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September 15, 2010

「社会調査のウソ リサーチ・リテラシーのすすめ」

 仮にも心理学で統計を学んだ経験があり、政治やマスコミの実際についてもある程度読めるようになってくると、実はあまりにもいい加減で、とんでもないものだとわかってくるのが世論調査。
 自称算数障害、統計劣等生だった私でも昨今の世論調査は、怪しいと感じます。

 特に各大新聞が出す内閣支持率や政党支持率などは、各紙の持っている政治思想や思惑を裏付けることと、その方向に世論を誘導する目的で行われていることが明かです。

 例えば昨年からの普天間問題を巡る鳩山前首相の支持率や、今回の民主党代表選挙までの最近の小沢一郎に対する世論調査は、さながら洗脳実験の様相でした。

 しかしそんな私の印象はあくまでも主観的なものに過ぎないといわれればそれまでで、実際の社会調査の専門家からは、昨今の状況はどう見えるのかが気になっていました。それを学べるのが、大阪商業大学教授・学長谷岡一郎氏著「社会調査のウソ」(文春新書)。

「社会調査」という名のゴミが氾濫している。そのゴミは新たなゴミを生み出し、大きなうねりとなって腐臭を発し、社会を、民衆を、惑わし続けている。

 社会調査を研究してきた者として言わせてもらえば、社会調査の大半は「ゴミ」である。それらのゴミは、様々な理由から生み出される。自分の立場を補強したり弁護するため、政治的な立場を強めるため、センセーショナルな発見をしたように見せかけるため、単に何もしなかったことを隠すため、次期の研究費や予算を獲得すため等々の理由である。そして、それを無知蒙昧なマスメディアが世の中に広めてゆく。 p23

 本書では朝日、讀賣、産経などの大新聞はもちろん、社会学者や政治学者などの「プロ」、市民運動グループや官僚が作り出す世論調査のいかがわしさ、でたらめさを右も左も関係なく容赦なく叩き潰していきます。
 すごく小気味良い。
 それによって正しい統計学の考え方が学べる、という仕組みです。

 既に10年前の本ですけど、その後はインターネット社会がさらに加速したためか、著者の警告をよそに事態はもっと悪くなっていったのでしょう。
 だから、昨日までの各紙はゴミだらけでしょ、きっと。

 著者は、私たちがそのようなゴミだらけの社会調査に踊らされないような「リサーチ・リテラシー」を持つことを奨めており、マスコミなどのいい加減な調査に対する第三者監視機関の設置を訴えます。

 しかし、リサーチ・リテラシーはもちろん大切ですが、第三者機関のようなものがもしできたとしても、きっとうまくいかずに逆に政治的に利用されるだけのような気がします。

 もし人々に統計の知識が普及して、科学的に正しい統計的調査が人々の間で行われる「理想社会」になるほど、余計に巧妙に偽装したゴミ調査が信頼されるということもあり得ます。
 エリクソン催眠のイエス・セットみたいなもので、良いものが続くと、その後の関係ないものまでよく見えてしまうからです。
「統計の結果は正しく民意を反映している」「統計結果は科学だから正しい」と人々が思えば思うほど、いざというときに権力側にとっては操作しやすくなるはずです。

 だから「正しい調査をして客観的に考えましょう」ではなくて、「社会システムに乗る調査情報は全て何らかの意図、目的があって加工されたものである」という前提に立つことだと思います。
 特に政治、金融・経済、憲法や法律、行政に関するものは。

 そして、できれば著者のような専門家が問題を暴いてほしい。

 少し前の「永田町異聞」というブログの「物神化しメディアの自家中毒を誘発した世論調査」で、世論調査に対する疑義が主張されていました。同感です。

 電話による、いささか恣意的に構成された質問群によって、「人々」の頭に一時的に刷り込まれた観念を、「意見・態度」として引っ張り出すことくらい、世論調査にとっては朝飯前のことである。

 つまり、タテマエはともかく、世論調査は実質的に、メディアの横並び、画一報道による情報シャワーが人の頭脳に与える影響を調べているのであり、いってみれば「社会心理学」「社会病理学」の範疇に属するものとさえいえよう。

 同記事ではマスコミと議員の世論調査を通じたつながりぶりが暴かれていてなかなか興味深いですよ。

 いずれにせよ、あまり世論調査結果に右往左往しないように気をつけましょう。

 もう、遅いか。

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