新たな心理資格の動向
アドラー仲間のぐうたら三昧さんのブログで以前に知ったのですが、心理職の資格に新たなムーブメントがあるらしいです。
教育・発達・人格系の心理学会が大同団結して、資格の乱立状態を包含したひとつの資格「ガイダンスカウンセラー」というものを作ろうとしているのです。
これまでまるで臨床心理士の独占業務みたいなイメージで語られてきた心理の資格ですが、これが実現すると心理学の世界の主要な学会が入っていることからも、大きな勢力ができることになります。
教育関係の資格だけでもけっこうな乱立だったので、これをまとめていこうとする関係者(心理学界の大物・国分康孝先生が中心らしい)の努力は大変だったでしょうけど、臨床心理士制度によって、心理学者たちは自らの存立基盤が脅かされているという危機感が背景にあるようです。
私は臨床心理士の他に臨床発達心理士も持っているので、両方の陣営に属することになりますが、率直にいってこの動きは大賛成です。
これまでスクールカウンセラーは、なぜか臨床心理士の時給はバカ高くて5,000円を超えていました。それに対して同じ仕事をしているのに臨床心理士以外のスクールカウンセラーの時給は3,000円弱に押さえられてきたのです。
そのため、臨床心理士のスクールカウンセラーは、週にたった1日働けば月15万程度もらえるのに、同じ自治体の非常勤心理職である児童相談所の児童心理司は週5日フルタイムで10万ちょっと越える程度なのです。はるかに仕事はきついのに。
あまりに違いが大きいために、なかなか児相のなり手がいなくて困っているという話をよく聞きます。
この「差別」に正当な根拠はあるのでしょうか?ないのです。
日本の心理の資格には、臨床心理士の他、臨床発達心理士、教育カウンセラー、学校心理士などいくつもあり、どれも国家資格ではないので立場は対等のはずです。
大学院卒だから?いやいや、院卒とはいえ、学校現場に合わないタイプの臨床心理学ばかりを学んだためにあまり役に立たず、そのくせ高い時給をもらうので、かえって評価を落としたことを知らない関係者はいないはずです。
その結果、いくつかの自治体でスクールカウンセラーの「臨床心理士減らし、切り」が進んでいると噂されます。
危機感を持ったであろう臨床心理士会側も研修をいくつも打ち出して、資質向上に励みだしていますが、自分たちの権益を守ることだけ考えていてはダメです。
ここから先は、さらに大きな視点を持つ必要があるでしょう。
まずはこのガイダンス・カウンセラーを確立させることで、スクールカウンセラーは誰でも臨床心理士と同じ時給を得られるようにする、まあこの財政難では、安い方に統一されるでしょうけど仕方ない。文部科学省の判断次第でしょう。
国家資格化に冷たい厚生労働省や医師側を納得させるには、医療心理士を作るのが一番ですが、汎用資格にこだわる臨床心理士会が邪魔をするので、当分は無理でしょうから、先ずはこの「二大心理士資格」が共存することで、心理士の職域拡大、定着をはかり、相互の研修ポイントの乗り入れ、合同開催などで一体化を目指すなんてのはどうでしょうね。
一時期はすぐにもできそうな国家資格だったので、精神病院にいる身では期待したけど、下手すると私が現役の間でも無理かもね、あーあ。
Comments
日本は財源や既得権益(河合隼雄や官僚が作った説有り)が入り交じって難しいですね。
文科省と厚労省の児童福祉部門を統合して早く子ども家庭省を作って欲しいです。アメリカでカウンセラー制度を作った方中心で日本の心理職制度を革新して欲しい。
ガイダンスカウンセラーを持っていますが、有効に活用できるか疑問です。でも明るい未来を信じてます。
Posted by: カリス魔保育士 | May 28, 2011 09:10 PM
リンクして頂けるとは光栄です。
私は身分を公にはできませんが、
ガイダンスカウンセラー等の動きには賛成です。
広く人材を集めた方が良いように思います。
組織で働くとさすがに「効いています」(自称)は
通用しなくなってくるのだと思います。
Posted by: ぐうたら三昧 | May 28, 2011 10:50 PM
カリス魔保育士さん
省庁間の統合はなかなか難しいでしょうね。
資格の価値、意義は当事者の努力で高めていくしかないでしょうね。その点では、我々アドラー・カウンセラーも同様だと思います。
ガイダンスカウンセラー、発展すると良いですね。
ぐうたら三昧さん
有益な情報ありがとうございます。
暇しているけど、アンテナ高いですね(笑)。
またよろしくお願いします。
Posted by: アド仙人 | May 29, 2011 11:25 AM