おひとりさまを学ぶ
前記事の私のおじさんのように天寿を全うして、たくさんの人に見送られるのは素晴らしいことですが、我々以降の世代はそうなるとも限らないのは、現状を見ると明らかです。
はっきりいって無理といった方がいい。
所詮人は1人で死んでいくとはいっても、けっこう長い時間を家族のいない状況で生き抜かねばならない人はこれからどんどん増えていくのです。
先日、「おひとりさまの老後」という著書、キャッチフレーズで話題になった東京大学大学院教授・上野千鶴子先生が山梨に来県したので、講演を聞きに行ってきました。
実は私は高校生の頃から上野先生の評判は聞いて気になっていて、クリアーカットな舌鋒でけっこう好きなタイプの研究者、思想家でした。
テーマは「家族持ちから人持ちへ~おひとりさまのネットワークづくり~」
会場の図書館(櫛形生涯学習センター)の講堂は満員、7割は中高年の女性でした。
やはり女性は我が身のこととリアルに感じている人が多いのでしょうか。
しかし、男性も油断してはいけないのです。
「いや、俺は妻も子いるから、老後は見てもらえて大丈夫」
と思う方がいるとしたら、甘い、甘過ぎるぞ。
上野先生によると、男性高齢者のシングルの割合は加齢とともにどんどん増えていき、「男性も85歳を越えれば、シングルの割合は3人に1人。妻に先立たれる“番狂わせ”も、例外とはいえない」(「男おひとりさま道」)のです。
またシングルにならなくても、妻の方が認知症や要介護になるケースはざらにあります。
ポストモダンの時代にいわゆる「家族の再生」を目指すのは人々の幸福度を高めるためには確かに意味があるけど、この問題の解決策にはならないと私は思います。
むしろ社会に家族以外のいろいろなタイプの共同体が必要になり、それらがネットワーク化していくことになるでしょう。
それを上野先生は「家族持ちから人持ちへ」と、今後のあるべき方向性を明示しています。全く賛成。
・結婚がデフォールトである時代は終わった(皆婚社会の終焉)
・結婚の永続性、安定性の低下
・少子化による親族ネットワークの縮小(オジオバ、キョウダイ、イトコ数の減少)
・超高齢化による母系親族ネットワークの強化
→「家族・親族」に代わる代替ネットワークの必要!
そして自分が所属する共同体を選んでいく「選択縁の社会」が到来すると主張されていました。
つまり地縁、血縁、社縁(会社の縁)が中心だったこれまでの社会から、
「知縁、情縁、情報縁、意縁、志縁、結縁、無縁、媒介縁」の社会になるといいます。
選択縁の定義とは
・加入・脱退が自由で
・強制力がなく
・包括的コミットメントを要求しない
上野先生は、社会学的調査により、全国各地で始まったおひとりさま支援の実践の例(小規模多機能型デイサービス施設など)の状況を写真入りで報告してくれました。なかなか面白かったです。
講演を聴いて、私はこれは今後のアドラー心理学のような心理学的援助の方向性や、共同体感覚の発達・育成の必要性がここにもあると思いました。
これについては次回に触れたいと思います。
どうも私は先のおじさんのように長寿が多い家系みたいなので(長寿遺伝子でもあるのか)、「憎まれっ子世にはばかる」私はおひとりさまになっても、武術仲間とアドラー心理学や臨床心理仲間の「選択縁」で生かされていくことになるのかな。
みんな捨てないでね。
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