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March 08, 2010

縄文震動:田中泯と中沢新一に会う

 甲府市中央部にあるステキな小演劇場、桜座という場所で現代日本最高の才人を見てきました。

「縄文震動 田中泯・中沢新一」というパフォーマンス&トークセッション。

 田中泯さんは知る人ぞ知る舞踏界の巨人、世界にその名を知られています。昨今は山田洋二監督「たそがれ清兵衛」での演技で注目され、今話題の大河ドラマ「龍馬伝」では、複雑な人物といわれる土佐藩参政・吉田東洋を圧倒的な存在感で演じています。アッパラパーの龍馬と大声でやかましい岩崎弥太郎を一蹴するシーンはなかなか渋かった。

 その田中さん、実はもう20年ほど、山梨の農村部に移り住んで農耕・土着文化と舞踏・芸術の統合、弟子の育成、地域文化の振興など精力的に活動しています。
http://www.min-tanaka.com/

 自分の家からも割りと近くにお住まいなので、武術や臨床心理学を通して身体文化に関心のある身としては、いつかお目にかかりたいと思っていました。

 中沢新一さんはもうご存知、山梨が誇る宗教・芸術学者。
 私には高校の先輩でもあり、若い頃から最も影響を受けた方の一人です。
 本ブログでも何回も取り上げました。
 アースダイバー・甲州編
 「僕の叔父さん 網野善彦」

 田中さんと中沢さんは旧知の間柄のようですが、今回のテーマは二人にとって以前から深い関心のあった縄文について。
 山梨は日本有数の縄文遺跡がある場所で、その代表格で山梨北部にある金生遺跡を素材に、現代に縄文文化が何を問いかけるかを語り合っていました。

 先ずは対談の前に披露された田中泯さんの、その金生遺跡に触発された舞踏がすごかった。

 いわゆるダンスや踊りではありません。全くなめらかでも「美しく」もない。うつむき加減で背中を曲げてゆっくりと探るように動き出し、時にぐぐぐっと足のつま先を立てると、体がうねうねとよじり、いきなり腕が挙がったかと思うと何かがほとばしり出るように何度も振られる。
 その動きは、土とか泥の中でたくましく生きる未知の生物のようで、ものすごいエネルギーを感じました。

 そしてその動きの根底には、日々の舞踏と農耕で鍛えられた圧倒的にゆるんだ身体があるのだと私は見ました。
 田中さんが振り向いて蛇のように背中や肩胛骨を動かす様は、中国武術の八卦掌の達人やゆる体操をする高岡英夫氏と同様で、背骨の緻密でダイナミックな動きでしたね。

 これが御年65歳とは。

 世界を驚かした身体はその風貌と共に、武術をすれば達人になったに違いなく、まさに古武士の風格でした。

 生きているうちにナマで見られて良かった。

 中沢さんのアースダイバー的縄文論もいつもながら大変面白く、田中さんとの昔語りから始まって(土方巽や渋沢龍彦の交流や中央アジアの旅のことなど)、甲州から信州へ続く縄文文化の名残り(道祖神や諏訪大社などに今も残っている)、遺跡や墓、神社など「聖なる場所」は谷にはさまれた土地の奥が選ばれること(山梨では谷戸という地名になることが多い。女性器を象徴している)、古くからある芸能とアンタッチャブルな身分との深い関係、大和言葉は朝鮮系言語よりインドネシア系言語であること(「はらはら」「ゆるゆる」など同じ音を繰り返すのはインドネシア語系で、朝鮮語系にはないらしい)など、軽妙に多岐に渡りました。

 田中さんと中沢さんが同意したことで、早稲田の穴八幡神社の辺りは古代からなかなかすごい場所だったらしいという話も興味深かった。

 二人の天才の動きと語りに、実に濃密な時間を過ごさせてもらいました。

 
 

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Comments

おお、泯さんごらんになったんですね。
私も、実は舞踏ファン。
といっても、もっぱら泯さんのものしか見ていませんが
立っただけでその圧倒的な存在感。
身体気象農場の馬鈴薯を売っているときは
普通のおじさんなんですけどね・・・。
舞踏も映画も大河ドラマでさえも
目にこびりついて離れない
一挙手一投足が、瞬間瞬間が
まさに絵であり、表現であります。
今度ご一緒しましょう♡

Posted by: | March 09, 2010 at 10:06 PM

 蕪さんは家が身体気象研究所と割りと近いですよね。
 さすがに見に行っていたとは、いいですね。

 田中さんのことは当然以前から知っていましたが、なんか近寄りがたい気がして、この私にしては行ったことはなかったのです。

 今度連れていって下さいね。

Posted by: アド仙人 | March 09, 2010 at 11:37 PM

ごぶさたしています。お元気ですか?

ブログの内容とは違うんですが、
じつは最近、栗本慎一郎先生とお会いする機会があり、
なんと私的な勉強会にまで参加できることになったんです。

20年ぶりに大学にタイムトリップし、
授業が聴講ができたような感じです。笑。

栗本身体論を
秘伝に書こうかと考えてますので、
そのときはぜひご一読ください。


Posted by: takanorix | March 12, 2010 at 09:24 AM

takanorixさん

 へー!栗本先生とお会いしたのですか?
 うらやましい。
 
 先生は、いろいろあったようだけどお元気なのですね。
 よかったです。

 また先生の近況を教えて下さい。
 秘伝の記事も楽しみにしています。
 

Posted by: アド仙人 | March 13, 2010 at 12:57 AM

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