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October 19, 2009

アドラー心理学Q&A・3

Q.アドラー心理学は、論理情動行動療法、認知療法、ブリーフセラピーなど最近のほとんどの心理療法の学派に影響を与えている。アドラー心理学がそれらの元になっているのはよくわかるが、あえていえばたとえそれがルーツであっても、今はそのように各学派が発展しているのだから、わざわざアドラー心理学を使わずに心理現象を説明しても良いのではないか?

A.もちろん、他の理論でうまく説明でき、実践もうまくいくならアドラー心理学を使わなくてもかまわないと思う。
 私もブリーフセラピーや家族療法、認知療法はよく使うし、参照することが多い。本ブログ以外の現場では、人前でアドラーを連呼したりはせず、論争もけして挑まず、相手に合った言葉を使っている。
 ほんとはとても折衷的な人間なのだ。

 しかし、逆にいえば、同じように心が説明できるなら、アドラー心理学を使ったってよいではないかとも思う。
 そこは卑屈になる必要はこちらにはない。

 私は学者でも研究者でもないが、確か学問では、自説に影響を与えた先人や引用元があるときはそれを明示することが最も大切だったはずであるが、アドラー心理学に関してはエレンベルガーが「無意識の発見」で述べたように、「誰もが無断で剽窃していく」が如きなので、少なくとも我々「後継者」を自認する者は、言うべきことは言った方がよいだろう。

 最近は認知行動療法を臨床心理学のグローバル・スタンダードとする流れが世界中で優勢になっているが、それはそれでよいことだと思う。アドラー心理学と実践上の相性もよいので、私はその流れに乗るつもりだ。

 ただたとえ、似たようなところがあっても、単一のアプローチ、発想ではカバーしきれないもの、表現しきれないものはあり、重点の置きどころの違いで、心理臨床家の側の物語は違ってくると思われる。

 精神分析学は、人はいかに病気かを描写したいというニーズに応えるものだった。

 ブリーフセラピーは、臨床家が面接がもっとうまくなりたい、治療の達人になりたいという切実なニーズに応えようとするものだった。

 認知(行動)療法は、ある特定の精神疾患を確実に治したいというニーズに応えようとするものだった。

 ではアドラー心理学はどうか?
 それはなんと、つまるところ、「人類を幸福にしたい」「地球の平和を守りたい」というウルトラマンみたいな、誇大妄想というか気宇壮大なものなのである。
 共同体感覚なんてまさにそう。
「そんなの心理学か!科学か!」とお怒りになる向きもあるかと思うが、でも結局全ての学問の目的はそこにあるはずなので、それを真正直に言っただけであり、反論はできないはずだ。

 ただ、それを政治経済のレベルではなく、また妄想的に文学的に語るのでもなく、個々の日常生活のレベルで楽しく実践できるように考えようというのがアドラー心理学であると思う。

 私から見れば、そういった思いの心理臨床領域での具体的発現がブリーフセラピーであったり、認知療法であるように見えるのである。

 しかしだからといって、別に常に正しくあれとか、人々に尽くせとか、間違いを犯すなと道徳的に言っているわけではなく、聖人君子を目指しているわけでもないことは、あえて指摘しておきたい。

 アドラー心理学の実践では、気楽で楽しく、ユーモアに満ちたものを目指したいのである。

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Comments

共同体感覚のベースキャンプと言いますか、その基点とか中心核と言うものは、「私生活のパートナーシップ」または「家族」であろうと思われます。
離婚して、自ら選んだのですが、長く一人暮らしをして、つくづくそう感じます。

「孤独感と淋しさ」を感じる時が、一番辛いです。

中核のベースキャンプは単身のまんまですが、職場以外にいくつかのグループ・団体に所属し参加することで、共同体感覚の欠乏を防止しているのが、僕の生活スタイルの実際です。生活の実情です。

ヒューマンギルドもそのひとつですが、現在のところ、月に1回の「読書会とゼミナール」にしか参加できないので、アパートに帰ってからmixiやアドラーの仲間のブログを開いて、個人的に交流しているほうが多いです。
僕のmixiの日記にもコメントを書き込んでくれるアドラー仲間が数人おります。
一人になった時の「ネット場の共同体」です。
ヒューマンギルドで知り合った人たちが有り難いです。

「共同体感覚」と「勇気づけ」というたった2語のタームと概念を知っただけでも、僕の眼は、またひとつ大きく開かれました。

ヒューマンギルドの仲間たちと交流して感じ、分かってきたのですが、以上の2語はワンセットになっているようです。
アドラーの仲間は、「共に勇気を出し合って、自分の目標と課題に体当たりして行きましょう」と異口同音に、かつ暗示的に発してくれています。

「がんばれ!」のような単なる叱咤激励ではない、「自他双方を肯定して、信頼し、受け容れる」感覚でどんな人とでも接する方法を、僕も身につけているところです。

taichiさんのブログも、共同体感覚を強化して深め、軟らかい勇気づけのコミュニケーション能力を身につける上で、とてもいい勉強になってます。

Posted by: しんぷる | October 20, 2009 at 05:23 AM

 しんぷるさん

 僕もヒューマン・ギルドの共同体にはいつも救われる思いです。

 またいくつかの団体に所属し、そこで共同体感覚の発露を試しているのもしんぷるさんと同様です。

 「ネット場」の共同体もありますね。

 その人なりの立ち位置で、共同体感覚を実践していきたいですね。

Posted by: アド仙人 | October 20, 2009 at 10:59 PM

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