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April 25, 2010

鳩山首相の能力

 小泉内閣以来最近とみに思うのは、テレビでよく出る政党支持率とは何の意味があるのか、ということ。多少基礎心理学を学んだので、統計のトリックに意識的になれるからですが、あんなものやりようによってどうとでもなるのではないか。
 いや、最近は決まった結論を持っていくようにわざわざ手法を工夫して調査するのではなく、数字そのものを捏造しているのではないかとさえ、直感的に感じています。

 その一例が鳩山首相を巡る評価の流れの作られ方。

 さて、果たして鳩山首相は世評の通り、単なるおぼっちゃまで優柔不断で頼りない男なのか。

 さすが、副島隆彦氏は着眼点が違う鳩山評を示しています。
 副島隆彦の学問道場の「今日のぼやき」の1121番の記事ですが、会員用ページですので、一部のみ引用します。
 その記事には他に今後の中国経済や普天間問題など極めて重要な論件が予測されているのですが、関心のある方は会員になってご覧下さい。

 私の感想としては、人の評価とは難しいものだ、見た目だけでなくその人の知性の質を考慮に入れないといけないということ、そして「属国・日本」の首領とは、世界レベルで見ると中間管理職のようなもので大変だなということ。
 小泉純一郎のように、ご主人様に全てを明け渡す態度の方がわかりやすくて、下々には強いリーダー像を与えるのは皮肉なことです。

 一般に期待されている企業や組織のトップのリーダー像のように、明確でわかりやすい指針を出すのが、必ずしも良いとはいえず、多次元的で複雑な問題を解かねばならない立場なのですね。

<鳩山首相は極めて優秀な頭脳の持ち主>

 この問題については鳩山由紀夫首相が5月末までに最終決着させると表明しているが、首相はこの問題も含めてその言動に一貫性がなく、内閣を構成している閣僚をまとめきれていないといった批判がよく聞かれる。しかし、鳩山首相は、本当は非常に優秀な人物なのであり、そうしたことは巷(ちまた)ではまったくといっていいほど知られていない。

 鳩山首相はフォーメーションの組み換えがいくらあってもかまわないほどの優秀な頭脳の持ち主らしい。“お坊ちゃん”育ちで“偽物”の博士号を得たようにいわれているが、そんなことはなく、スタンフォード大学できちんと博士号を得ていて、世界基準で通用する立派なものだ。ジョン・ルース現駐日大使も同大学で博士号を得ているので、二人は同窓生として非常に仲が良いようだ。

 鳩山首相は以前、科学者としてキャリアを積んでいた。東京工業大学助手や専修大学経営学部助教授に就任する前には、スタンフォード大学で博士号を取得している。取得した際に著した論文の理論は、「ニューメリカル・アナリシス(多変数解析、たへんすうかいせき)」というものであり、意思の決断における最適化(オプティマイゼーション)を図るものだ。最適化を図る際の要素を多変数としてとらえるのであり、そこでは単純に敵と味方といった二つの例だけを考えるのではない。敵や味方がさらに二つに分かれており、敵の中に味方がおり、その反対に味方の中に敵がいるといった程度なら、普通は誰でもわかることだ。とはいえ、それは政治活動のセンスがない人たちには、そうした環境を前提に行動することは容易にできないことである。さらに、この学問ではさらにこれを2回二分して、16通りに分かれたものを対象としている。そしてこれらの変数について、全体を定量化、数量化して最適化した判断を下すといった観点で論文を著して認められている。

 このため、このニューメリカル・アナリシスというのは非常に優れた理論であり、これができないと世界基準では優秀な頭脳として認められないのである。単純に相手方同士の取引関係を考える程度では、世界政治での重要なところでの対応ができないのであり、それを多くの日本人が理解していない。

 もう少しわかりやすくいうと、この理論の基になったのが「オペレーションズ・リサーチ(OR、英国ではオペレーショナル・リサーチ)」と呼ばれる学問である。数学的・統計的モデルやアルゴリズムを活用して、様々な計画に際して最も効率的になるように科学的に定めることを追及するものだ。

 第二次世界大戦中からあった学問であり、「作戦研究」と訳されるように、その発端は海軍が進んでいる敵の艦船に向かって砲弾を当てる研究から始まっている。例えば、相手が動かないのであれば、照準をしっかり見定めて弾道をコントロールして発射すれば良い。位置が正確に確認できており、しっかり発射し、弾道のコントロールができれば、対象分を正確に命中させることができる。これを自動計算による自動照準の下で、動いている敵に対していかに正確に命中させるかといった研究から始まったものだ。

