしたのかもしれません。
「パーソナリティー障害」岡田尊司著,PHP新書 は、専門家も学生も一般の人もこのような人たちを理解するのに格好の一書となってくれそうです。
アドラー心理学の学舎、ヒューマン・ギルドの書籍売場にあったのを見つけて、ここで薦めているのだから面白いかもと思って買ったら、当たりでした。
境界性、自己愛性、演技性、反社会性、妄想性、失調型、シゾイド、回避性、依存性、強迫性といった各パーソナリティー障害について「特徴と背景」でその具体的な行動、思考パターンや困ったところを説明し、「接し方のコツ」でどのように彼らと接すると良いか、「克服のポイント」で当事者の彼ら自身がどのように自分の問題と付き合うと良いかをポイントを絞って説明してくれています。
けっこう親切な本で、私は知らなかったけど著者は作家でもあるらしく、描写力があって、とてもわかりやすい。
例として、ウィノナ・ライダー、サルバドール・ダリ、ココ・シャネル、ロダンとカミーユ・クローデル、マーロン・ブランド、チャップリン、ユング、キルケゴールなど著名人が何人も挙げられていて、「なるほど」と納得します。
逆にいうとこれは障害や病気というより、才能、リソースでもあり得ることがわかります。
ちなみに本書によると、著者は医学に進む前、最初に哲学を学び、大学時代二年ほど引きこもっていたそうです。そういう経歴の異色さによる面白さは随所にうかがえます。
パーソナリティーはアドラー心理学では「ライフスタイル」という独特な言葉や意味を込めて言い換えて使っていますが、結局彼らはいわゆる「病気」というより、「自己と世界の認知構造」「人生の運動の線」がブレ具合、外れ具合の振幅、固さの問題なのだと改めて思いました。
本書では巻末に「パーソナリティー自己診断シート」がついて、自分で「パーソナリティー障害度」をチェックできます。
ちなみに私は、「自分大好き人間」自己愛性パーソナリティー障害でした。わかっていたさ、フン。



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Comments
きっと、面白い本ですね。新書版で安価なので、さっそく読んでみます。
僕も、自己愛性傾向がかなり強いと自認しています。
自分の中の失調型と回避性と依存性の部分も認めています。
ただし、それらの部分に反発するように「自己愛的自己顕示性」が強く働くので、けっこう今の「仕事ができている」のだと思います。
本当は臆病で気が弱いくせに「教室の教壇に立ちたがる」、「たくさんの人たちの前に出たがる」、「聴いてもらいたい、観てもらいたい、読んでもらいたい欲求が強い」のです。
けっきょく、物凄い淋しがり屋で、よりたくさんの人たちと実社会に認められたいのです。
中学時代からの重い劣等感を克服するために、進路と専門分野と職業を選んで来ました。「自己劣等感」て、悪いものじゃないんですね。
自分事ばかりで失礼しました。
taichiさんの記事に感謝しています。
僕自身の仕事と勉強の役に立っております。有り難いです。
Posted by: しんぷる | July 06, 2009 at 09:48 PM
しんぷるさんとは共通する部分が多そうですね(笑)。
僕は他に失調型かシゾイドも入っていそうな気がします。
大いに参考にして下さい。
劣等感はアドラー心理学の十八番ですけど、おっしゃるとおり悪いものどころか、人生のエンジンとなるものですよね。
どんなパーソナリティーでもめげずに生きましょう。
Posted by: アド仙人 | July 06, 2009 at 10:26 PM