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September 10, 2010

武術と心理臨床シンポジウム

 9月3日(金)は仙台・東北大学で行われた日本心理臨床学会に参加、そして自主シンポジウム「武術に学ぶ心理臨床の知恵」に話題提供者として出ました。
 これが、今年の学会ツアーのクライマックスです。

 武術と心理臨床なんて、本学会初、いや、おそらく本邦初の試みではないかと思います。

 メイン企画者の黒木賢一先生(大阪経済大学)は、以前より気や東洋医学を西洋中心の心理臨床に取り入れることを提唱されている方で、「気の心理臨床」(金剛出版)も出されています。また、自らも気功法や太極拳を長く学ばれています。
 私も以前から注目し、ここでも紹介させていただきました。http://taichi-psycho.cocolog-nifty.com/adler/2008/01/post_1d4e.html

 また、企画者・指定討論者の老松克博先生(大阪大学)は、アクティブ・イマジネーションで有名、知る人ぞ知る本物のユンギアン(ユング派のセラピスト、実は日本に本物のユンギアンは少ないとある事情通が言ってたけど、先生はその1人)です。老松先生は合気道や杖道を修行されているそうです。

 会場は比較的広い階段教室で、果たして何人がこんな変わったテーマのシンポジウムに来るのかわかりませんでしたが、会場が開かれるとなんと、人が来るわ来るわ、あっという間に60人を越えてしまいました。
 パッと見、武術や格闘技をやっている雰囲気の人もいましたが、多くは普通の心理士や心理学者という感じで、男女比も同じくらいでした。

 これは驚いた。

 そしてシンポジウム開始、トップバッターは入江隆三郎先生(宝塚三田病院、精神科医)。

 入江先生は極真空手、伝統空手など空手の諸流派を長年研鑽されてきたとのことです。
 空手の簡単な歴史と自らの修行歴を話され、そこから得て、臨床に通じる「境地」を話されました。
 それは一つの覚悟、簡単にいってしまえば「武士道とは死ぬこと」といった名文句に集約されるのですが、その心の在り方を淡々と語ってくれました。肉弾相打つ稽古や試合の実感から出ているだけに、説得力があります。

 医師らしく、理性的で凛とした雰囲気の方で、熱くなりがちなテーマを淡々と話す様は、臨床も武術も並の鍛錬ではなかったのだろうという印象を抱かせました。
 いろいろなテーマでディスカッションし、学ばせていただきたい方だと思いました。

 二番手は、新村信幸先生(浜松学芸中学校・高等学校)。

 新村先生は、大東流合気柔術(山本角義系)を修行されていて、他に禅や神道も修めているそうです。そんな方がこの世界にいたんだなあ。

 新村先生は、日本の近代武道の歴史、つまるところ柔道・柔術の歴史を簡単に素描され、合気柔術の不思議な体験から、臨床につながる「人間関係論」について語られました。
 合気の稽古から得られる微細な感覚(相手とつながっているイメージ感覚を持つこと等)は、対人関係の感覚を磨き育てるのに役立ち、「触れ合気」のような超高度な技は、究極的には身体接触のない臨床場面でも必要なものではないか、といったお話だったように思います。

 とても深遠な部分で、新村先生も語りきれなかったと思いますが、語り口も明るく、実直で、すごい方だと感じましたね。

 そして3番目は私。「中国武術の稽古の中から」と題して、私が稽古の中で得た身体と心の感覚はどんなものだったか、体験と臨床現場でのその実践(実戦?)を報告し、でもそれだけでは独りよがりになってしまうので、達人から見た心の世界とはどんなものかをかいま見ようと、太極拳の「極意の言葉」を紹介しました。さらにアドラー心理学から見た武術家の姿についても簡単に触れました。

 スライドを使い、「現代における武術の課題・役割」「武術を学んで臨床現場で良かったこと」などと大上段に話し始め、あまり知られていない中国柔拳、特に王樹金老師の功績の紹介をし、最後に「極意の言葉」「柔拳から得たもの」を体験的に語りました。

 しかし、こんな機会は二度とないと気張りすぎたか、いつもながらちょっと盛り込みすぎてかえって喋り足りない事態になってしまいました。
 マニアックになりがちだけど、太極拳や中国武術の真の姿を伝えるには多少の紹介は必須だし、それを今回のテーマの心理臨床に時間内にわかりやすくつなげるのはなかなか難しいものだと実感しました。
 また、私自身の勉強不足も痛感しました。まだまだ、がんばらないと。

 少しは伝わってくれたらと良いのだけどね。

 そして、最後は指定討論者の老松先生の登壇。

 続きは次回に。

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Comments

とても面白そうなシンポジウム、いずれも興味深い内容のようです。
こんな活動もされているのですね。

近場でそのような催しが有ったなら聞きに行きたいものです。

Posted by: 渡辺 | September 11, 2010 at 08:29 AM

 渡辺さん

 ちょっと遠すぎましたね。
 私も行くのは大変でした。

 いろんな武術家が集まって公に議論するというのはなかなかないので、私も良い勉強になりました。

 もしかしたら会報に報告できるかもしれないので、お楽しみに。

Posted by: アド仙人 | September 12, 2010 at 12:03 AM

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