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October 07, 2010

胆力とは何か?

 胆力というと、何事にも動じない強い心、冷静沈着、不動心といったイメージが浮かびます。それは間違いではないのですが、でもその言葉のイメージが固定してしまうと、かえって本質を見失う恐れがあります。

 前々回紹介した「現代霊性論」で内田樹先生の視点がさすがに優れていると思いました。

 普通の人や合理性にこだわる人は自分の予測範囲外の事態に出会うと狼狽して、よく吟味もせずに全否定したり、逆にカルト宗教の信者のように盲信してしまうことになってしまいます。
 しかしそれではもったいない。
 せっかく出会った稀な状況を十分に体験しきる、味わい尽くすことが最も良い対処法です。胆力があればそれができるはずです。内田先生流にいうと、それは端的に「驚くこと」だそうです。

 武道では「胆力」といんですけれど、「驚かされちゃいけない」ということを教える。「驚かされない」ための秘訣は、いつも「驚いている」ことなんです。「驚かされる」ということは受け身の経験だけれど、「驚く」は能動的経験でしょう。自分から進んで驚く。「へえ、こんなことがあるんだ」「これはびっくり」というふうに説明できないことを日常化していれば、人知を越えるような経験にたまさか遭遇しても「そういうことってあるよね」で済ませることができる。目を閉じることもないし、オカルティストにすがりつくこともない。・・・・

 割りと簡単なんですけどね。じっくり出来事を観察する。それから、「どうしていいか知っていそうな人」を探し出して、その人から助言なり支援を得る。それだけのことなんです。

 真の胆力とは驚かないことではなくて、「いつも驚いている」とは面白い考え方です。
 おそらく、いつも心が生き生きと好奇心を持っていて、大らかに受容性の高い状態をいうのでしょう。

 過敏すぎる人はちょとしたことに「驚かされてしまう」。それとは違うということですね。

 どんなことにも驚かないのは心が固まっている、武道的にはその状態に居着いているといえるかもしれません。それも胆力とは違う。そんな感動もできない状態は死んでいるも同然です。

 考えてみれば当然のことで、胆力の身体意識的条件である臍下丹田ができると、気の発生源ともいわれるだけあって、生き生きとエネルギーが湧いてくる状態になるはずです。
 そうなれば、いろいろなことに感じ、反応できるようになり、しかし自己の中心がしっかり保っているのでそれに振り回されることがなくなります。
 外見的には何事にも動じない確固不抜の不動の雰囲気に見えるかもしれません。

 そういう人は、武道的には相手の動きに素早く反応しつつも、自己の中心から強い力を出して制してしまい、生活では日々のものごとを大らかに受け入れ楽しむことができるようになると思われます。

 いかにも内田先生的で、役に立つ着眼点をまた得ることができました。

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