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July 06, 2011

「スキーマ療法」

「スキーマ療法」ジェフリー・E・ヤング著,伊藤絵美監訳,金剛出版

 これは私にとって本当に役に立つ本だ。

 一般にうつとか感情障害に有効とされる認知行動療法ですが、本書は認知行動療法は人格障害にどう切り込んでいくか、どうやって治していくかを詳細に説明、描写した専門書です。
 スキーマ療法と呼ばれる、人格障害に向けて作られたこの認知行動療法は、最近とても注目されているようです。

 人格障害、特にボーダーライン・パーソナリティー障害と聞くと多くの心理臨床家、カウンセラーは心の中で一瞬尻込みするようです。中には最初からネガティブな評価をしてしまって、関わりたがらない人もいます。もちろん、自分にできないクライアントを断るのは大事なことで、無理だと思ったらやらない方が誠実で良いのですけど。

 確かに人格障害のカウンセリング・心理療法は難しいのはよくわかるけど、私自身は実は難しいとか、関わるのが嫌だと思ったことはなく、むしろやりがいと「なんか、やっぱりちゃんとやると良くなるな」という実感を持っていました。

 これは私が特別優秀なカウンセラーだからではないと思います。
 これはひとえに、私がブリーフセラピーと共にアドラー心理学を学んできたことのおかげだと思うからです。
 本書を読んで、逆に私はそれを強く実感しました。

 なぜなら、本書で展開されているスキーマ療法の主要な技法、発想はアドラー心理学のライフスタイル診断、特に早期回想の扱い方に非常によく似ているからです。

 子供のころのエピソード記憶を取り上げて、その人の根底にある信念、世界観、対人関係の思いを抽出して、外在化して、治療の対象とする。
 根底にある世界観を認知行動療法ではスキーマ、アドラー心理学では「ライフスタイル」、特にネガティブな信念をベイシック・ミステイク(基本的誤り)と呼んだりします。

 そのプロセスがとてもライフスタイル診断と共通しています。

 しかもさすが認知行動療法らしく、そのプロセスが実に丁寧に緻密に構造化されていて、人格障害自体の理解も深まっていきます。
 この辺はすごく参考になります。

 しかも治療法でユニークなのが、思考記録表のようないわゆる認知行動療法の代表的な技法だけでなく、ゲシュタルトセラピーのエンプティ-・チェアやイメージ療法をどしどし使っていくところです。

 この辺の技法的柔軟性、統合性も、アドラー心理学のセッションを読んでいるような気になります。

 だから私にとっては無理なく今の治療スタイルにこれを導入できそうです。

 治療が楽しくなりそうだ。

 人格障害に関わる方はもちろん、そこまでいかなくても性格、ライフスタイルを変えるアプローチを試みているカウンセラーや臨床家は、分厚い本ですけど、翻訳もよいので、是非お奨めしたいと思います。

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