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October 28, 2009

アドラー心理学Q&A・4

Q.アドラー心理学がおそらく効果的なのは、ブリーフセラピーや認知療法など類似のアプローチが効果的なのと同様に確かなのだろう。しかし、そのエビデンスは実際どうなのだろうか?

A.アドラー心理学は、数々の無視と迫害(被害妄想?)にもめげず、100年生き残ってきて、多くの領域の実践者から良い評価を常に得てきた。
 その間、理論的、技法的に似ているアプローチがよりシンプルに、対象や目的を絞った形で、科学的に厳密な方法をひっさげて登場するに至り、21世紀の臨床心理学は、アドラー自身が予言したとおり、ほとんどが「アドラー心理学化」することは明らかになったと私は見ている。
 その意味でアドラー心理学に関する歴史的、経験的なエビデンスは確固たるものがあるといえる。

 20世紀の臨床心理学において、精神分析学と行動科学が表の番長なら、アドラー心理学は裏番長であったと半分冗談で私は思う。

 しかし、逆に「アドラー心理学固有のエビデンスはあるのか」、と問われるとそれを明確に出すのはなかなか難しいのは認めざるを得ない。これまでのアドラー派の力不足か、今のエビデンスの評価基準に合うようにうまく取り出せないままになってしまっているようにも見える。

 これは誠に重要な問題であり、今後の研究に委ねたい。

 いや、私が知らないだけかもしれない。
 これまで日本にはアドラー派の臨床向けの文献があまりにも少ないため、最近は北米アドラー心理学会の学会誌を取り寄せて見るようになったが、なかなか面白い研究や論文が多い。
 日本にはまだ知られていないアドラー心理学の側面がたくさんあるようだ。

 今後面白そうな情報は、本ブログでも紹介していきたい。

 しかし、いわゆるエビデンス・ベースド・アプローチは精神医療のクリニックや外来といった狭い枠組みの中で適用しやすいパラダイムであり、勇気づけといった日常生活の何気ない細かいやり取りや、共同体感覚の育成といった人間的成長の長いタイムスパンの両方に焦点を当てているアドラー心理学には向いていないともいえる。

 私のホームであった児童相談所臨床も、閉じられた空間が作れる精神科臨床と違って様々な職種が同時並行的に複雑に関わるため、単一の因果関係で語ることはあまり意味がないのと同様の状況である(両方を経験した私はそう思う)。

 またアドラー心理学は全体論の立場を常に意識しているため、技法固有の効果というものは意味がないと考えているのかもしれない。

 アメリカにおける効果的な心理療法の要因研究の結果では、技法が占めるのは15%に過ぎず、治療室外の出来事の影響を意味する治療外要因は40%、クライエントとのラポールや治療同盟という関係要因は30%、期待や希望・プラセボ要因が15%程度といわれる。

 アドラー心理学が効果的なのは、技法は折衷的でかなり多く相手によって使いこなし(技法要因の向上)、「横の関係、相互尊敬・相互信頼、目標の一致」で治療同盟を徹底して作り(関係要因の向上)、勇気づけで「希望を処方」し(期待要因の向上)、日常生活の実践を重視する(治療外要因の利用)のだから、全ての効果的になる要因を踏まえているので「効く」のは当たり前といえる。

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