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October 03, 2009

心理臨床学会アドラー自主シンポ・2

 3人目は私の番で、「児童福祉臨床におけるアドラー心理学の活用」で、内容は前日の教育心理学会とほぼ同じでしたが、アドラー心理学の概論の部分はなくて、もっぱら子どもの臨床に技法面から語ることにしました。
 アドラー自身も子どもの教育、臨床に関心が深く、その後継者たちも同様の志向性を持っている人が多かったので、アドラー心理学100年の歴史の中で、子どもや家族へのアプローチには大変洗練されたものがあります。

 その一部として、ライフスタイルアセスメントや「不適切な行動の4つの目的」などを簡単に紹介させていただきました。

 会場には児童相談所にお勤めの児童心理司さんもいらして、終了後関心を持ってくれて挨拶を交わすこともできました。

 そして、最後に八巻秀先生(駒澤大学/やまき心理臨床オフィス)。

 テーマは「臨床思想としてのアドラー心理学」

 この先生も私の兼ねてから尊敬する「臨床の達人」の一人でありました。システム論、家族療法、ブリーフセラピーがご専門で、実は私が初めて催眠を学んだのは、何年も前のこの先生の講習会ででした(催眠医学心理学会にて)。だから私にとっては「催眠の師」になります。

 八巻先生のことを私は長年ブリーフや催眠の大家だとばかり思っていて、とてもお近づきになれる立場ではないと感じていました。しかし、実はアドラー心理学にお若い頃から深い関心をお持ちだったことをつい昨年知ったのです。
 そして今回のご登場。
 まさかアドラーでご一緒するとは、人間の縁というものは、わからないものです。

 始まると、先生は持ち前の熱く面白いトークが炸裂で、聴衆をぐいぐいと引きつけ、爆笑の連続、そして深く納得させてくれるお話でした。まさに前日の赤坂真二先生なみの面白さです。

 先生ご自身は「アドラー派」ではないけど
 「自分はアドラー心理学ストーカーです」
 と笑顔で話され、大学生の頃野田俊作氏が当時紹介していたアドラー心理学に触れて衝撃を受け、ヒューマン・ギルドの基礎講座も受講されたそうです。
 その後自らの臨床の道に邁進されながらも、つい何かの時には気がつくとアドラー心理学に還ってくる思いがするとおっしゃっていました。

 その内容は、ここで書くのはちょっともったいない、というか、がさつな私の要約では味わいがないし、うまく伝わらない。
 是非、いつか先生にはこれを種に、一文をものにして世に問うてほしい、と思いました。

 ごく簡単に私の理解でいうと、我々臨床家が最も大切にすべきなのはアドラー心理学の持っている臨床思想、つまり、カウンセリングやセラピーの究極目標は「共同体感覚の育成」であり、他者への関心と貢献への決心を育てることだという考えです。

 ここ数十年の心理臨床学の技法面の進歩は確かにめざましいものがある、しかるに思想面はどうだろうか、そこに疑問を持たれた先生は、今こそ「臨床思想としてのアドラー心理学の再検討が必要では?」と主張されていました。

 全く同感で、百家争鳴の心理臨床の世界で、アドラー心理学が全ての臨床家に貢献できるところは、まさにそこにあると思います。

 八巻先生のその具体的な活用の仕方としては、
・「目的論」の採用
・「対人関係論」の重視
・「共同体感覚の意識化」
・「アドラーならどう考える?」という問いをすること

 を挙げておられ、実践されてきたそうですが、これこそ私たちが日ごろ心がけなくてはならないことばかりです。
 ストーカーどころか、アドレリアンそのものです。

 私もそうだけど、臨床家はいくつかの顔を持ちます。
 エリクソニアンでアドレリアン、ブリーフセラピストでアドレリアン、そんな人は意外に多いかもしれません。
 実際これまでにも「○○やってて、実はアドラーも好き」という人には何人かお会いしてきました。

 もしかして「フロイディアンでアドラー好き」もいるかもしれない。ただ仲の悪かったご先祖同士だったので、まさか今さらアドラーを名乗るわけにもいかず(特に恩師やスーパーヴァザーとかの手前)、理論や技法面でほぼ同型のブリーフ・セラピーやナラティブ・セラピーを取り入れた人もいるかもしれません。

 それでいいと思います。

 とにかく、また楽しい仲間で、強力な応援団を得た思いがいたしました。

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