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February 09, 2010

デイケアの初めはアドラー派

 単科精神病院のデイケアに勤めるようになってもうすぐ1年になります。

「大規模デイケア」といわれる施設なので毎日60人もの統合失調症の患者さんに会ってお付き合いするという生活は初めてで、最初はとても疲れましたが、今は実に楽しい毎日です。

 朝はウォーキング(広い公園があって自然が豊かなところなのだ)、午前はSSTや心理教育があり、私は集団認知療法を担当しているので、患者さんたちと幻聴や妄想とどう付き合うか、ストレスにどう対処するかを認知療法を手がかりにして「明るく楽しく」話し合い、午後はスポーツやゲームに興じる。

 私は今、患者さんに囲碁を教わっています。

 基本の構造はスタッフが作るけれど、何をどうするかは患者さんの主体的な選択に任されています。

 やればやるほど、ここは「一つの共同体」なのだということが実感されます。

 治療共同体という言葉が、歴史的にデイケアの理念にあるのですが、やっていて「これはアドラー心理学の発想に近いなあ」と内心思うこと多々ありました。

 そしたら、「地域ケア時代の精神科デイケア実践ガイド」(金剛出版)という本を読んでたら、なんと、デイケアの発祥にはアドラー派の臨床家が絡んでいたそうです(ちなみ同書には私の勤める病院の作業療法士さんが一章書いています)。

 同書の安西信雄氏によると、デイケアの発祥は1927年のソ連(入院病床の不足を補うため)で、本格的には1946年頃カナダのキャメロンたちが始めた「マクギル式」と、同じ頃にイギリスで発展した「マールボロ式」が始まりだそうです。

 ここで、

 マクギル式と対比されるのは、「マールボロ式」です。これは同じ1946年頃からイギリスのビエラ(Bierer.J.)が開始したもので、入院中心主義への批判として治療的患者クラブから出発しました。ビエラはアドラー派の精神分析医で、入院の弊害をなくして治療共同体的な集団により、積極的な治療を行うことを目指しました。

 デイケアの黎明期に、アドラー派の臨床家が活躍していたことは全然知らなかったので、ビックリしました。

 児童相談所、教育相談所を世界で初めて作ったのはアドラー自身ですが、ここにも先駆者の大先輩がいたのですね。

 共同体感覚の思想と治療共同体の実践とデイケアがつながりそうで、私にとってはとても興味深いテーマになりそうです。

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Comments

初めまして。
デイケアに勤務する作業療法士です。

精神科デイケアも全国的にさまざまな運営をされているようで
今後、どう展開していくのか気がかりでもあります。

そこで現在、複数のデイケアのスタッフ(多職種)で
「精神科デイケアとは?」というようなテーマにメルマガ形式で取り組む試みをしています。

紹介用のブログもありますので、アドレスを残していきますね。
宣伝用のようで、気分を害されたらすみません。

Posted by: デイケアの穴 | April 03, 2010 04:43 PM

 デイケアの穴さん

 デイケアにお勤めなのですね。
 私はデイケアに勤めてまだ1年ですが、とても楽しい現場だと思っています。
 メルマガのご紹介をいただきありがとうございました。

 こういう、一人一人の専門職の思いを発信する場は必要だと思います。特にデイケアは、単に科学的研究の枠組みに乗らない、乗りにくいところが、とても重要ですね。

 これからもよろしくお願いいたします。

Posted by: アド仙人 | April 04, 2010 12:49 AM

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