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September 02, 2010

アドラーとブリーフ

 8月27日(金)の日本ブリーフサイコセラピー学会長崎大会。
「アドラー三題噺」として、ブリーフセラピーの達人たちと私たち山梨勢が、ブリーフセラピーとアドラー心理学について幅広く論じました。

 ブリーフとアドラーの類似性、共通性は実践している人たちには明かなことで、多くの関係者が感じていたことだと思いますが、きちんと学会で表すのは、これはおそらく本邦初めての機会ではないかと思います。

 朝1番の発表時間で参加者数が危ぶまれましたが、あにはからんや、約25名ほども来てくれ、教室はほぼ満員。長崎での開催で全体の参加者数や他の教室の状況から考えると、大成功といえると思います。

 まずは駒澤大学教授八巻秀先生による「アドラーとブリーフその1 アドラー心理学とブリーフセラピーの臨床思想的共通項」。

 カウンセリングのプロセス自体は中身は別として、関係作りから情報収集、アセスメントまでは大体どのアプローチも共通しているもので、ある種の科学性、論理性が大事な段階ですが、最後の助言や介入の段階、アドラー心理学では「代替案の呈示」といいますが、その段階では「臨床思想」と先生が呼ぶものが大変重要になると考えられます。

 その辺が多くのアプローチではおそらく無自覚的になっていることが多いのですが、アドラー心理学では「共同体感覚」の思想として、はっきりと意識化されている、そこに意義がある、とそんな主旨でした(足りないかもしれないけど、八巻先生)。

 本発表において、筆者はブリーフセラピーの技法的・思想的源流として取り上げられることの多い、ミルトン・エリクソンとグレゴリー・ベイトソンの2人に加えて、アドラーもブリーフセラピーの源流の1人として考えることができるのではないかということを提案しながら、特にアドラー心理学の「共同体感覚」という臨床思想について、ブリーフセラピーとの共通項をあらためて整理し考察する。(抄録より)

 いつもパワフルで明るい八巻先生の名調子が冴えまくりました。さすがです。

 続いては私、深沢と元同僚の志村いづみ先生(山梨県スクールカウンセラー、県立中央病院心理士)による「アドラーとブリーフその2 子育て支援面接に使えるアドラー心理学の技法」

 元々アドラー心理学の得意な子育て支援のカウンセリングで、アドラー心理学の技法とブリーフセラピーの技法を掛け合わせて、自然な効果を生みだした事例を志村先生に発表していただき、私が理論面から考察、解説するというもの。
 アドラーの技法を知らないブリーフ学会員に紹介するという役目もありました。

 元々とてもやさしくて受容性の高い志村先生がアドラーとブリーフの考え方、技法を身につけてからさらにパワーアップされたのを知っていたので、この機会に無理言って発表してもらって良かったです。
 とても説得力のある内容になったと思います。

 私はいつもながら大量のスライドを早口でまくし立ててしまって、大丈夫だったかしら?
 私としてはもうちょっと上手に言いたかったな。

 とにかく約20年臨床現場に居続けた者たちとして、「アドラーとブリーフは補完し合えるアプローチである」という実感に基づく主張をさせていただきました。

 そして最後は東洋学園大学教授の鈴木義也先生による「アドラーとブリーフその3 構成主義心理療法としてのアドレリアンセラピー」

 現在最先端の心理療法の思想である構成主義の本質を、すでにアドラー心理学は内包していたとするもので、いつも柔軟な姿勢の鈴木先生らしく、わかりやすくユーモラスにアドラー心理学の理論と構成主義の共通性、類似性を教えてくれました。

 ユングがニューエイジの先駆者であったように、アドラーは構成主義の先駆者であったという認識も構成主義者からなされている。・・・(中略)・・・また、アドラー派は基本的にポストモダン・サイコセラピーではないが、ナラティブやその技法を用いるアドレリアン(アドラー派の人)もあり、それほどアドレナリン(脳内物質)を出さなくてもなじみやすい現代に通じる先進性がたくさん秘められていると感じる。(抄録より)

 私自身も「なるほど、そういうことか」ととても勉強になった。改めて構成主義について学んでみたいと思いました。

 また我々の姿に触発されたのか、フロアの参加者などから、「実は若い頃アドラー心理学を学んだ」「かなり傾倒していた時期がある」という(カミングアウトされた)方が何人かおられ、大変驚きました。

 アドラー心理学の「影の影響力」を改めて感じましたね。
 やはりこういう表に出る行動はやってみるものです。

 またその方たちがアドラーから離れていった理由もなかなか興味深かったです(ここでは触れませんが)。

 いずれにせよ、思想・実践・理論と完璧な構成による発表は、私にとって予想以上の素晴らしい経験でした。

 これからも何とかこういう地道な試みは、自分にとっても学びが深まるし、続けていきたいと思いました。

 

 

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