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June 24, 2010

「アドラー 人生を生き抜く心理学」

 アドラー心理学の入門的専門書の決定版です。

「アドラー 人生を生き抜く心理学」岸見一郎著,NHKブックス

 本書では、アドラーとフロイトとの出会いと別れ、両者の考え方の違いを簡単に素描し、その後のアドラー心理学の理論、思想の展開、教育や現実の生死の問題への応用の仕方を緻密に追っています。

 元々の著者の専門であるギリシア哲学に裏打ちされた「深み」「厚み」のあるアドラー心理学を堪能できる本です。

 他の臨床心理学派もそれぞれ背景となる思想は存在しますが、これほど哲学の母たるギリシア哲学にフィットする心理学もないかもしれません。
 アドラー心理学の「普遍性」(ポストモダニストは嫌うかもしれませんが)をこれによって改めて感じます。
 どうしてかというと、次のようなアドラーの姿勢が根本にあるからだと思われます。

 一九世紀後半のウィーンには、その後の心理学の歴史を大きく買えることになった巨匠たちが綺羅星のごとく現れた。しかし、欧米では今もジグムント・フロイト、カール・ユングと並んで必ず言及されるアルフレッド・アドラーの名前は、日本ではあまり知られていない。

 アドラーは、既成の価値観を追認するのではなく、社会や文化の価値観を徹底的に疑うことから始める。それは既成の価値観が必ずしも間違っているからというわけではない。ある社会や文化において価値あることとされることは決して最初から自明のものとして与えられているわけではないので、たとえ自明とされていることでも、一度いわば白紙に戻して考えるという意味である。

 このような姿勢からどのような心理学が展開されるのか、本書によって、精神分析学や行動分析学とも違った精神の風景が見えてくるはずです。

 ただ、我が国の問題として、本書のような思想的基盤を説く本や子育て・教育に使えるアドラー心理学の良書は出てきているけれど、臨床心理学といいながら、どういうわけか臨床系の本がほとんど皆無というところです。

 そのため、アドラー心理学のカウンセリング・心理療法はどのようなものか他の臨床家には(アドラー心理学を学ぶ人たちにも)、なかなかわかりにくい状況になっています。
 お互いに理解し合えないのは不幸なことです。
 内輪受けだけを目指すのはもうやめるべきではないかな。

 というわけで、臨床系で一緒に実践や研究をやれる仲間を改めて集めたいなと思う今日この頃なのだ。

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Comments

今余裕がないので、余裕が出来ましたら是非にと思ってます。 いつになるやらわかりませんが(^-^;

>臨床系で一緒に実践や研究をやれる仲間を改めて集めたいなと思う今日この頃なのだ。

Posted by: カリス魔保育教師 | June 25, 2010 at 01:28 AM

 カリス魔保育教師さん

 お待ちしています。一緒にやって盛り上げていきましょう。

 力を貸して下さいね。

Posted by: アド仙人 | June 25, 2010 at 11:07 PM

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