 この方式は、昔から帆走軍艦に多くの火砲を搭載した戦艦を多数保有していた英海軍が得意としていた。英海軍の作戦の真骨頂こそが、日露戦争終盤の1905年5月27~28日に行われた日本海海戦で活用された「T字戦法」である。連合艦隊の東郷平八郎司令長官がバルチック艦隊を撃滅するために採用し、指揮したとされているが、本当は英国人の観戦将校たちが指揮をしていた。

 縦隊(じゅうたい)で進む敵の艦隊の進行方向を遮(さえぎ)るような横隊の配列を組むことにより、両艦隊がT字のような型で交戦するのでこのように呼ばれる。艦隊戦では船の側面で火砲を撃つので、こうした配列になるとすべての火砲を敵の艦隊の先頭艦に向けて集中できることから、各個撃破していくには有利になるわけだ。

 個別に撃破していくにあたり、先頭艦に照準(しょうじゅん)を定めて順次爆撃していくが、その際に時間差を考慮した時間軸を正確に計算することにより、最初の艦隊に命中すると2隻(せき)目以降の艦隊にも自動的に当たっていくのである。これが「自動計算」の思想であり、そこからデジタル電子計算機としてのコンピューターの考え方が生まれた。第二次世界大戦直後の1946年2月に「エニアック」という最初のコンピューターが米国に登場した。1万7,468本もの真空管と7万個もの抵抗器、1万個ものコンデンサ(キャパシタ)から構成されており、人類最初のコンピューターは実に巨大なものだった。コンピューター・サイエンスはここから始まったのであり、戦争工学(せんっそうこうがく)としてのオペレーションズ・リサーチから生じて民生品にも応用されていったのである。

 例えば、第二次大戦中にナチス・ドイツ軍は英国を占領できなかったことから、「V2ロケット」と呼ばれた弾道ミサイルを同国に発射していた。その際、当時の英国ではV2ロケットを撃ち落とすため、砲弾(ほうだん)の弾道を予測する研究をしていた。このように、時間軸の問題をいかに克服するかが非常に重要なのである。

 やや性格が異なるとはいえ、鳩山首相が以前、取り組んでいたニューメリカル・アナリシスという学問についても、時間軸を対象としたものである。時間差を正確に予測して高度なモデルをいかに構築するかというのは、当時も今でも非常に重要な研究対象なのである。

 この理論は、帝政ロシア時代の数学者アンドレイ・マルコフ(子息も同名で学者として名高い)が確立した確率過程論(かくりつかていろん)である「マルコフ過程」、「マルコフ連鎖」から発展したものだ。それが、日本では戦後、「NCマシン」として応用されたのであり、このNCとは「ニューメリカル・コントロール(numerical control)」の略である。つまり、多変数解析を利用した機械のコンピューター・ライゼーションによって大量生産が可能になったのである。それが「自動旋盤機(じどうせんばんき)」という考え方に応用されて、「NCフライス」により鋼板のような鉄の板をコンピューター自動制御で切断していく技術に結び付いていった。それが牧野フライスのような、日本の製造業を代表するエンジニアリング会社なのである。

 また、富士通の子会社のファナックは工作機械や産業用ロボットを製造しているが、ファクトリー・オートメーションといわれるように、工場全体を自動化するにあたり、ニューメリカル・コントロールを応用した。このファナック(FANUC)とは富士通オートメーション・ニューメリカル・コントロールの略である。

 鳩山首相はこうした工学系の重要な研究に取り組んでいたのであり、ほとんどの日本人がそのことを理解していない。おそらく、首相は16もの変数を自動的に縦横無尽(じゅうおうむじん)に操ることができるのではないか。そしてその能力を政治にも利用しているのである。

 このため、例えば沖縄駐留米軍の移設問題では担当閣僚や社民党、国民新党が様々な意見や批判を繰り広げており、首相の姿勢が優柔不断で統率がとれていないと見られがちであるが、そうした見方は正鵠(せいこく)を得ていない。そうではなく、時間差を予測して高度のモデルを構築しているので、最終期限である5月末のぎりぎりの段階まで決定を先延ばしにしていき、最後には最適化決断をするということだ。そのあたりをしっかり見極める必要がある。

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