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August 27, 2009

政治と広告代理店と心理学

 選挙戦真っ最中ですけど、前回の郵政選挙の時とマスコミの乗りや雰囲気は少し違うような気がしますけど、どうでしょう?
 酒井法子事件を煙幕にして選挙戦を盛り上がらなくさせたりしているような気がするくらいかな。

 前回、どのテレビ番組もあからさまに小泉自民を勝たせようとしているようでしたね。古館一郎も田原総一郎も、郵政民営化賛成の改革派には存分に喋らせ、「抵抗勢力」側とされた人には途中で遮ったり、罵倒めいたことを言ったりとひどいもので、実家の年老いた母親もそれまでは「古館さん」と慕っていたのに、「あれはひどい依怙贔屓だわあ」とあきれていました。

 その他にも様々な印象操作がなされ、結果はご承知の通り自民大勝でした。

 あの時以来、私は「マスコミによる大衆操作」がどのようになされているのか、気になるようになって、テレビのヴァラエティーや評論家や学者とされる人の発言に注意をするようになりました。併せてその背景に、心理学のテクニックや知識がふんだんに利用されているのを疑うようになりましたね。

 といっても業界人でない自分に政治やマスコミの内部の詳細はわかるはずもありませんでした。

 そんな私の気になるブログ記事があります。
 副島隆彦氏の愛弟子、アルルの男・ヒロシこと中田安彦さんの「ジャパンハンドラーズと国際金融情報」の3年前の記事です。

 広告代理店というのは、「国民洗脳産業」である

 当時の「永田偽メール事件」(覚えてますか?)の背景を考察していて興味深いのですが、さらに広告代理店の影の側面にも言及しています。

 私たちは「広告代理店」というのは、新商品を売り込むために、CMやキャッチコピーを考えるという、何とも非常にカッコイイ職業だと思っている節がある。表向きはそういう仕事もある。しかし、彼らが売り込むのは何も具体的なモノとして存在している「商品」だけではないのである。

売り込むものは、モノとして存在しない、思想・イデオロギーであっても構わないし、何らかの現象であっても構わない。以前、「戦争広告代理店」という本が出て、一部の読書人階級で話題になったが、彼らにとっては「戦争」も商品である。

郵政選挙を売り込んだのも、小さなところでは竹中平蔵の利権が絡んだ、スリード社という小さな広告代理店であり、大きなところでは自民党をクライアントとしている、電通、BBDOである。

 80年代私が就職する頃、広告代理店なんて「あこがれ」でした。
 私の知り合いの心理学科を出た人たちも博報堂や電通関係の会社に入ったっけな。今はどうしているだろう。

 当時就活中の私も、面白そうだと思いましたね。
 でも広告代理店は高給だけど、やたらと仕事もきつくて徹夜続きみたいな話を聞いていたので、習い始めた武術の稽古はしたいし、満員電車は避けて、やりたいことだけやってのんびり暮らしたいという人生目標があったのでやめたのでした(今思うと正解かなあ)。

 広告代理店に勤めている人ならわかると思うが、広告代理店の宣伝キャンペーンというのは、相手をいかに効果的に「説得」「納得」させるかという技術を高度に進化させたものである。そのようなことをやってのけるには、心理学のテクニックが必要不可欠だ。広告業界の先進国である、アメリカやイギリスでは、そのような「人間心理の動き」を研究する場所が沢山ある。例えば、映画「エス」のモデルになった、スタンフォード・リサーチセンターがそれであるし、それ以外にも二〇世紀半ばくらいから「~人間関係研究所」というような名前の研究所が何件が作られている。

これらの人間心理を研究する研究所では、具体的には戦争帰還兵の精神ケアを目的にした、心理学の実験などが行われており、表向きはそのような目的と心理学の研究をメインに学問的な研究を行っていたのである。

しかし、学問というのは政治に従属するということは、私が「ジャパン・ハンドラーズ」で書いたとおりである。心理学は人間心理の解明を目的にしている。人間心理がどのように揺れ動くかということを調べる目的でネズミの反射神経の実験を行っている。厳密に言えば、それを人間に応用できるのかといえば疑問だが、人間心理の動きを解明することを窮極の目的にしていたことは事実だろう。

ものごとのしくみを解明するということは、近代合理主義の精神である。物事を部品のレベルまで崩し、全てを数量化し、設計図を描く。設計図を描けると言うことは、自分たちで設計図を書き直すことが出来るということである。人間の心理を解明し、生来の気質とは別の人格を作り出すという科学信仰の一種がアメリカの社会科学の一分野である、行動科学(ビヘイビアル・サイエンス)である。広告業界のメソッドはつきつめると、この人間心理工学というべき行動科学に基づいている。また、アンソニー・ロビンズなどの自己啓発本(セルフ・ヘルプ)というジャンルの背後にある思想も同じである。

 アルルさんは、その心理学的国民洗脳研究機関の例として、タヴィストック研究所というのを挙げています。詳細はそのサイトの記事を読んで下さい。

 ただ、重要なのは、人間心理工学という学問ジャンルが存在し、それが政治や国際金融資本と結びつくと、大衆洗脳に悪用されてしまうということである。人間というのは、感情に訴えられるとすぐに、おかしなプロパガンダでも受け入れてしまう傾向を持っている。人間心理を知り尽くした、タヴィストックやスタンフォード・リサーチセンター、電通などのような広告産業はそれを商品の売り込みにも利用するし、選挙キャンペーンにも利用するし、戦争の売り込みにも利用する。広告代理店と大手マスコミ関係者とアメリカの意向を受けた政治家たちはグルである。

 何も病者や障害者のケアのための臨床心理学だけが善だ、というつもりはないけれど、少なくともそこでは「治るため」「良くなるため」という相互の同意、契約は最低限利いているわけで、同意も何もなく、するっと私たちの心に忍び込んでくる心理学的テクニックには気をつけた方がよいでしょう。

 ただ、あまりその辺の俯瞰した視点から心理学と社会の関係全体を論じる指南役が心理学界にいないような気がするんだな。
 誰かいい人いますか?

 

 

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Comments

それについて、ちょっとおもしろい話を思い出しました。一年ほど前の話ですがある番組でアメリカの心理学会でアルカイーダに対する軍の拷問に心理学者が(精神科医はすでに禁止している。)協力することを禁止しようとしたら学会の執行部が反対している(その後の話はしりませんが。)というレポートです。確か感受性訓練はアルジェリア戦争の時に開発された技法であると、うる覚えですが聞いたのを思い出しました。

Posted by: 檸檬 | September 04, 2009 06:31 AM

 檸檬さん

 なるほど、ありそうな話ですね。

 アルルさんも「学問は政治に従属する」とおっしゃってますが、心理学もそうなのかもしれませんね。実際は学問の独立なんてフィクションなんでしょう。

 その姿が政治学や経済学と違って、心理学はなかなか現れにくいのかもしれません。

 興味深い情報をありがとうございました。

Posted by: アド仙人 | September 05, 2009 12:54 AM

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